第四章:A Hard Day
アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (1)
化物の巣窟と化した警察署の周囲には、様子見に来た仲間によって三重の結界が張られていた。
一番外は……一般人に「何となく嫌な感じ」を感じさせ、警察署に近付けない為のモノ。
二番目は、中に居るモノを外に出さない為のモノ。
最も内側は、中に居るモノから「外の世界」全てを隠す為の逆隠形結界。
それを1つづつ通り……。
「ガアァァッ‼」
警察署の玄関から、早速、ゾンビ化した制服警官が現われ……。
相棒が銃身短かめの散弾銃を撃ち……。
「実験その1。霊力を込めた
「効いてるが……その……」
どう考えても、
「どうかしたか?」
「昨日の『鬼』とは『邪気』の種類がビミョ〜に違う」
「はぁ?」
「変だぞ……。この警察署、2種類の『邪気』で汚染されてる」
「確認させてくれ。確実に2種類だけか? それとも『最低でも2種類』か?」
「え〜っと……判んね。今んとこ感じられるのは……雑居ビルの『邪気』と『鬼』の『邪気』の2種類」
「おい、昨日、雑居ビルのデブにやったマイクロ・マシン・タトゥーは機能してるか?」
『生存中。居場所はドンピシャリ……警察署内だ』
相棒の質問に対して後方支援チームから返答。
「詳しい状態は判るか? 脈拍なんかから推測出来る事とか……」
『ごめん。GPS付き発信機以外の機能は、まだ試験中で……
「実用化まで……先は長そうだな……」
「前向きに考えよう。当面は
ドオンッ‼
相棒は軽口を叩きながら……更に現われたゾンビ警官に
「吽ッ‼」
あたしは、燃えていく警官に気弾を放つ。
「どうした?」
「『邪気』の種類によって……効き目が違うみて〜だ。『鬼』と同じタイプの『邪気』でゾンビ化した奴は……さっきの奴に比べて効き目が薄い」
「なるほど」
「あと、悪いお報せだ。警察署内に居る魔物や悪霊が……あたしらの存在を検知したみて〜だ。これから、どんどん、ゾンビどもがやってくるぞ」
「これも前向きに考えよう。実験をより効率的に行なえる。では、これから、霊力を込めた通常の散弾の効果を確認する」
そう言いながら、相棒はショットガンに弾を込める。
「お前さ……ホントにサイコ野郎なの? それとも、サイコ野郎のフリしてフザけてんの?」
「さて……中々、興味深い哲学的な質問だ。あとでゆっくり考えよう」
『あと……あらかじめ気付いとくべきだったけど……』
その時、後方支援チームから無線通話が入る。
「何だ?」
『
やれやれ。
「
中々、サイコ野郎揃いの職場に再就職しちまったよ〜だ。
「で、あれは生きてる人間か?」
「全部、ゾンビ。『邪気』のタイプは……『鬼』と同じヤツ」
「
そう言うと、相棒は、奥からやって来るゾンビ目掛けて、散弾をブッ放った。
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