三題噺「砂浜」「魚」「天使」
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三題噺「砂浜」「魚」「天使」
天使は涙を流し、涙は魚となりて、砂浜に打上げられる。
それを拾って僕らは焼いて、身をほぐし、食べる。塩の味は僕の身体を循環し、地に流れ出される。それを波がさらっていく。
天使は涙を流し、涙は鯨となりて、砂浜に打上げられる。
それを分け隔て、あるいはなく、僕らは焼いて、身をほぐし、食べる。血の味は僕の身体を循環し、地に流れ出される。それが波がさらっていく。
天使は涙を流し、涙はクソデカ☆ジョーズとなりて、砂浜に打上げられる。
それにパックンチョされた僕らは身にほぐされ、胃の中で消化される。罪の味はジョーズの身体を循環し、海に流れ出される――
「どうしたのこれ」
「いや、三題噺をした放送主が、飽きてウマ娘を流しはじめたんだよね。それで」
「それでじゃない。文学や詩文を書こうと思ったのは分かるわよ。何よクソデカ☆ジョーズにパックンチョって」
「だから聞いてくれよ。放送主がウマ娘を流しはじめて、それで話が思い浮かばなくなった。本当なら僕だってこんな結末にしたくなかったよ」
「…………」
「僕は人間を罪となぞらえて、涙する天使との循環を描きたかったんだ。天使は罪深き人間を思う余りに涙をし、それは人間の腹を満たす魚となって、それを取った人間が排泄をして罪を塗っていく」
「で、だからこそ何よそのクソデカ☆ジョーズにパックンチョって」
「いや、魚が罪の味を覚えたらどうなんだろうなあと思って。でもウマ娘のせいで台無しだよ」
「あなただって課金してるでしょうに」
「うっ」
「でまあ、それはともかく、魚が罪の味を知ったらどうなるのかしらね」
「えっ……それはまあ」
「例えばなんだけれど、そのジョーズは罪の味を好物と思うのか、それとも否かなのかとか。天使の産物であるジョーズが罪の味を受け入れられるとは思えないけれど」
「もしかしたら、クソデカ☆ジョーズは今後人間らしい知識を得て、ミサイルとなって、天使の所まで飛んでいくのかもしれない」
「はぁ!? サメ映画の見過ぎよ」
「それが間接的に、涙を流し続ける天使への人間の恩返しになるかもしれない」
「どういうこと」
「天使を殺すことで、人間を思う苦しみから解き放たれるんだ」
「あなたってもしかして、サイコパス?」
「そんな!?」
三題噺「砂浜」「魚」「天使」 -N- @-N-
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