第4話・お詫びのデートで初武器GET!
「お疲れ様!」
「・・・お疲れ様」
24時間狩りができることへの高揚感でテンションが上がる。
早く寝ないとな!狩りが待っているぜ!
「ねぇ」
「はい?」
「あなた、薬草を部屋に取りにきたわよね」
「きましたね」
「なんで取りにきたの?昨日、薬草持ち帰ってないわよね?」
やっべーーーー!!!
確かにボロ切れと銅貨はポーチに入れっぱなしで、保管箱に物を預けるのは裏世界でしかしていない。そりゃあ不審に思うよ!俺も聞きたいわ!
「い、いや実は協会へ全部納品せずに2日前から少しずつ薬草を保管してたんですよ。あはははは」
じー。
「ぅ・・・・」
めちゃくちゃ見られてる!これ以上の言い訳は考えられないから許して!
「まあいいわ、気になっただけだから」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございますって意味が分からないのだけれど」
「そうですよね、あはははは」
笑ってごまかすとはこのことだ。
これから先、裏世界のドロップ品についてはレイナに疑問視されるだろうな。なにかきちんとした言い訳や対策を考えないとまずいかもしれない。
「まあいいわ、もう寝るから。おやすみ」
「俺ももう寝ます!おやすみ」
いそいそと布団をひっぱりだして寝る。狩りが俺を待っている!
----3日目裏世界----
チュンチュン。
朝は鳥の鳴き声が心地いい。
さて!すぐさま初心者の森へ向かう。
「さてさて、今日も元気にミニコボルト狩りだ」
今日も狩りを終えた、元気なミニコボルトだった。
LV6に上がったけど、新しい魔法がでない!
日没だ。
成果は薬草8本、ドロップ品銅貨7枚、ボロ切れ6枚、槍は捨てた!
宿舎の保管箱にドロップ品を入れるが、用心しないと・・・
布団を引いて寝る。
-レイナside-
あの出会いはありえないわ!
水浴びをし、終わって出ようと思ったら男性が入ってきた。
私は裸だったのよ!初めて男性に裸を見られた!
顔から火がでるくらい恥ずかしくて、その場で叩き切ってやろうかと思ったけど、イーナさんに謝られたことで悪意がないのも分かったけども!
分かってもありえない!恥ずかしすぎる・・・
ゼロと話すのにもぎこちなくなるし、悪いのはゼロじゃないのは分かるけど。うぅー。
もー!こんなの私じゃないわ!
ゼロとは唯一の宿舎仲間だからこそ、仲良くしなきゃ!
でも、仲良くなるにはどうしたら・・・あ、ゼロが武器を持っているのをみたことがないわ。
冒険者の先輩として、武器屋に連れて行ってあげればいいのよ!
----4日目表世界----
チュンチュン。
「もう朝か~、ん?」
「起きたの?」
レイナが横に立っている。
え、なんでレイナが?いつも、いないよね?
なにかあったのかな?
「は、はい」
「そ、じゃあ武器屋にいかない?」
「武器屋?」
「そう、あなた武器を持たずに狩りしてるんでしょう?魔法使いなら、武器を持てば火力が上がると思うけど?」
??・・・ああ!
