第9話 根負けしつつあるドライヤー女

 日曜日の朝。


 由奈が目を覚ますと、隣に溺愛スコール女が寝ていた。


「え?は?なんでいるの?」


 確か、私は熱で苦しくって、とりあえず明日来てくれって無理矢理追い返したはず。。なのになぜ?私のベッドで一緒に寝ているの?この子は・・・


 あ、ちょっと思い出した。確か、、


 22時頃だったと思う。追い返したんだ。まだ熱があったし、何を言っても会話にならない気がして・・・。長丁場したくなくて査定時間を設けて帰したんだ。


 そして、0時過ぎ、彼女は玄関のチャイムを鳴らした。


「は、はい・・・。」

「あ、ひよりです。」

「え、な、なんで・・・。明日って言ったじゃん。。」

 由奈はよろよろと玄関のドアを開けた。


「あの、これを・・・。」

「え?なに?この封筒、、中身を見ろってこと?えっと・・・?」

 大きめの茶封筒を渡され、目を回しながら中身を見ようとする由奈。


「こ、これは??」

「履歴書です。すみません、履歴書用の写真がなかったので、自撮りして印刷したものを貼りました。何卒よろしくお願い致します。」

「あ、え、わ、わぁ、グラビアみたいな写真が・・・。意識遠のきそうなんだけど。。」

「あともう一つ入ってます。」

「え、まだあるの?ごめん、もう、限界だからその、、本当に明日に、、」

「一応約束通り日付が変わってから来たのですが、、あの、凄く具合が悪そう。私やっぱり看病を・・・。」


 ああ、もう、無理。。話してられない・・・。ぜぇぜぇ

「貴方が来るから具合が悪くなるんだけど?もうドア閉めるよ?」

「あ、ごめんなさい・・・。」


 ドアを閉めようとする由奈。がしかし、恋の女神はひよりに傾いていた。フラフラと力なくその場にしゃがみ込む由奈。


「ああっ!!や、やっぱり。。私、なにもしません!だから看病します!」


 さ、さすがに、、もう、これは・・・


「お、お願い・・・。助けて。。」



 と言うことで、止むなく家に上げてしまったんだった。

 しかし、なぜ一緒に寝ている。まぁ、床とかに転がってるよりマシだけど。。この子未成年だし、、ご家族に何か言われても困るからなぁ。。


「おーい、ちょっと?ひよりちゃん??なんで私のベッドにいるの??起きて?」

 ぽんぽんっとひよりの肩を軽く叩いて起こす。


「う、んんっ・・・。まだ寝る・・・。」

「ちょっと?ここは家じゃないよ?帰って寝なさい??」


 はぁ、、まったく。しつこいな、この子。

 っていうか、まだ高校生って言ってたな。親に言ってきたんだろうか、、。良く見るとまだあどけない・・・。


 うーん。


 うん。かわいい顔してんな。え、かわいいじゃん。


 と、ひよりが軽く目を覚ました。


「あ、アレ・・・。なんでこんなところに・・・(由奈さんが?)


 夢?・・・夢なら、覚めないで・・・。」



 あ、この感じ。


 もう、多分これがずっと続くんだろうな。

 私、今、ひよりちゃんに両手を掴まれて、ひよりちゃんに引き寄せられてます。。

 これ、間違いなく。うん、そうだね。


(スロォーモーションンー)


 また、キスかぁ。。


 くちびる、、やわらかっ。


 もう、いいや。この子半分寝てるし。


 しっかり味わってキスをした。


 乾いた反応を仕切れない。乾かせないドライヤー女、由奈。


 (アナターノー ラブモ・・・ョ・・・ンー・・・)




 続く。

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