【第五回 その2】 鬼のいぬまに

 後半です。よろしくお願いします!



【五話目】第5話 白と黒


 白飾様は晴姫が自分の正体に気づかないように影武者をつくっていたんですね。

 つまり、牛鬼を殺したのは本物の白飾様で、第4話で鷹丸を出迎えたのは偽物だったということですね。



 「鬼は人を喰らえば喰らうほど、成長をする」は、“成長する”が適切だと思います。



 「の白飾様」ですが、彼はなぜ呆然と立っていたのでしょうか。本物が晴姫に近づくことができたのを見計らってその場を離れるか、本物を護衛するなどしても良さそうですが、何もせずぼーっとしていたというのが気になりました。



 触手ってどんな感じの見た目なんだろう……質感や色、太さなどの描写があればよりリアルになりますね。



 偽物さん、ぼーっとしすぎでは!? ちょっと抜けているところがある人間ということでしょうか。



 もはや自分で鬼を召喚してしまう鷹丸。晴姫さえいれば案外使いこなせるかも……?



 弥彦ヤヒコと弥太郎を守ろうとする白飾様。確かに鬼の行動とは思えない人間らしさがありますね。これが何を意味するのか、今後明らかになるのでしょうか。



 「もっと寄越せとさらに叫ぶ」ですが、実際には「もっと寄越せ」という言葉は発していないと思うので、“そのような雰囲気を醸し出している”ことがわかる文章にすると良くなりそうです。



 何百もの触手……想像しただけでモゾっとしますね。

 「何百もの触手を表した」は、“現した”の方が適切です。


 肌を隠していた理由もさりげなくわかりましたね。このような説明を情景に溶け込ませるのはとても良いと思います。



 触手の束の中を喰い進んでくる餓鬼怖すぎる。



 「その時、晴姫の身体はその強い意志を持って導かれた」の少し後に再度、「強い意志を持った~」と同じ表現が使われているので、どちらかを別の言葉に変えると良いと思います。



 晴姫が話した助かる条件とは一体……




【六話目】第6話 力のない者達


 白飾様と兄弟二人の関係が気になるところです。なぜそこまで互いに思いやりを向けることができるのでしょうか。



 白飾様は「吸血鬼きゅうけつおに」だった。ということは、あの触手は血を吸うためのものなのでしょうか。いや、これ以上考えるのはやめておきましょう……



 「それを聞くと晴姫は弥太郎から盃と短刀を奪い、そのまま自身の左手に刃を向けた」のシーンですが、目が見えないにしてはスムーズすぎる気がします。

 個人的には晴姫が実は目が見えているという線を捨てきれずにいます笑



 「鷹丸は優しく諭すように語る」とありますが、“諭す”は目下の人に対して使う言葉です。今までの鷹丸の振る舞いを見ると、晴姫に対して下手したてに出ていると考えられるので、別の言葉を用いるべきだと思います。

 反対に晴姫の場合ですが、こちらも「諭す」は微妙ですね。


 「鷹丸はいつも殺す側にいた。~」。考えさせられる一文ですね。弱者の立場をわきまえた者こそが真の強者といえるのでしょう。



 「鷹丸は初めて耳を傾けた」の後の「数年前~理解している。」は、兄弟が鷹丸にこの内容を話したという解釈で合っているでしょうか。語り手が誰なのかがわからなかったです。



 晴姫と白飾様の会話。餓鬼を鎮めるための条件というのは、今はまだ秘密ということですかね。


 白飾様と兄弟二人は納得の関係でした。



 晴姫、優しすぎる。いえ、違いますね。彼女は確固たる信念を持っているのですね。



 餓鬼の正体がなんとなくわかってきましたが、なぜ鷹丸の体に封印されているのかは見えてきませんね。どういう展開になるのか予想がつきません。



 謎の中年の男。白飾様たちが危ない予感がしますが果たして……




【七話目】第7話 白飾様


 白飾様の過去。彼は鬼でありながらも人間に近い感性を持ち、自身の劣等感から、弱い立場の人間に自分を重ね、共生することを選んだんですね。


 彼の好感度が少し上がりました。


 一人称視点にすることで、読者が白飾様に寄り添いやすくなっていると思います。



 彼の人間らしさが良いですね。



 やはり封師によってやられてしまいましたね。

 このエピソードで丁寧に白飾様を描いた後に、簡単に封じられてしまうという展開が良いですね。彼が気にしていた“鬼としての弱さ”と、最後まで人間たちを守ろうとする想いの強さがよく表れていると思います。


