今日は墓場までドライブしよう('Cemetery Drivers')
機乃遙
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「なんでまたあんたに逢いにきたかって?」
そんなこといくらでも理由はある。語り出したら、わたしには一千通りの言葉でそれを語る自信がある。
このクソ田舎の、しかもインターチェンジからさらに一時間くんだり下道走らせて、そこまでしてきたワケ。
鬱蒼と茂るすすき林の向こうに、あなたは静かに立ちすくんでた。もうあなたは、わたしに話しかけることもなければ、目で見て訴えることもしないけど。
あんた昔からそうだったけどさ。初めて逢ったときも、黙って安物のmp3プレーヤーを突きつけるだけだった。
風が吹いて、すすきの穂がどこかに飛んでいく。わたしはスプリングコートのポケットからピース・ライトを取り出すと、一本だけついばんで、マッチで火を点けた。本当はこのマッチ、線香でもあげるために買ってきたんだけど。そんなのもうどうでもよくなってたね。
「そうね、強いて言うならば。悲劇のヒロインぶっていると、自分が特別な存在な気がして安心するからよ。最愛の親友を喪った、可哀想な女に思えるから」
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