第194話 雪はロマンか闘いか

雪は、金持ちの家にも貧乏人の家にも、平等に降り積もると申します。


もちろん、雪がロマンの世界であると言われるこの岡山の地を思えば、

新潟の豪雪地帯と比べたあかつきには、とても平等とは言えないです。

地球規模で見るならば、そんな言葉は幻想に過ぎないかもしれませぬ。


しかしながら、そんな岡山の南であっても、降るときには降りました。

1984年・昭和59年。松田聖子がまだアイドルであった頃のこと。

サントリーが、ペンギンの絵を描いた缶ビールのCMをやっていた頃。


田中角栄首相は、岡山出身の小長啓一秘書官にこんなことをいわれた。

君にとって雪はロマンだろう。だが私たちには、生活との闘いである。

確かに、多少ぱらつく程度、ようやく雪だるまが作れるくらいならね。

だが、滅多降らないこの場所に数十センチも積もれば、逆に地獄です。

ただこれも、ある意味、生活との闘いより突発事故の感が強かったか。


あの年、雪がロマンのこの地でも、嫌というほど思い知らされたこと。

雪は本来、街のみんなに、平等に降り積もるものであるということを。


ある高校では、大雪の中、待合時間に雪合戦をした受験生も出現した。

岡山市郊外の養護施設では、敷地の一角にかまくらが作られたという。

やぱり、当時の岡山の少年たちには、雪はロマンだったのであろうか。


しかし、雪はともかく外の寒さは、誰もに平等に与えられていますね。

同じ地に住む以上、外に出たときの寒さは、誰に対しても平等ですよ。

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