進め!大口高校弓道部
羽弦トリス
第1話はじまり、はじまり
ここは、とある地方の高等学校。
その名も、県立大口高等学校。グラウンドの端っこにプレハブ小屋がある。グラウンドは半分が野球部、半分がサッカー部の領地。
第2グラウンドは、ラグビー部、テニス部。
もちろん、テニス部はテニスコートが設置されている。
このプレハブ小屋は、周りの運動部から、「第7サティアン」と呼ばれ、部員が白い薬品を散布しているとウワサされていた。
実はこの通称「第7サティアン」は、弓道部の練習場なのだ。
「キャプテン!」
「何だ?川原」
「キャプテン、さっき撒いていた白い薬品は何なの?」
川原は女子部員を率いる副キャプテンである。
「薬品?これ?」
「うん」
「尿素だよ!」
「何で、そんなの撒いてるの?」
「ゴーヤが大きくなるからね」
「あんた、ここはジジイの家庭菜園じゃないんだからさ~、止めなよ」
「緑のカーテンを作ることは、環境に貢献するからね」
川原は呆れ果て、小屋に入っていった。
「北京、ダブリン、キャプテン、マラリア」
「誰だ!オレがマラリアって歌うヤツは?」
「あらあら、せいがでますなぁ~」
森田だった。コイツは女子テニス部の見学をしてから、部活を始める男だ。
彼が言うには、女子テニス部のコスチュームは目の保養になるらしい。
「キャプテン、来月の地区大会の更衣室確認した?」
「男子なんだから、体育館で着替えろよ!」
「いやいや、女子更衣室だよ」
「……変態」
「これは、現代日本の大問題だよ。何で男子更衣室が無くて、女子更衣室はあるの?男女平等。水間なんて、巨乳でしょ?せめて、僕と一緒に……」
森田は両手の平を合わして、懇願した。
「おやおや、第7サティアンの前で尊師に頭下げて、カッコいいですな!」
「黙れっ!久保塚!」
「キャプテン、何を森田から頼まれていたの
?」
「水間のおっぱい見たいんだってさ。サイテーな男だろ?」
「……水間のおっぱい……悪くないね」
久保塚も両手の平を合わせた。
「また、アイツら藤岡に手のひらを合わせて、何か祈ってるよ!」
サッカー部員が話していた。
「藤岡って、前回の地区大会で個人の部で優勝したから、きっと"尊師"って呼ばれてるよ!」
「アハハ、尊師か~。藤岡も変わりもんだからな。さっきも薬品散布したぜ」
「見ると、僕らがバカになるから練習、練習」
「パ、パ、パパパパパパイッパツマーン」
このバカは園山だ。
頭の中は腐っている。
「何、キャプテンを拝んでるの?チミ達よ」
「変態はあっち行け!」
森田が言うと、
「お前らが、変態だろうが!おっぱい、おっぱいって!」
「おっぱい?君たち良い品手に入れたよ!無修正」
「ほ、ホントか?園山?」
「ほらっ」
園山はリュックからエロ本を取り出しページをパラパラと捲った。
森田と久保塚は園山のエロ本に興奮し、3人は部室の更衣室に入っていった。
藤岡はゴーヤに水やりを始めた。
「よっ、藤岡!」
「おっ、プレイボーイ」
イケメンの小宮だった。コイツは女には不自由しない男なので、周りより余裕がある。
「藤岡はスワローズのファンだよな?」
「そうだけど」
「スワローズ対ドラゴンズのチケット余ったんだけど、いる?」
「欲しい、欲しい」
小宮はチケットを1枚藤岡に渡した。
小宮は部室の更衣室に向かった。すると、直ぐに戻ってきた。
「どうした、小宮」
「カギかかってる」
「あぁ~、バカ達がエロ本見てる。30分は出てこないから、一年の女子の型見てやって。この後、オレも行くから」
これが、大口高校弓道部の主な面々である。
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