第4話・種族進化?~そして最強へ~

 ピコン


 【厄災級悪魔・アスモデウス】の肉を喰らいました。

 スキル【強化完全再生】の効果が働きました。


 種族進化の為に以下の条件が提示されました。

 1・今まで1万を超える中位以上の生命体の命を奪っている。

 2・厄災級悪魔の討伐を行っている。

 3・一定以上の霊力を保有している。

 4・一定以上の肉体強度を持っている。

 5・性経験が存在する。


 条件確認中・・・・・・確認が終了しました。


 条件の全てがクリアされました。


 種族進化が開始します。


 ・・・・・・・・・


 身体中に力が溢れる。

 それと同時に果てしない激痛が襲い掛かってくる。

 頭が割れる様に痛い。

 体が無理やり作り変えられるような、いや、実際に体が作り変えられているのだろう。


 悲鳴をあげたい。

 叫びたい。

 ただ、声が出ない。


 その場でひたすらにもがき足掻き苦しむ。

 これまで様々な戦いを重ねて、それ相応の痛みを味わってきた俺でさえ感じたことのないような激痛だ。

 上級悪魔の攻撃を受けて腹に穴が空いた時よりも、暴走した大妖怪・だいだらぼっちとの戦いで心臓を貫かれた時よりも、今の方が圧倒的に痛く苦しく辛かった。

 というかもはや苦しいとか痛いとか、そんな優しい言葉では表せないような苦しみだ。

 血液が沸騰しているようで、頭の中をムカデが暴れ回っているようで、全ての苦痛を濃縮した何かが俺の身体を這いずり回ってる。

 冗談抜きで頭がおかしくなりそうだ。

 そうして永遠とも思える様な苦しみの果てにそれは突然訪れた。

 

 ピコン

 種族進化が完了しました。


 種族【人間】から種族【半人半魔】に進化しました。

 

 ピコン

 初めてこの世界で【半人半魔】へと種族進化しました。

 称号【進化者】を獲得しました。

 

 ピコン

 【半人半魔】に進化したことにより、一部スキルが廃統合及び最適化がされました。


 ピコン

 種族進化したことにより、霊格が新しく魔霊格へと進化しました。

 称号【魔霊格保持者】を獲得しました。


 ピコン

 称号【厄災級悪魔・アスモデウスの適合者】を獲得しました。

 エクストラスキル【色欲の権能】を獲得しました。


 痛みがなくなった。

 それどころか体に力が溢れてくる。

 溢れて溢れ止まらないくらい力が溢れてくる。

 

 そして、気が付く。


 霊格が治っていることに。

 霊格・・・それは霊力を生成する器であり、陰陽師にとって心臓よりも大切な器官。

 霊格さえあれば仮に心臓が破壊されたとしても、陰陽技を使っての自力再生が可能だし、再生させなくとも陰陽技を使えば血液の循環が出来る。

 それこそ極論ではあるが、優秀な陰陽師であれば体の中にある内臓全てがなくなっても霊格さえ無事であれば一切問題なく生きることができる。


 それが、陰陽師だ。


 そして俺はその霊格が破損してしまった。

 

 陰陽師としては完璧に死んでしまっていた訳だ。重症も重症。内臓全部がなくなってるよりも酷い状況といえる。

 だから、俺が陰陽連から簡単に永久追放処分を受けたわけだ。

 正直、霊格が破損してなければおそらく不人気依頼を無償でこなさせるという無償労働形の罰が取られていただろう。


 その霊格が治っている。

 もう、陰陽師としてまともに戦えないと思っていたのに、霊格が・・・霊格が治っている。


「ハハハハハハハハハハ。治った。治った。治ったよ。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。治ったんだよ。ああ、そうか。今治るか。そうか・・・そうか、ああ、本当に今治るか・・・」


 俺の霊格が破損したのは陰陽師23人が犠牲となり、俺が永久追放処分を受ける理由となったあの戦いにて、生き残っている皆を守る為に霊格を犠牲にして発動できる最後の奥義を使ったからだ。

 といっても、その幼馴染は最後の最後に俺の目の前で殺された訳だが。


 もしも、もしもあの時、あの最後の時に俺の霊格が治っていれば。

 万全の状態の俺であれば、もしかしたら全員とは言えなくても、半分は救えてたかもしれない。そしたらイトも・・・。


「ハア、今更だな」

 大きくため息を吐く。


 ふと、下を向いて気が付く。

 アレが大きくなってた。

 そして意識してしまった、気が付いてしまった。

 あの地獄のような苦しみから解放されてたことと霊格が治った喜びによって忘れてしまっていたが、今俺は、恐ろしい程にムラムラしているということに。


 何を言ってるんだと思うかも知れないが、そのまんまだ。

 

 ムラムラする。


 頭が沸騰しそうなくらいムラムラする。

 性欲によって脳みそを支配されているような不思議な気分に陥ってしまう。


「これは一体・・・どういうこと。そういえば俺があの時食べた肉体って・・・あの、厄災級悪魔・アスモデウスだったよな。七つの大罪が一つ色欲を司る最強の悪魔・・・ヤバい。そんなことはどうでもいい、まともに物事を考えられない。クソ、最悪の気分だ。今すぐ今すぐ可愛い女をオカシタイ」


 かくして世界に【厄災級悪魔・アスモデウス】の因子を取り込んでしまい、性欲2000倍以上になってしまった元超級陰陽師とかいうとんでもない化け物が生まれてしまうのだった。


 めでたしめでたし




―――――――――――――


 あの戦いとか伏線めいて隠してる。

 厄災級悪魔・アスモデウスも強いが、封印解除直後に倒しているので、本来の力を発揮できずにたおされてる。

 じゃあ、主人公の霊格を破壊し、23人の陰陽師が死んだ戦いとは・・・。

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