そういえば武器なしで狩るのが当たり前になっていたけど、普通は武器を持つよな!それは盲点だった、というかこの環境に混乱していたせいか・・・
武器を買うお金が十分かも不明だが、そろそろコボルトより強い敵とも戦ってみたいし買ってみたい。
それも、レイナが初めてデートに誘ってくれたんだ!行くよ、そりゃあ。
「ゼロ?」
「是非行きたいです」
「決まりね。ご飯は食べた後でいいから、武器屋に行きましょ」
食堂へ降りてご飯を食べてると、イーナさんに声を掛けられる。
「今日の分の宿舎代をもらってないから5枚はもらうけど、それ以降はどうするかい?」
「そうでしたね、今日を合わせて4日分でいいですか?」
「銅貨20枚ね」
銅貨20枚を渡す。本当は一度にもっと支払っておけば楽だろうけど、武器やら防具やらを買いだしたらお金が必要になるかもしれない。それを考慮すると残しておくべきだな。
「行きましょうか」
レイナが迎えにきた。
一緒にお出掛けなんて最高だな~。
MMOの女性プレイヤーって、何故か魅力的に見えるんだよね。レイナはNPCだと思うけど、プレイヤーとしか思えないぐらいのAIのせいで、本当の女性と話しているように感じる。
だからデートに格好つけたいのは山々なのだが、初心者は装備やアイテムにお金をかける必要があるから、ファッションなんかにお金を使えないんだよな。
一緒に歩きながら辺りを見渡すと、転移してきた時にみた活気のある街がそこにあった。
ヨーロッパ調の街並みに色々な服装をした人達が行き交い、楽し気な声がいたるところで聞こえる。
そういえば俺って冒険者協会と協会宿舎のみで生活しているな。まるで会社と自宅を行き来する社畜の人生に見えるけども、LV制度、魔法、モンスター狩りなど、希望にあふれた夢の世界だ。
「ここよ」
そう言われて見ると、立派な店構えで看板にWEAPONと書かれている。
「ここの店主、顔は怖いけど優しい人だから大丈夫よ」
「顔は怖いんだ」
苦笑いしつつ店に入ると様々な剣や、槍、杖など色々な武器が陳列している。
そしてカウンターにいる髭の生えた怖い顔のおっさんが話しかけてきた。
「いらっしゃい。お、レイナちゃんじゃないか」
「お久しぶりです」
「今日も可愛いな、隣のあんちゃんは彼氏かい?」
「ちがっ!違いますよ!宿舎仲間です!」
全力の否定、泣けるぜ。
「ははは、俺はダンってんだ。あんちゃんは?」
「私はゼロと申します」
「ゼロか、覚えたぜ!それで今日はなにようだ?」
「魔法使い用の武器が欲しいのですが、予算は銀貨3枚程度で」
「ん~~~~~」
ゼロはダンから見つめられる。
めちゃくちゃじろじろ見るやん。
人によってオススメの装備が違うとか?そんな仕様まであるのか?
「よし!みたところやり手とみた!俺的には、この風の杖がおすすめだ!ただし~、この杖の金額は金貨8枚で銀貨換算なら80枚だ。お金が圧倒的に足りないよな?そこでだ、この杖を買うなら20日間毎日銀貨4枚をもってくる事で売ってやる!どうだ!」
風の杖か。正直、今のスキル構成だと足の早いモンスターが複数襲ってきたら殺されるだろうと考えている。この杖で次の狩場に行けて、稼ぎがいいなら元は取れるが・・・杖の性能を聞いてみるか。
「風の杖はどんな性能なんですか?」
「風の杖は、風魔法の火力を上げる杖だ。風魔法以外の攻撃力は上がらない変わりに、風魔法の火力は段違いだ。ワイルドドッグぐらいなら1撃で倒せるんじゃないか?そして、風魔法の効果範囲を広げる能力付きだ!強いぞー」
「買います!即決です!」
「そうかそうか、そりゃあそうだよな!まいどあり!」
本日の支払い銀貨4枚を支払う。今後の支払いは、毎日冒険者協会に支払ってくれればいいとの事。
銀貨80枚を出して、風魔法の火力が中途半端に上げるだけなら正直微妙かと思ったが、ワイルドドッグ1撃は相当やばい。そこに風魔法の効果範囲が大きくなればウインドランスが当てやすくなるとか、ウインドシールドが大きくなれば防ぐのに便利になったりと狩り効率は格段に上がるだろう。
「ちょっと、なにいってるのよ!銀貨80枚よ!それも、毎日銀貨4枚ってあなた大丈夫なの?まだ駆け出しでそこまでの稼ぎなんてないでしょ!?もし払えなかったりしたら奴隷よ!わかってるの!」
「心配してくれてありがとうございます、大丈夫ですよ」
「あなたLV4ぐらいでしょ?本当に大丈夫なの?」
「俺を信じてください」
キメ顔を作っておく。
「信じる根拠なんて全くないけど、そこまで自信があるならなにも言わないわ」
レイナはどこにそんな自信があるのよ、とため息交じりに呆れる。
「ゼロ、払えなければ奴隷にしてやるからな!覚悟しとけよ!」
「それ、奴隷にしたい人のセリフじゃないですか」
「ちがいねえ!」
そんなやり取りをダンさんとしつつも、風の杖を手に入れ武器屋を後にする。
いやあ、いい武器を手に入れたもんだ。正直、薬草採取のクエストでも表と裏の世界で稼げば銀貨4枚は余裕だし、レイナに聞いたが初心者の森の入り口より少し奥にいるワイルドドッグの牙を協会が買い取りをしていると。買い取り額は牙1本で銅貨5枚。その辺りを加味すれば、分割払いしてでも強力な武器を購入して狩り効率を上げるべきだろう。
「もう。もしお金に困ったらいいなさい、宿舎仲間として助けてあげるから」
「レイナさん、本当にありがとうございます」
とゼロは心配してもらえることに感動してお礼を言うと、なぜかそっぽを向かれる。
その後、レイナとご飯でも!という展開にはならない。涙を堪えながら、俺は初心者の森へ行くよ!