 人間と分かり合おうとする鬼がいる一方で、それの実現と継続は難しいものなのだという、この物語の世界観が突き付けられた回でした。




【八話目】第8話 山間の町


 「とても幻想的な雰囲気を感じてしまう」とありますが、“~してしまう”は、“してはいけないのにうっかりしてしまった”というような意味があります。「幻想的な雰囲気を感じ」たことに対して、残念・後悔の気持ちがあったのであれば間違いではないですが、私は「幻想的」という言葉から、本殿に対して抱いた感情に肯定的な印象を持ちました。



 鷹丸の名前、一応由来があったんですね。確かに安直笑



 今回は鷹丸と晴姫の日常的な描写が多く、とても平和でしたね。

 二人がはっきりとは表に出さないけれど、ずっと旅をしていたいという想いが伝わってきました。



 ただ、それだけでは終わらないのがこの物語ですね。次に待つ困難はどんなものなのでしょうか。




【九話目】第9話 たんぽぽと案山子


 どんな叫び声だったかがあると、よりリアルになりますね。

 「ただ事ではない」叫び声を頭で再生したいです。


 

 「いや、近づいてきているのではない。町民達が逃げてきているのだ」ですが、結局のところ町民たちはこちらへ近づいてきていることに変わりはないのではないでしょうか。この部分は、“ただ近づいてきているだけではない”ことを表現できれば良くなる気がします。



 小鬼と闘うために飛び出した鷹丸ですが、今回はどんな方法で解決へと導くのでしょうか。



 「小鬼を米粒のような黒石に変えていく」、良い表現ですね。小鬼だから封印したときの石も小さくなるということが、比喩を含んだ短い文でイメージできます。これにより、勢いのある槍づかいで素早く退治していることがわかります。



 晴姫視点。

 「人の気配の波に呑まれ、どれだけ走ったのか検討もつかない」。目が見えないとなるとなおさらですよね。気配を感じることができるとはいえ、走っても走っても距離の実感が湧かないという焦燥感がありそうです。



 「薄ら笑いを浮かべた小鬼達がこちらを眺めている」ですが、これは誰の視点から見た小鬼たちの様子かがよくわかりませんでした。「無数の小鬼達がこの場にたどり着いていることに。」の後に、改行なしで続けてこの文があるため晴姫の視点だと思うのですが、晴姫は気配だけで小鬼たちの表情まで把握することができたのでしょうか。



 「赤黒く染まった土の上には黒い小さな石が、朝日に照らされ輝いている」。とてもイメージしやすいですね。無残な光景であるにも関わらず、美しく輝いていそうな対比が個人的に好みです。



 完全に町民たちを守り切ったと思いきや、犠牲者を出してしまっていたんですね。

 目が見えないからこそ、恐怖や己の無力さの感じ方も激しくなるのでしょう。

 それゆえに彼女の強さも引き立ちますね。



 最後の描写が綺麗ですね。タンポポと晴姫を重ねて、晴姫の固い決意を投影しています。(違っていたらすみません)


 とても良い終わり方なのですが、「強く根を張ろうするのだった」となっており、正しくは“根を張ろうするのだった”ですね。




【十話目】第10話 浮雲と風


 今回の一件で鷹丸と晴姫の距離がさらに縮まりましたね。


 「錫杖の音が新たに加わり、より2人の歩みは力強くなっている」は、文章を耳でも感じられる良い表現だと思います。バンドの軽い演奏に楽器が一つ加わり、その途端一気に重みが増すようなワクワク感があります。



