第101話 オバケとモテは怖いスコール女

 映画を見終わると、真っ青になったひよりは由奈の腕にしがみついて震えながら歩いた。


「もう、、途中で観るのやめる?って聞いたのに、、意地張るんだから。。」

「だ、だって、、最後まで観ないと逆に気になるじゃないですか、、。」

「確かに、ちょっと怖かったね。これじゃ夜はひよりがトイレに行くときはついていかないとかなぁ。。」

「な、中までは入らなくて良いので、、ドアのところにはいて欲しいです。。」


 コアラのように由奈の腕にしがみついたままのかわいいの塊、ぴより。やっと外へ出て余裕が出てきたようだ。


「由奈さんはお昼ご飯、なに食べたい?」

「そうだなぁ~。普段食べないものかなぁ、、」

「ひより以外ですね??じゃあ、お好み焼きとか、、」


「え、ひよりちゃん??!」

「・・・え?あああっ!?」


 ひよりは思った。なんて日だ…。今日は外へ出てはいけなかったんだと。声をかけられて振り向くと、今度はジムで出会ったさゆりがいたのだ。


「ひよりちゃぁん!偶然だね!わー!会いたかったから嬉しいな!あ、えっとそちらはお姉さん?」


 由奈にしがみついたままのひよりを見て、さゆりはてっきり、由奈のことをひよりのお姉さんかと思った。


「ね、ね、ひよりちゃん、今度はいつジムに来る?待ち合わせしようよ?」


 ぴーんっ!由奈の危険察知レーダーが振り切った瞬間であった。

(・・・なに?ジム?待ち合わせ?察するにこの女がひよりを狙う女子大生か?ひよりには指一本触れさせないぞ?ここはしっかり喉元を狙って行かねばなるまい、、)


「ひより?この方はどなた?」ニッコリンチョ

「あ、えっと。こないだジムに行ったときにお世話になった人です。」ヤベェメガワラッテネェ‼


「お姉さん、初めまして。さゆりと言います。えっと、ひよりちゃんとはこないだ仲良くなって、」

「いえ、私はひよりの恋人です。初めまして、うちのひよりがお世話になったそうでありがとうございます。」*王者の佇まい

「へ、、こ、恋人??う、うそっ!ひよりちゃんの彼女ってこと?」ガーン


 慌てて仲裁に入るひより!ここはひよってる場合じゃねぇ!と間に入った!


「そうです!さゆりさん!この人が私の恋人で由奈さんです!さ、最近、独占欲が強くてひよりは軟禁されていますから、さゆりさんとジムには行けませんっ!ごめんなさい!!」


「え、軟禁?ちょっと、それ大丈夫なの?」

「ちょっと待って、ひより。それはさすがに盛りすg、」

「ではっ!失礼しまーす!ゆ、由奈さんっ!」グイッグイッ‼

「えっ!ひよりちゃんっ!!本当に彼女なの?軟禁って…」

「さよーならー!」

「え、なんかひよりちゃんが軟禁してるみたいに見えるけどぉ!?」


 由奈を引っ張り走って逃げるひより。

(やめてくれぇぇぇ!由奈さんの機嫌を損ねるようなことを持ってこないでぇぇぇ!!)


「ゆ、由奈さん!!ひよりはもうお外がコワイですっ!!今日は帰りましょう?!」

「ちょ、もう走れない!一旦止まってよ、ひより!」

「だって、ひよりは浮気なんてしないもん!やだやだ、怒っちゃやだ!」

「怒ってないから!あらぬ疑いはかけられたけど…。」

「ひよりは潔白ですぅぅぅ!!」ギュゥゥゥ‼

「わかった!わかったから!どうどう!」イタイイタイ‼

「ひよりはモテないもん!由奈さんのためにかわいくなったんだもん!今日のはたまたまだもんーー!!!」アンギャァァァ!!

「わかったわかった。まったく、ヤキモチ妬く暇もないな。。」

「ヤキモチはダメ!喧嘩になるから!」

「わかったよ。いい子だから、お昼ご飯食べに行こ?」

「・・・うん。あのね、もうひよりのこと狙ってる人いないからね?本当だからね?」

「わかったよ。。ひよりは私のことが好きなんだもんね?」

「うん。。由奈さんしか好きじゃない。。」

「ありがと。私もひよりしか好きじゃないよ。」

「機嫌悪くなってなぁい?ひよりのおっぱい触る?」

「なってないよ。後で触らせてね?」

「うん。ひよりのおっぱいは由奈さんだけ触って良いやつだからね?」

「ありがと。嬉しいよ。」

「由奈さんのおっぱいは?」

「ひよりだけ触っていいよ。」


 今までモテたことがなかったひより。本気でモテたことに怯えていた。


 さゆりが幸せになる話は、またいつかどこかで…。


 続く。


 

 

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