第7話 町の東とアーティファクト

焼串を食べ終えてから私は町の東へと移動していた。北がギルドと普通の住宅、南が食事やアイテム等が売っていたので、恐らくこっち側か西に武器や防具が売っていると思うのだが。


あれ?そういえば、防具の確認してない?

ステータスやスキルの確認はした。SPの確認もした。インベントリを開いて武器の確認もした。防具は…完全に忘れていた。

私は何かしらを忘れないといけないのだろうか?まぁ、取り敢えず確認するか...


▷〖布のローブ〗

「初心者用の装備。黒くて目立ちにくい。

どのような防具の上からでも着ることができる。

▶防御力:5

▶耐久値:無限

▶VIT補正:10%」


▷〖布の服〗

「初心者用の装備。黒くて目立ちにくい。

鎧の様な防具の下に着る事が出来る。

▶防御力:5

▶耐久値:無限」


▷〖布のズボン〗

「初心者用の装備。黒くて目立ちにくい。

鎧の様な防具の下に着る事が出来る。

▶防御力:5

▶耐久値:無限」


防具の性能はこうなっていた。

成程、全部黒色だから違和感が無かったのか。じゃあ気づかなくても仕方がないよね。そうだよね。


気をとり直して…防具の説明的に防御力を傘増しする事が出来るのかな?

でも下着代わりに着ることが出来るからか服とズボンはステータスによる補正が無いみたいだ。


とりあえず防具の確認も終えたので町の探索をする。町は北と変わらない普通の住宅ばかりだ。だが、何か違和感がある。


家の外観は北にあったものと同じで特に違和感が無い。じゃあ何が違う?

何かしらの違和感があるので何かがおかしい筈なのだ。


ふと右側の家と家の間の路地を見る。路地は全て人が1人入れる程の大きさしかない。反対側の路地を見る。そちらも人1人分の大きさしかない。


もう一度右側を見る。そして左側を見ると分かることがあった。鏡だ。鏡合わせになっているのだ。家の大きさや形、路地の位置まで全てが鏡合わせになっているのだ。


しかし、その中にただ1つだけ鏡合わせになっていない家がある。恐らくあれが違和感の原因だろう。

そしてあの家には看板がついている事から、何らかの店である事がわかった。

しかし看板には何も書かれていないので何の店かは分からない。


どうしよう。何があるか気になる。

しかし何が起こるか分からないという不安もある。

…決めた。意を決して入る事にする。


そして扉に手をかけ中に入る。内装は落ち着いた色合いの店で、奥にはカウンターがある。入口から壁沿いには棚があり、

様々な骨董品のようなものが置かれている。


骨董品を見ていると、カウンターの奥から誰かが出てきて声を掛けてきた。


「どちら様かな?」


その声は高く、女性の声である事がわかる。骨董品からそちらへ目をやると、そこには白色のローブを着て、フードを深く被った人物が居た。

プレイヤーのローブは黒かったので、恐らくNPCなのだろう。


「なにか用ですか?」


暫く返事をしないともう一度声を掛けられた。それに対して私は返答する。


「いえ。表に看板があったのでお店だと思ったのですが、違うのでしょうか?」

「…看板には何も書かれていない筈ですが、何故入って来ようと思ったのですか?」


返答をすると、そう聞かれた。

そして、更に返答する。


「看板があり、この家だけ周りから浮いていたので。」

「浮いていた、と...まぁ、ここには何も無いですよ。対して価値のあるものは置いてない。気に入ったのがあれば持っていって下さい。」

「良いのですか?」

「構いません。」


そう言って彼女はカウンターに座る。せっかくなので棚にあるものを見る。棚には、様々な物が置かれていた。

ネックレスや、装飾の施された杖。

更には壺など、統一感が無い。


そこで一つ、目を引く物が合った。

それは、1枚の紙だ。手のひら大の大きさで、長方形になっている。

しかし、何も描かれていない、白紙の紙。


統一感が無い中でも、何故か目を引くそれに手を伸ばす。そして、手に取り、彼女に向かって言う。


「これを貰えますか?」


すると、


「…何故これが良いの?」


そう質問された。なので正直に答える。


「なんとなく。目を引かれたので。」

「…そうですか.........1回、紙を私に渡して貰えるかな?」


彼女にそう言われた。私は躊躇うことなず、彼女に紙を渡した。すると、彼女は紙を撫でながらこう話し始めた。


「紙1枚では物足りないでしょう?

少し、話をしてあげる。

この町は最初、小さな村だったそうよ。

そして、平和に暮らしていた。

しかし、ある日魔物が近くに巣を作ったことで、村は危機に陥った。そして、近隣に助けを求めるにも魔物の巣が有り、もう終わりだと思われた。

しかし、ある日放浪の旅人が訪れたそうだ。村はその旅人に事情を話し、助けを求めた。話を聞いた旅人はそれを了承し、魔物を倒し、巣を無くした。

その後、旅人は村に歓迎され、あれよこれよという間に村を治める立場になった。

旅人は自由に生きて来た為、何をすれば良いか分からなかった。何をすれば良いか分からなかった旅人は、完璧であろうとした。そして、いつの間にか本当の自分を見失ったとさ。

長い話をして申し訳ないわね。

さぁ、この紙が欲しかったのでしょう?

上げるわ。」


そうして彼女から返された紙は、白紙では無くなっていた。

代わりに、紙には「0」の数字が書かれていた。


「最後にもう1つ。そのカードは1枚だけでは無い。残りを集めた時に真価を発揮する。」


紙では無く、今度はカードと、彼女はそう言った。その直後、『xree』と『lalia』がログアウトした時に現れた光に自分が包まれた。


そして、気がつけば、町の中央の噴水前に居た。手にはカードを持ったままだった。

そして、カードには説明が新しく乗っていた。


▷〖謎のカード〗

「【アーティファクト】。カードには「0」

という数字が書かれている。

▶【スキル】:####

▶ステータス補正:+10%」


カードの説明には【アーティファクト】の文字があり、破格の性能を持っていた。

そこで、私は気付いた。

『初心のネックレス』、詳しく確認してないじゃん…

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