第64話 結果発表
ナツキ『ごめんなさい。この土日ちょっとお仕事忙しくて夜のゲーム付き合えないわ(>_<)』
チャットアプリのグループにナッキーさんからこんなメッセージが届いた。ユージとアキは手に入れた新キャラクター、エクレーラを協力プレイで試したかったようでとてもがっかりしていた。
このメッセージのあと、オレたち3人は個別でメッセージのやり取りをして、ナッキーさんの都合がつく日まで期間限定イベントの4人協力はお預けすることにした。
よく考えれば、学生のオレたちよりずっと忙しい生活を送っているはずなのだ。毎日ではないにしろ、たくさんゲームに付き合ってくれていることにもっと感謝してもいいのかもしれない。
アキ『テスト返しまで一旦、協力プレイは休止ね? まぁ明後日なんですけど』
アキから個別でこんなメッセージが届いた。明後日は期末テストが返却される。高校生になってからテスト返しに対して、これほど待ち遠しさと同じくらいの忌避を感じたのは初めてだろう。
ただ……、不思議と結果を見る前からやりきった充足感には満たされていた。ひょっとしたら、ここだけはアキも同じではないだろうか?
インドアのオレは、特に予定をつくらないまま土日の連休を終えて月曜日を迎えた。
午前中から順番に各教科のテストが返却されてくるが、すべての教科が手元に戻ってくるまではアキに結果を伝えないようにしていた。
数学のⅡとBは一緒に返却された。どちらのテストも平均点は50点代の半ば、特に難しいわけでもなく、かといって簡単でもなかったようだ。
数学Ⅱの得点は88点、Bは79点。数学Bに関しては自分が思っていたより低い得点だった。簡単な計算間違いをいくつかしていたのが勿体ない。
昼の授業で英語Ⅱとオーラルコミュニケーションのテストが一緒に返ってきた。英語Ⅱの平均点が40点代後半と非常に悪く、英語の担当教師の機嫌は終始悪かった。オーラルコミュニケーションも50点代前半の平均点、どうやら普段より難しめのテストだったようだ。
そして、オレの結果は英語Ⅱが65点、オーラルコミュニケーションが70点と平均点を鑑みると悪くない得点だった。中学まで遡っても、英語の勉強量に対して結果が伴ったのは初めてだと思う。
オレのテスト結果は他の教科もこれまでに比べて良い方だった。数学・英語に勉強の比重を置いたがゆえに、他の教科の点数は落ちるかと思ったが、むしろ逆の結果になっている。
なにかひとつでもがんばると、案外それと並行して他もがんばれるものなのかもしれない。
放課後、前後に並ぶオレとアキのところへユージがやってきた。ついに数学・英語のテスト結果の発表だ。アキの表情は自信があるともないとも判断つかない普通の表情だ。
「そういえば、勝敗が決まった後のこと決めずにやってたよな?」
「もう結果出てるんだからどうでもいいわよ、変な罰ゲームとか興味ないのよね」
「それじゃ、数学2つと英語2つの合計得点を同時にどうぞ!」
ユージに言われて、オレとアキはせーのでお互いの4教科合計得点を口にした。
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