横顔

横顔

イヤホンで冬聴き流しつつ自習

雪晴や愛されてゐる人の頬

かじかめる指で生徒を撮つてをり

初雪や昨日仲良くなつたひと

後屈の度に吸ひ込む寒の空

片側の肩を濡らして寒の雨

寒月やフラペチーノを一口だけ

昨日君を見かけた時刻冬桜

名前呼び捨てにしたりして返り花

被写体とレンズの間そぞろ寒

サックスの遠く響けよ冬銀河

知らない子が君の隣に雨氷かな

寒月や我が家の門の軋む音

友の言ふ「普通」が痛い雪時雨

来年への片道切符賀状書く

独りごとかき消へてゆく波の華

足音で君を聞き分け冬菫

小春日や雑踏はみな地下鉄へ

外国の歌くちずさみ年の空

横顔の美しきけふ冬夕焼