冒険者だからな!と強がっておく。
初心者の森へ行くと、ミニコボルト2体が襲ってくる。新しい武器よ、俺に力を!
「「グルル!!」」
「ウインドカッター!」
少し大きくなったウインドカッターはミニコボルト1体へ飛んでいく。
ミニコボルトはウインドカッターに当たると、上半身と下半身が真っ二つになって光の泡となる。いいね!
「グゥル!!」
「ウインドランス!」
ウインドランスは長く太い槍のような形状なのだが、それがひとまわり大きくなった。そのままミニコボルトに当たるとミニコボルトは光の泡になり、ウインドランスはミニコボルトに当たった後も、真っすぐに進んでいた。貫通する魔法だったのか!
今まで、ウインドランスはミニコボルトに当たると消えていたが、火力が上がったせいか、効果範囲が広がったからか分からないが、貫通魔法になった。
MMOの狩り方法に、モンスターを縦に並べたところを貫通スキルや魔法で打ち抜くものがある。こんなスキルを渡されればワクワクするぞ!こうなってくると、ミニコボルトでは完全に物足りない。落とすアイテムも微妙。
ならば、入り口から少し奥に行ってみよう!
ここからは慎重に歩いていく。
魔法使いなんて攻撃を食らえば致命傷間違いなしだ。ミニコボルトに加えてワイルドドッグも出てくるから、囲まれる前に先制攻撃をするしか方法がない。
「ガァウ!」
2体のワイルドドッグが吠えながらでてきた、2体なら試しに狩りをする標的としては悪くない。
「ウインドランス!」
「ガ・・・」
1体は叫び中にウインドランスにより光の泡となったが、もう一体が走ってくる。足の速度は俺が走っているぐらいのスピードだ。ヒットアンドアウェイ戦法は、ギリ使えるかどうかだな?と考えていると飛びかかってきた。
「ガァウ!!!」
「ウインドシールド!」
風の杖の効果で前より少し大きくなったウインドシールドに阻まれ、壁にぶつかったように弾かれるワイルドドッグ。そこにウインドカッターをすかさずぶち込む。ワイルドドッグは光の泡となって消えた。
「まじか!ウインドカッターでも、ワイルドドッグを一撃で倒せるのか!」
思わず声がでるほどの驚愕、風の杖ってレア系の武器なのだろうか。銀貨80枚だから当然っちゃあ当然か。倒した後にアイテムが落ちている、ワイルドドッグの牙2本だ!モンスターを倒す速度も上がったし、稼ぎも増えるぞ。完全に俺の時代だ!ただ、4体のワイルドドッグは無理だな。3体ならスキル構成的にいけそうだが、4体はスキルのクールタイムが間に合わずにやられそうだ。
その後もコボルトとワイルドドッグを倒し続けた。薬草も適度に採集しつつ、敵を倒しているとLVが上がる。
「LV7か、スキルはなにかな~?」
・コールドボルト
・ファイヤーボール
風属性の魔法がない、こんなことがあっていいのか!
とはならない。
多分だけど、スキルポイントという概念があって、そのポイントが足りてないから風属性スキルが取れないという可能性と単純にLVが足りてないという事が考えられる。ならば、ここは魔法を取得せずにおこう。
日没だ。
今日は武器屋に行って午前中潰しちゃったから早く感じるな。
成果は薬草4本、銅貨2枚、ワイルドドッグの牙5本、ぼろ切れ3枚。
協会の受付嬢に精算をお願いしに行く。
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