第8話・賢者タイム


 今度こそ落ち着きを取り戻して、脱ぎ捨てた服を着替えてサキュバスと向き合う。

 相も変わらずエチチなサキュバスらしい服装をしていて、非常に眼に毒、いや薬だが、まあそこは何とか耐えよう。


「えっと、まず自己紹介をしない?」


「確かに、私まだご主人様の名前も知らないです。ごめんなさい」


「いや、謝らなくていいよ。どちらかというと100俺が悪いし」(まあ、俺が無理やりセッしてこうなってるからな、マジで本当に俺が悪いんだよな)


「いいえ。ご主人様は何も悪くありません。だからそんなに自分を攻めないでください」


「ありがとう。悪魔だけど、俺は君が天使に見えて来たよ」


「天使って、いくらご主人様とはいえそんな酷い事言わないでくさいよ」

 頬を膨らまして怒ってる。可愛いって違うな。

 そういえば、悪魔と天使は犬猿の仲だったな。確かにこれは俺の失言だな。


「いや、すまない。その君がとっても優しく俺にとっては救世主みたいに思えたってことだよ」


「そうだったんですね。ご主人様の役に立ててるようだったら私も嬉しいです」


「それで、えっといつまでも君って呼び続けるのも変だし、名前を教えて貰える?」


「あ。ごめんなさい。じゃあ、改めまして私の名前はフィーナ・ダークローズです。ダークローズ家の三女で、今は独り立ちしてダンジョン運営をやっています。フィーナと呼んでください。どうぞこれからもよろしくお願いします。ご主人様」


「なるほどね。フィーナか。そんでもってダークローズ家の三女で、独り立ちしてダンジョン運営をやってるのか。そうか・・・待って情報量が今、物凄い情報量が入って来たんだけど。幾つか質問していい?」

 

「もちろんです。ご主人様」


「えっと、まずダークローズ家って何?悪魔には悪魔達が住まう悪魔界というのがあるのは知ってるけど、○○家みたいな形の序列も存在するってこと?

 俺が知ってる悪魔界は絵に描いたような弱肉強食の世紀末みたいな世界で、悪魔は食事も必要としないから、一生戦いしてるような場所なんだけど?」


「ご主人様の知ってる悪魔界はおそらく第15悪魔界ですね。確かにあそこは知能の高い高位悪魔が少ないのと統治者が不在の影響で荒れに荒れてますね。

 私がいたのは第6悪魔界です。第六悪魔界ではサキュバスクイーンであり、色欲の支配者であり全てのサキュバスの母・マザー・リリス・ノクターンウィッチが支配しています。

 このマザーを女王として、上から公爵家・侯爵家・伯爵家・子爵家・男爵家の順番に統治がなされています。

 私のいたダークローズ家は侯爵家の地位にあり、父はマザーの側近もしている非常に優秀な人です。マザーのおかげで争いはほとんどなく、完璧な統治がされた世界です」


「なるほど。そんな世界があるのか。ということは悪魔界は他にも第1からあるってことか?」


「いえ、そういう訳ではございません。正確に言えば私達の住まう第16悪魔界が認識している世界がそこからというだけで、実際はもっと多くの悪魔界が存在すると学会では考えられています」


「なるほどね。納得した。そうか、悪魔界ってのはいっぱいあるのか。待て?その理論で行くと天界や妖魔界もいっぱいあるってことか?」


「はい。もちろんです。私が知っている限りですと天界は17世界、妖魔界も14世界あります」


「なるほど。全然知らなかった。というかそんなに世界があるんだな。世界は広い物だな。なんだか俺がちっぽけに思えてくるな」


「いいえ。ご主人様はちっぽけではないですよ」


「そう言ってくれると嬉しいわ。さて、次の質問いいか?」


「もちろんです」


「ダンジョン運営って言ってたが、ダンジョンってのは何だ。このいきなり現れた洞窟のようなものに大きな地震と関係があるのか?」


「もちろんです。では今からダンジョンについて説明させていただきますね」


「ああ。よろしく頼む」



――――――――――――


本来であれば物語の終盤に出てくるような重要な情報を序盤に開示していくスタイル。

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