第7話 凪咲、中学受験に申し込む
学校では、放課後、中学受験組の子は先生から説明を受けていた。保護者にわたす書類をもらったが、気の進まない中学受験に
「なぎさー! ちょっとだけこっち来て」
「おー
「あっぶなっ。ちょっと腕痛いよ。なーに?」
「凪咲、本当に、ほんとーにマジで受験するの?」
「うん、気が乗らないけど受けるつもりだよ。でも……私立に行くほど裕福じゃないっていうか、お金が心配になるレベル」
「ええー⁉ もうさー無理して行く必要なくね? お金があり余っているなら別だけどさー。見栄? 見栄なのかアイツら」
「本当ね、特に女子は無理してでも行った方がいいんだとか説得されて、大山川家メソッド? よくわかんないけど聞かされて、言い返しても聞く耳もってくれないから、反論するのも面倒くさいしで……都会じゃあるまいし、私立に行く理由が分からないよぅ」
「それはねー! ズバリ集団心理だよ。五人位でママランチやカフェに行くと強い人の意見が正義で一人違う意見を言うと異端扱いされるじゃん……て、ママがママ友に愚痴っていたのを聞いた」
「もう。また盗み聞きしているの? それ
凪咲は困った顔をした。
「それはねー。ズバリ大山川一派から抜けたら、凪咲の立場が悪く言われないように、なのかもよ~」
「ええー。大人同士の付き合いムズ。これだから大人は……」
「でさー凪咲は、将来なりたい夢ってある?」
「夢? 夢か……なんだろう? 安定した収入の職業かな。忙しくない仕事、あと
「はあ、そんなもんだよー。あたしは小さい頃はアイドルだったー。けど、今は目立つの好きじゃない」
「逆に小学生で
「ナイナイ」
「うんうん」
二人は目を合わせ笑った。
***
家に帰ると、ノアム猫騎士が来ていて、凪咲の部屋のウォークインクローゼットの中にお茶を飲むスペースを作りすっかりくつろいでいた。凪咲の母親は日中パートで留守ではあるが、念のため隠れている。
「聞いてよぅーノアム」
今日の出来事を話した。
「にゃふぅ……。人間関係は大変ですね。わたくしはこれからも妖騎士として
「どんな感じ」
「足の引っ張り合いでしょうか。
「あーはは。本当に足を引っ
「猫じゃありません、あやかしです。最終的に強いモノがあやかし世界を制するので
「じゃあ、その気になれば、あやかしたちが人間界にきたら、
「そうです。
「そうなのね」
「ああ、今日来たのは、報告です。またボス貓鬼の
「ホント⁉ うれしい!」
凪咲が吹きこぼれるような笑顔を見せると、ノアム妖騎士はなぜか面白くない気分になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます