第227話 案外したたかなスコール女と健気に弱いドライヤー女
「ところで、、ひより、このクッキーにベーキングパウダー入れた?」
「うん、入れたよ。小さじ1って書いてあったからちゃんと入れた!」
「どのスプーン使った?」
「カレー食べるときのスプーン!」
「なるほど。だから膨らんだんだね、、。」
今宵はもう疲れ果てました。由奈はそう宣言すると、しっかりひよりを堪能したあとにささっとシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。
「あれはクッキーではない。パンに近い。」
「ベーキングパウダーが多かったってこと?」
「うん。もう片付ける気力がないから明日の朝にしよう。。」
「じゃあ、ひよりもこのまま寝よーっと。えへへ、すりすり♡」
「明日のお昼はあのかぼちゃクッキー風のパンを持ってくね。」
「え~。形がなぁ~。愛妻弁当っぽくないなぁ。」
「あんなにあるんだから食べないと。それにひよりが作ったんだからちゃんと食べるよ。」
「由奈さんって、本当にひよりに甘々なんだからぁ♡」
「いいの。ほら、もう寝るよ。こっちおいで。」
「んふふー。涼しくなってきたからひよりが温かいんでしょう~♡」
「うん。今まではくっつかれると朝、カラッカラに干からびた気分だったけど、これからは重宝するね。ひよりって体温高いから。」
「ひよりのお腹を湯たんぽの代わりにしてね♡たぽんたぽんだけどな!」
「・・・・。」
「あれ?由奈さん、もう寝ちゃった。あーあ。ひよりが疲れさせたからなぁ!」
ひより、イキます。
あーあ。今日も失敗しちったな。だけど由奈さんと一緒にお菓子作るの楽しかったな。今度はお休みの日に由奈さんの指導の下で作ることにしよう。ひよりが1人でなにかしてトラブルにならないことがない、、あ、ツライ。笑
無駄に疲れさせた上に、とっても愛して頂いて、、ひよりは幸せ者だな、、。本音を言うと、ひよりが由奈さんを、、の番がなかったのが物足りないけれども。。限界っぽかったもんな!由奈さんのエロい声を聞くのは週末まで我慢しよう。我慢できない!でも勉強するって約束したし。
それにしても、、涼しくなってきたから、毛布と由奈さんの御御足がとっても気持ちいい♡由奈さんって、どこもかしこもすべすべなんだもん。ああ、寝顔かわいいな。
「由奈ちゃん、、好き♡」
「うーん、、だ、だめ、、ダメだ、、ひより、、」
「んえ?由奈さんが寝言、、?珍しい、、しかもひよりにダメって言ってる、、」
うわごとを言い始めた由奈を、興味深く見つめるひより。完全に目が覚めた。
「だ、ダメだよ、、それ以上砂糖を入れてはいけない・・・あま、あま、あますぎるよ、、ひより、、なんでおっぱい触るの、、ひより、、」
「え、夢の中でもひよりが迷惑をかけている、、これはもしや、悪夢を見てらっしゃる、、?」
「待て。ステイだ、ひより、、そう、えらいね。アイス食べる・・・?」スヤスヤ・・・
「犬か、ひよりは、、。ちょっと今日は振り回しすぎたかな。反省しよう。。」
ひよりは、由奈の背中をぽんぽんっと叩きながら、いつの間にか眠っていた。
----------翌朝。
珍しくひよりが起こしに来る前に目覚まし時計が鳴って起きた由奈。あくびをしながらキッチンへと行くと、ひよりがいつものように朝食を作っていた。
「おはよ、、ひより。」
「あ、ごめん。起こしに行く前に起きちゃったね。おはよう、由奈さん♡」
「うん、おはよ、、あれ?なにしてるの?」
「お弁当作ってるの~!昨日のお詫びにひより特製のオムライス弁当だよ♡」
「わぁ。上手に出来てるね。どうしたの、急に。」
「昨日の後片付けしようと思って早く起きたから。それと、かぼちゃのクッキーもほら!」
ひよりが得意げに見せたのは、ひよこの型で抜いたかぼちゃのクッキーを綺麗にラッピングしたものだった。
「わぁ、すごいじゃん。かわいくなってる!」
「へっへー!やればできるんだもんねー!これなら人に見られても恥ずかしくないでしょ?」
「朝からこんなに頑張って・・・。おいで、ひより。」
「あいっ!ご褒美抱っこして!」
ぎゅうっと由奈に抱きしめられたひより。頑張った甲斐があった。
「むふふ。お昼はオムライスだから、朝ご飯はトーストだよ!」
「うれしいな。ありがとう、ひより。」
「・・・ところで、今日は何か夢をみましたか?由奈さん、、」
「ん?見たかもしれないけど、、覚えてないなぁ。なんで?」
「いや、それなら別に大丈夫。」ほっ・・・
「ひよりを抱っこして気持ちが良かったから、良い夢を見たと思うよ?」
「ナンカゴメンナサイ・・・。えっと、コーヒー入れるね♡」
「うん。何から何まで、ありがとう、ひより。幸せだよ。」
「このくらい、由奈さんにしてもらってることに比べたらたいしたことないよ!」
うん。本当にな。。っていうか、ひよりでうなされたのを覚えてなくて良かった・・・。ひより株、暴落の危機は免れたぜ。。
「ひより、今日は戸田っちと図書館でがっつり勉強してくるね!わからなかったところだけ由奈さんに聞けるようにしておく。」
「うん。わかった、頑張ってね。私もひよりのお弁当食べて仕事頑張るね。」
「うん!ひよりと由奈さんはナイスカップル!だよね??」
「うん。最高のカップルだよ。」
「良かった・・・。あのね、ハロウィンのお菓子は買うことにするね、、」
「ひよりはもらう側だから私が買ってくるよ。仮装して家で待っててね。」
「あ、そうか。じゃあ、仮装する!グロいのとかわいいのどっちがいい?」
「もちろん、かわいいやつ。」
「わかった!♡」
ひよりの心の声。
(よし。由奈さんの好きそうな、バブみのある仮装でイチコロだぜ。なんならオムツで…それじゃ仮装じゃなくてコスプレか!)
由奈の心の中。
(ああ、なんてかわいいんだろう。なんて健気なんだろう…ひより。。お弁当にひよこのクッキーまで、、誰かに自慢したいな。優司にでも写メ送っとくか。)
案外、したたかなひよりに、まだ気づいていない由奈だった。
続く。
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