ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく! 2

タカハシあん

第0話 ちょっとした逸話

 まだ第13章を投稿するのは先なので、逸話を投稿しておきます。


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「シエイラ。ちょっといいか?」


 事務所で仕事をしていると、タカトがやってきた。


「マスター。どうかしましたか?」


 事務所には他の職員もいるので、仕事形態で答えた。公私は大切だからね。


 ……まさかわたしが一人の男を好きになるとは思わなかったわ……。


「どうかしたのか? 疲れているなら休めよ? 薬飲むか?」


「マスターはわたしの母親ですか?」


「家族だよ」


 この人はサラッと恥ずかしいことを言うんだから。


 まあ、オレの女だよ。とか言われたら恥ずかしくて顔を赤くしてしまうからいいけど、職員の前では止めて欲しい。ここにいる職員は昔のわたしを知っているんだから。


 ニヤニヤする職員たちは無視。あとで仕事を増やしてやるから覚悟してなさい。


「それで、なんでしょうか?」


「いや、お前用のパイオニアを買った。街にいくときに使ってくれ」


 パイオニアは高い。駆除員が稼いだとしても五百匹相当だ。


 わたしも何度かゴブリン駆除に出て五百匹がどんなものか体で学んだ。そして、円の価値も。この世界でたとえるなら家を買った。使ってくれと言っているようなものだわ。


「あと、見習いからお前用の護衛を二人選べ。これからセフティーブレットは大きな組織になる。お前の命の価値も高まる。お前になにかあればオレが困る。館から出るときは護衛をつけろよ」


 タカトが守る順番をつけているのは教えられた。


 ちょっと嫉妬を感じてしまうが、それはタカトの後悔だ。わたしたちを駆除員としてしまったと。


 それは違う。わたしたちはタカトに救われたのだ。


 本人に言っても納得しないでしょう。そういう性格だもの。今回もわたしの命を守るために言っているのだ。


 守る順番はつけるが、力を入れるのは皆平等だ。いや、守る力がない順に力の入れようは違う。


 ラダリオンは戦闘職だから武器や食事には制限は設けてない。


 ミリエルはタカトの補佐役だから同等の権限を与えている。


 ミサロは駆除をしないからホームの全権を任せている。


 ライガは……まだ決めてないわね。今は健全に育つようにしているわ。


 わたしもタカトの補佐だけど、一緒に駆除はできないからギルドの全権を与えられ、必要なものはすべて用意される。なにより、周りにわたしの立場を宣言している。わたしは自分の女だと。


 地位や名誉には興味はないけど、女としての矜持は誰よりも高い。いい男と結ばれることを誰よりも望んできた。


 タカトは女神の使徒だ。地位のある人からも一目置かれている。コラウスでは名の通った男だ。本人は自分を凡人だと本気で思っているけどね。


 けど、なにより嬉しいのはわたしを見てくれること。求めてくれること。大切にしてくれること。なにもなかったわたしに居場所をくれたことだ。


 それが素直に嬉しかった。


「お金は大丈夫なんですか?」


 頬が緩みそうになるのを堪え、あえて呆れ気味に返した。


「必要経費だ。また稼げばいい」


 ゴブリン駆除なんて強制されたことなのに、必要なことなら一切の躊躇いも見せない。努力を惜しまない。可能な限り、力を注ぎ込むのよね。


 わたしにはそれだけの価値があると言っているようで、さらに頬が緩みそうになった。


 ……まったく。この求められて幸せを感じる性格、なんとかならないものかしらね……?


「護衛の給金も任せる。金が足りないなら稼いでくるからケチるなよ」


「そんな大金を出したら軍隊ができますよ」


「必要なら軍隊を組織していいよ。お前が死なないならな」


 ほんと、そういうのは寝台の中だけにして! あんたたち、ニヤニヤすんな! 残業させるわよ!


「わかりました。こちらでやっておきます」


「ああ、ありがとな」


 優しく笑うタカト。この誑かし野郎め!


「外でそんな顔はしないでくださいよ」


「は? どんな顔だよ?」


 まったく、無自覚だから困る。いろんな女に狙われているってのに。


「いえ、マスターはそのままでいてください」


 本人は無闇に女を抱こうとはしない。魅力的な娘たちと一緒に暮らしてながら手を出そうとはしない。未成年だから範囲外だと、女とも見てないわ。


 体の関係を持っているのはわたしだけ。それがまた嬉しくなるから自分に呆れるわ。自分はたくさんの男に抱かれたって言うのにね……。


「オレはいつまでもオレだよ」


「でしょうね。変なところで頑固ですから」


「オレ、臨機応変だよ?」


「ゴブリン駆除では、ね」


 男女関係では頑固そのもの。いや、一途なのかしらね。わたしがいるからと、余計に他の女に見向きもしないんだからね。


「パイオニアと護衛のことはこちらでやっておきますよ」


「あ、ああ。頼む。じゃあ、オレは敷地内を見回ってくるよ」


 そう言って事務所を出ていった。


「なにか言ったら給金減らすからね」


 そう牽制し、感情が爆発する前に事務所を出て自分の部屋に向った。


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 第13章を( `・ω・´)ノ ヨロシクーです。

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