ヤンデレちゃんと溺愛ちゃん
イノリ
ヤンデレちゃんと溺愛ちゃん
わたしは
里愛ちゃん。私の運命の人。
美人で真面目な優等生、西暦2007年8月14日生まれ、一人っ子、身長162.7センチ体重54.2キロ、趣味は猫動画探索とサイクリング、眼鏡をかけた姿が若干のコンプレックス、読書傾向は流行りものが表向きのメイン、実は人に見せられないヘヴィな恋愛ものが大好き、お風呂では左肩から体を洗い始める派、初めてえっちなサイトを開いたのは中学一年生のとき、性癖は案外ハードなものが――おっと語りすぎました。
わたしは里愛ちゃんのことはほとんど何でも知っています。だって好きなんですもの。
ストーカー? いえ違いますとも。単なる恋する乙女です。
はぁ、ほんとは里愛ちゃんと暗がりでキスしたり、密室で体に触れ合ったり、わたしの家で快楽に耽ったりしたいんですけどね。告白する意気地もないわたしは、いつまで経っても友達どまりです。
「ねぇ
「ん? なぁに、里愛ちゃん?」
「ちょ、ちょっと離れてほしいわ、なんて……」
「えー、なんで?」
お昼休み、友達を後ろから抱き締めて匂いを堪能するくらい普通のことです。たぶん。
それを毎日繰り返すのも至極当然のことのはずです。きっと。
「せめてあと三十分」
「授業、始まってしまうわよ」
「ヤダヤダヤダ、里愛ちゃんと一緒にいるのーっ」
それができなきゃ死ぬのーっ!
わたしは更に、里愛ちゃんにぎゅーっと抱き着きました。
「うっ、重い……」
「えっ、愛情が?」
「体重が!」
なんだよかった。わたし程度の愛し方なら全然普通みたいです。拒絶されたらうっかり心中でも計画しちゃうところでした。
それとももしかしてわたしの愛情に気づいてもらえてないんでしょうか。里愛ちゃんは結構鈍感なところがありますからね。わたしの愛のこもった見守りも勘づく気配がありませんし、ありえる事態です。
だとしたら、これからはもっとアプローチをかけた方がいいのかもしれません。
そしていつの日か、里愛ちゃんの方からわたしに告白してもらうのです! 愛しの人の方から告白してくれるシチュエーションはわたしの憧れですもの!
目指せ、里愛ちゃんとのイチャイチャライフ!
◇◆◇
深月は知らないだろう。私がどれだけ深月を愛しているか。
「ねぇ、ダメ?」
「離れなさい」
「むぅ」
厳しい態度を取りつつ、深月の愛情の温度が離れたことに大いなる落胆を抱く。
深月。仕草、表情、顔つき、行動、雰囲気、体温、柔らかな胸元、細い腕、駆動する指先、爪の光り具合、指と指の間のライン、肌の奥にかすかに見通せる血脈、呼吸の音とそれが生み出す空気の流れ、絶えず紡がれる心臓のリズム、魂が放つ色とりどりの感情、世界に根付いた深月という概念に至るまで、その全てが可愛らしく、狂おしいほど愛おしい。
正直に言ってしまえば、暗がりに連れ込んで(自主規制)したり、自宅に連れ込んで(自主規制)したり、(自主規制)に連れ込んで(自主規制)した後(自主規制)したい。
まあそこまでいかなくても、正直に言えば自宅に一か月ほど監禁して洗脳したい欲求はある。
でも私だって、愛する人を不幸にさせたくないという当たり前の感情は持っている。
だから深月の誘惑も、毎度必死に払い除ける。
私の毎日は常に理性との戦いだ。気を抜けば人生が終わる。(深月の)
深月の健やかな将来を守るため、今日も私は誘惑と戦う。
いつの日か、我慢が
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