アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (2)

「なあ……お前、明日、学校はいいの?」

 あたしは、相棒のらんと歩きながら、そう話す。

「一応、日曜は補修は無いしな」

福岡県こっちの進学校って、成績悪くなくても補修が有るって本当?」

「補修受けるかは生徒の方で決める。……ってのも表向きだけど、担任にアレコレ言われないだけの成績は維持してる。ま、必要な補修だけは受けてるけどさ」

「必要なのって?」

「もう、行きたい大学と学部・学科だけじゃなくて、研究室まで決めてる。高校の授業や補修は……大学に入るより、大学に入った後の為の予備知識のつもりでやってる」

「お前、頭も化物か? それに、まだ、お前、高校つ〜ても1年だろ?」

「ウチの妹の方が化物だ。夜遅くまでゲームばっかりやってるのに、通知表は、ほとんど4か5だぞ」

「でも、お前の高校の方が偏差値上なんだろ?」

「だとしても、将来何をやりたいかがボンヤリしてんのに、あんな成績を維持してる奴の方が、私にとって理解不能だ。モチベーションが無いのに、どうやって勉強が出来るようになるんだ?」

 この久留米には、ややこしい事に「久留米駅」が2つ有って、しかも2つの久留米駅の間の距離は結構有る。

 昼間に騷ぎが起きたのは……繁華街の西鉄久留米駅前の方で、今、居るのは……福岡県第3の都市のターミナル駅前にはイマイチ思えないJR久留米駅前。

「晩飯、駅ビルで食ってくか?」

「ああ……ちゃんぽんとうどん、どっちにする?」

「うどんかな? ところでさ、お前の妹とかのチート能力で……」

「あれは……魔法とかと似てる点有るが……実際には根本的に違う力だ。強力だけど、事実上は物理攻撃だけしか出来ないと思ってくれ」

 あの「鬼」を一瞬で殺す事が出来れば……どうなるかが、さっぱり判らない。

 「鬼」の体を物理攻撃で破壊出来たとしても……「鬼」によって擬似ゾンビに変えられた奴らと同じなら、死んだ瞬間に、バカデカい「異界」への「門」が開いて、辺り一面、一般人立入禁止の心霊スポット化する可能性も有る。

「そうだ……その妹と喧嘩中でな。しばらく泊めてくれ」

「はぁっ?」

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