少しの予感

あーる

少しの予感

いつもの生活の中でほんの少しだけ特別な時間がある

それは誰かにとっては気にも留めないような

些細なことかもしれないけど

私にとっては何よりも大切な時間で守りたい時間


例えばいつもの朝食に果物が並んだり

いつもより少し高いスイーツを食べたり

いつもより長く湯船に浸かったり

そんなことが私の毎日にあることで

私の世界は色づいて心が豊かになる

その色は私の世界を温めて

その豊かさは私の世界を優しくしてくれる


最近の私の少しの特別は

オルゴールの音を聞きながら本を読むこと

オルゴールの音は不思議な魅力がある

聞く人の心を強く引き寄せるはずなのに

とても優しく包んでくれる

そしてこの音を聞いていると

とても優雅に丁寧に時間を使えている気がしてしまう


最近はCDでたくさんの曲を聞くことができるからありがたい

子供の頃に口ずさんだ童謡や

学生時代にいつも聞いていたお気に入りの曲

それから興味はあったけど手が出しずらかったクラシック音楽

そのどれもがオルゴール調の音楽になってCDに収まっている


そのCDをプレイヤーに入れて

音楽を流しながら私の意識は本の世界に向かう

最近読んでいる本は

私が好きな作家さんが出した新作の小説だ

小学校の時に学校の図書館でこの作家さんの小説に出会ってからずっと好きだ

あの頃の私はこの作家さんの物語の世界が

私の世界にも本当にあると信じていた

そして大人になった今では頭の中でその世界に行けるくらいには

賢くなったと思う


この作家さんの特徴はタイトルに大きな秘密があるということ

物語の結末や物語の秘密がタイトルに使われたりしている

それでも作品が単調になったり

物語の構成が予測できないのがすごいところだと思う


今回の小説のタイトルは『予感』で

いろんな伏線が物語の中に散りばめられている

私はこの作品でどれだけの伏線に気づくことができるか挑戦もしている

けれどこの小説を読み終わる頃には

自分の考えがあまかったと納得するだろう


小説を1章読み終えて私はオルゴールの音楽の響く世界に帰ってくる

そして音楽を止めて電気を消して眠りに着く

目を閉じるとそこには小説の世界が広がってしまう

今夜見る夢の物語がこの世界になることを願いながら

小説の展開を想像してしまう

きっと的外れなその展開は

朝になれば夢から覚めるのと同時に消えてしまうだろう

それでもこの時間も私にとってはとても大切な守りたい時間だ


今回の小説は朝食の風景が丁寧に書かれていた

そしてそこの朝食は文字でもわかるくらいに美味しそうで

私も朝食の時間をもっと丁寧に味わってみたくなってしまった

そのせいか今日の買い出しで色鮮やかな野菜が目に入ってきた

朝は時間がないから

簡単にできる温野菜にしようと決めて目的の野菜に手を伸ばした

温野菜といえばブロッコリーはハズぜない

彩りのことを思うと人参とカボチャもいい

そのまま次の売り場に行こうとすると

アスパラガスと目が合った気がした

そんなファンタジーな展開があってもいい気がして手を伸ばした


明日の朝食はいつもより少しだけ特別なものになる

いつもの朝食に温野菜の彩りと温かさが増える

その色と温かさは私の朝に少しだけ特別をくれる

こんな少しの特別を大切に守れる私でいたいと思う

そんな私なら私のことも大切に守れるようになって

いつか特別な自分なんだと思える日がくるような予感がしている

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少しの予感 あーる @RRR_666

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