第123話 ドラゴンの子供

 人とドラゴンが共存、凄い! 女のロマンだわ! 半端ねぇじゃない、などと、ファフニールについては、以前調べたのだ。


 温和な性格で、人助けだってしている。

 逆鱗に触れるような事をしたのが、人間なら、なんて思ってしまった。


 人の傲慢、愚かさがどんな事をしたのか、身に染みて知っている、戦争、環境破壊、最後には生命が住めない星にした、私はそんな世界で生きていた。

 心がざわつく。


 首都シェムリアップ、エンリコ閣下は、漆黒の魔女様が、ファフニールの討伐を断ったという、一報に体を震わせていた。


「 10万の人間が危機に瀕しているのだ、ほっておく気なのか。。。 」

「 レッドドラゴンを討伐できそうな、者など他に思いつかい 」


「 原因をはっきりさせてしまい、もし、人間側に非があった場合、どうするつもりだ 」

「 だからこそ、日頃から私は、彼女を取り込もうと努力していたのだ 」

「 くそ! くそ! くそぉ! 」


 筋書はできていた、漆黒の魔女様がファフニールの討伐、ムアール連邦の都市は協力し、都市シュトラウスの復興を手助けする。

 その陣頭指揮を私が、より一層ムアール連邦の結束を強固にする、なんてことを考えていた。


「 なんという事だ 」

 ダラムギルドは、ファフニールが人を襲う原因究明に動くという報告が入った。


 宿に戻ってきたけれど、人口冬眠から眼が覚めて、4周年を祝い直す気にもなれない


「 寝よ 」


「 シュミハザ、 ラマンダベル山にいる、レッドドラゴンの様子を見せて 」


 シュミハザが、ラマンダベル山上空の衛星軌道に乗るわずかな時間に寝落ち。


 寝たのがお昼前、起きたら外は暗くなっていた、寝すぎた、でも大丈夫、昼間寝ても、夜も寝られる特技を持っているよ。


 シュミハザがレッドドラゴン・ファフニールの映像を頭の中に送ってくれている。


「 カックイイ 」


 頭から尻尾の先端まで、67m 首と尻尾が長いので、胴体はそれほどでもない、翼が大きい、片翼53m 両方を広げたら 100m 越え、 赤い鱗に覆われた生き物。


 ラマンダベル山頂上近くにある、洞窟に住み着いているのか。


「 んっ 」 洞窟の中に何かいる


 シュミハザは、地表から2000m の地中まで調査できる性能を有している、地上を生命が住めない状態にしてしまい、人類は地底に生活圏を変えたからだ。


 子供なのかな? 2匹いるようだ

 洞窟の中から出ないのかなぁ、ドラゴンの子供、観てみたい


「 シュミハザ、子供が洞窟から出たら、録画しておいて 」

 これで、寝ていても大丈夫。


 冒険者ギルドの貸し部屋にて、魔玉の解析をやっていると、子供ドラゴンが洞窟の外に出て来た。


「 酷い! 」


 2匹とも、翼が付け根から折れて変な方向に曲がっている、顔や体に、矢が刺さっていた。


 ファフニールが何故人を襲いだしたのか、これを見ればわかる、子供を傷つけた奴がいる。

 母親なら怒り狂って当たり前だ。


 こんなの知ってしまったからには、討伐する気持ちになれない。

 小さなドラゴン、あまりにも、痛々しくて何とかしてあげたい。

 都市シュトラウスには10万人もの人が助けを求めている。


 破壊特化した私にはできる事はあるのだろうか。


 プリンターとか無いし、頭の中にある画像を他の人に見せる事さえできない、私に絵心は皆無、絵が上手な知人、二重人格のスワニーに口で説明して書いてもらおうかしら。


 絵が描けないのには、正当な理由がある、絵はパソコンやタブレットを使って書くものだった、筆で書くなんて、ムズイ。


 フラグが立ってしまった、スワニーが部屋に、まぁ、ギルドの貸し部屋で魔玉の研究をしていると、95%くらいの確率で顔を出す、友達がいない三十路の女。


「 ねぇ、口で言うから、絵を描いてくれない 」

「 まかせて、誰のチ〇チン 」 椅子から落ちそうになったわ。

「 いい加減、そこから離れなさいって 」


「 ドラゴンの絵よ 」

「 わたくし、チ〇チンの絵しか描いたことないの 」


 こんな女が、万人を癒し続け、民衆から聖女様と呼ばれている、世の中間違っていると思う。


「 くふふふふ、貴女の絵、赤ちゃんが書いたみたいだしね 」

「 そこまでひどくないわよ、幼女が書いた程度だし 」


 口で説明している。

「 あぁもう、全然わからない 」

「 こんな感じ 」絵をかいてみた。

「 余計にわからないじゃない 」

「 うぅーっ 」


「 楽しそうに、何をしていておいでですか 」

 受付嬢のマリカさんが、お茶を持ってきてくれた。


 3人で美女トーク。

 頭をリフレッシュさせて、再び絵に挑戦。

「 んっ 」ちょっと思いついた。

「 スワニーの頭の中に、イメージを送り込んでみる 」

「 大丈夫なの 」

「 多分? 」

 会心の出来あがり。


「 何これ? 酷い 」

「 こんな事になっていたなんて。。。 」

「 誰がこんなことをしたのかしら 」


「 いつの間に観にいったの? ずっとここに閉じこもっていたようだけれど 」

「 まぁ、それは、魔女だからよ 」

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