第100話 やめろぉ!喧嘩の種を植えにくるんじゃねぇぇぇ!

 ひよりと由奈が映画館に着くと、由奈がチケットを購入しに行き、ひよりはポップコーンを買いに行った。


「ひよひよ〜、チケット買ったよ〜!」

「あ♡あのね、ポップコーンね、キャラメルにしたよ!由奈さん、塩じゃなくて大丈夫?」

「え、うん。キャラメルでいーよ?」

「由奈さんはベッドの上では甘いけど、見た目は薄塩だから…♡」

「コーラ買ってくれた?」*無視

「うん♡ひよりはメロンソーダ!」

「あれ?ダイエットしてたんじゃ…?」

「ぷー!今日はいーの!デートだから!」

「あはは、ひよりのぷくぷくほっぺはこのままにしてね♡」

「ふぐぅ〜!ほっへふにふにしないでふははひ!」


 2人が安定にいちゃこらしていると、またしても声がかかった。


「あ、六浦さんじゃん。」

「え?うげぇ!!?」


 振り返ると、ひよりのクラスの最強イケメントリオがいた。そう、ひよりを狙うイケメン小山もだ。


「六浦さんは何観るの?会えて嬉しいよ。そちらは…お姉さん?」

「ひゃっ、、えっと、あの、」


 ムカ。小山がひよりに近づいて馴れ馴れしくしたのを見て、由奈は大人気なく嫉妬した。だが由奈は大人であるところをひよりに見せたかった。


「この子達は、ひよりのクラスの子?」*敢えて子ども扱い。

「は、はい。そうです。」

「そっか。じゃ、時間だし行こ?」

「はい!じゃあ、これで!」ペコッ

  

 由奈はひよりの腰を抱くと、余裕の笑みをたたえてシアタールームへと歩いて行った。


「あ、六浦さん…。」

「あはは、お前振られてんじゃん。」

「うるさいなぁ!」


 哀れイケメン小山。


「ひより?お友達ともう少し話したかった?」

「え!全然!?友達じゃないし!」

「イケメンだったね。あの子、ひよりのこと好きなんじゃない?」

「な、なにを!?あんなの、由奈さんと比べたら月とすりっぽんです!あーもうやだやだ!せっかくのデートだからそんな事言わないで!うるるんしてきちゃいます!」

「わかったわかった。ごめんって。ひよりはかわいいからモテるだろうなって。」

「モテてもモテなくてもひよりは由奈さんしか好きじゃありません!」

「こないだもモテてたみたいだしなぁ〜?」

「やだっ!モテなくてもいーもん!由奈さんがいればいんだもん!!」

「くっ、かわいい!さ、映画観ようね?」

「うん!ねぇ、怖いやつにした?」

「うん。ホントにヘーキなの?」

「手、繋いでてね?」

「なんで怖いのに観ようとするの…。」

「デートだから!抱きついて観るの!定番デートなのっ!」

「そっかぁ♡」

「怖いかな、、おトイレ行けなくなるかな…?」


 シアタールームに入ると、ニコニコしながらキャラメルポップコーンを頬張るかわいいの塊、ぴより。由奈の手をもみもみして、ポップコーンを由奈の口に入れたりして落ち着かない。

 そして予告が始まり、本編が始まると、予想より映画は初っ端から怖かった。


(ひぇっ、、こ、こわっ…!びくぅっ!!ガタガタガタ…。ゆ、由奈さんっ!!びぇぇぇ…)


 しがみついて由奈の手を握るひよりの手は、手汗びっちゃりだった。


(のわーーーっ!うぎゃーーー!怖いーーー!志村ー!うしろぉー!)ぎゅぅぅぅぅ!!!!


 映画よりひよりが気になって内容が頭に入ってこない由奈だった。


 続く。


 

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