 「相模国さがみのくにに、~」からの、雰囲気ががらりとシリアスに変わるのが良いですね。情景や人々の描写が丁寧で、ミステリアスな空気感が伝わってきます。



 「その役人は情けなくも、これ以上は昇らなくて良いようにと最大限全身を伸ばし、書状を最上に置いた」。ここの文、すごく好きです。役人の臆病さが容易にイメージでき、“本堂にいる誰か”のおっかなさが間接的に表現されています。



 新キャラ登場! エピソードの前半は淡々としていましたが、場面が切り替わってからのテンポが良いので、この勢いのまま続きを読みたいと思いました。



 

【十一話目】第11話 朝露と太陽


 「まるで朝露が葉からこぼれ落ちるように~」がとても綺麗な文章ですね。朝日が昇る現在の時間帯と「朝露」がリンクしているところもおしゃれです。



 鷹丸が晴姫と行動を共にするとき、ずっと手をつないでいるというのが印象的です。当然のことなのかもしれませんが、その様子がかわいらしくて好きです。



 人や鬼の気配を感じられる晴姫が「煌」を感じ取れない大きな理由はあるのでしょうか。裏設定があるのではと考えを巡らせたくなる私です。彼女なら「煌」ぐらい簡単に察知できそうなものですが……



 あ、答えでましたね笑

 やはり晴姫は「煌」を認識できるようですね。

 今まで感じていた気配は「煌」を媒介とするものだった。であれば、もしや鬼にも「煌」が宿っているのか……?



 「儚くも力強い気配」を、「吹けば消えてしまいそうで、触れれば火傷しそうな」で表すのがすごいですね。私は炎をイメージしましたが、文章では“炎”という言葉を使わずに説明しているというのがポイントです。



 鷹丸の「言う通りに想像してください!」の後に地の文のセリフ? を用いたのが上手いですね。個人的な意見ですが、地の文の方が読者が一緒になって想像しやすいので、グッドタイミングだと思います。




【十二話目】第12話 門


 現時点での最新話です。

 二人の自信が確かなものになりつつありますね。



 行脚あんぎゃの解説で「だか、今では町や~」となっているのは“だが”の誤字ですね。



 「晴姫だけが、その言葉の意味を理解できていなかった」。私にも理解できていなかった。良ければ教えてください……



 「元寇」というそれらしいワードが出てきましたね。史実を取り入れてファンタジーに作り変えるのって面白いですよね。“実はあの戦いは……”という風に持っていけるのが便利です。



 「鷹丸と晴姫はこの封師の行動に不思議でならなかった」は、“行動不思議で~”の方が適切だと思います。



 新たな仲間が増えましたね。謎の多い豊月とよつき、油断できませんね。



 強敵の予感……カミカゼとは一体何者なのでしょうか。



 ***



 総括です! 物語のテンポが程よく、ストーリーの把握はほぼ完璧にできました。 


 この作品は、文章よりも展開で魅せる構成だと思いました。それによって、大きな展開がないエピソードでは平坦な文章になりやすく、冗長に感じてしまうところも多々ありました。その大きな原因となっているのが、「表現の幅の狭さ」です。スマホの一画面に同じ表現が二つあったり、僅か二段落後に同じ表現があったりして、「さっきも似たような文章を見たな」というように、読者に言葉選びがワンパターンだと思われてしまうのではないかと危惧しました。


 また、直接的な表現が多いので、視覚情報を増やしてみたり、接続語のバリエーションを増やすとさらに読みやすい文章になるのではないでしょうか。


 以上のことは序盤であればあるほど顕著に表れる傾向があり、逆に最新話付近はとても凝った文章になってきているなと感じました。


 キャラクターたちのほとんどが悲しみや迷いを抱えている暗いストーリーではあるものの、それを乗り越えるための試練、それに対する心理描写が丁寧で、シリアスのなかにある人間の美しさ、儚さが魅力的です。



 星は2.0です。文章表現の幅が広がると、作品の面白さや深みは何倍にも膨れると確信しました!




 今回は以上になります! ありがとうございました!




 この文を書いている現在、雷がどかどか落ちてます。大雨に注意して過ごしましょう!


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