第129話 魔女地図を描く

 ポウボエブさんの話を聞いている、多くの人に会い説明をして、炭焼き集落に戻ろうとしたら、ヘッケ山にムアール連邦軍がキャンプを張り、その先クッテ山に行くことができない、クッテ山には炭焼き集落がある。


 ヘッケ山とクッテ山との間にある、渓谷の所で、ホグウィードの大木を燃やしていた。

 ホグウィード大木を燃やすと出る煙、吸うと喉が焼け、皮膚は火傷のように、眼は潰れる毒煙となる。

 大魔獣が人里に近づかないように、連邦軍は手を打っていたわけだ。


 名も無き炭焼き集落は見捨てられた。


「 村の者は生きている! 」

「 俺の妻も子供も生きているんだぁ 」


 俺たちは、集落に魔物が近づくと、洞窟に避難することにより、これまで生き延びてきた、今も洞窟の中にいるはずだ!


「 俺の子供が助けを待っている 」

「 俺をヤル! 俺はお前の物だ! どうか助けてくれ! 」


「 とりあえず、彼方はいらないから 」

「 マリカ、この人休ませてあげて 」


 弱点を突かれた気がする、父親が必死になって子供を助けてくれと依頼。


「 ほっておけないじゃない 」

 地上攻撃型人工衛星シュミハザは私の真上、静止軌道に乗っている。

 山が多くてよくわからなかったから、学園都市ジィエィノバ上空に移動するよう指示を出す。


 学園都市ジィエィノバについて、酒場にいた冒険者さんに尋ねてみた。

 行く気がしない所、苦労して行った所で、娼婦の館、男娼の館がないし、まともな酒場も無い。

 息抜きのしようが無いという。


「 男娼の館って? 」

「 そりゃぁ、男を食べるとこだよ 」

「 いくの? 」

「 当たり前じゃないかぁ 」

「 他の都市に行くんだよ、一番のお楽しみじゃない 」

 私の持つ女性のイメージがまた一つ壊れた。


 マリカが戻ってきた「 ポウボエブさん、疲労困憊していたようで、横になったとたん、寝てしまいしました 」

「 明日、ここに来ます 」私も夜の砂亭に引き上げる。


 シュミハザが学園都市上空に、山が多く連なっている方向に移動させながら、集落らしい物をさがさせる。

 連邦軍がキャンプしているのが、直ぐにわかった。


 全身防護服に身を包み、渓谷に沿って、木を燃やしている。


「 その先の山を探して 」

「 これが集落。。。 」


 洞窟入口前に、草と木で作られた小屋3ッ。

 人がいた、大人が4人、子供が2人。

「 シュミハザ 洞窟を調査 」

 洞窟には人はいない。


 で、大怪獣は、炭焼き集落がある山ではなく、もっと奥の山に。

 連邦軍って、何をしているのだろう。


 わたしは、どうしたら。。。


 大怪獣の様子を、シュミハザの映像で確認している。

 辞典に乗っていた奴だ。


 大魔獣オャンガルルガ、メッチャ大きい、見た目はティラノサウルス。

 1匹だけで、落ち着きが無く、ウロウロしている。

 これほどの巨体となると、このあたりでは餌がなくて、奥地である魔界に戻るか、人里に降りるか。


 炭焼き集落の前には、避難する洞窟もあるし、入口は狭く、中は奥深い。

 これだけ大きいと、洞窟に逃げ込めば、大丈夫じゃないかと。

 炭焼き集落は案外安全なのかもしれない。


 大魔獣オャンガルルガについては様子見、炭焼き集落の方達は、大魔獣が別の山にいるなら、避難させたほうが良い。


 説明するのに、山の絵があると便利だけれど、スワニーに書いてもらうしか。

「 あっ 思いついた 」


 サイコキネシスを使って筆を動かす、頭の中の感覚で動かせるから、それなりに書けるかも。

 ちょっと練習。

 気合が入り過ぎて、朝になってしまった。


 目の前には、ホッケ山、トッテ山、ムッケ山、ヘッケ山、クッテ山、メッテ山、フッテ山が連なった地図がある。


「 えへへへへへ 」これがあれば何とかなる、大魔獣オャンガルルガはこのあたり、炭焼き村はここ、連邦軍はここ。


 さてと、ひと眠りしてからギルドに行こう。


 ドンドンドン ドアを叩く音。

「 魔女様、ギルマスやポウボエブさん達が、ズート待っています 」

 夕方になっていた。


 冒険者ギルド

 酒場に毎日魔法新聞のカメラマン、ラジョーもいたので声をかける。


「 お前、寝ていたろう 」ダムロンである。

「 し、失礼な、これを作っていたのよ 」冷や汗、レディは寝坊したりしないのよ。


 力作である地図を広げる。

「 どうやってら、ダラムにいて地形がわかるんだぁ 」

「 魔女だからよ、彼方たちと違って、魔法を使って調べていたのよ、集中していたのに、邪魔しないでほしかったわ 」

 これで、寝すぎてしまった事は、ごまかせたはず。


 皆で地図をのぞき込む。


 大魔獣オャンガルルガはこのあたりにいる、炭焼きの村はここ、連邦軍はこのへんにいる。

「 連邦軍何をしているのですか 」

「 さぁ 」


「 連邦軍が、クッテ山への道を閉鎖しているから、炭焼き集落へはいけない 」

「 まず、やらねばならないのは、オャンガルルガの討伐ではなく、炭焼き集落にいる人の救出 」


「 大魔獣オャンガルルガの位置情報は私が掴み、ダムロンに情報を入れる 」

「 そのうえで、ダラムギルドの冒険者に、炭焼き集落の救出依頼のクエストを依頼します 」


「 ダラム冒険者ギルドとして、その依頼受けよう 」

「 ダムロン、メンバーを選出して、クッテ山に向かって 」

「 ぁあ、まかせておけ 」

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