自称レディな魔女

Mitsu

第1話 目覚め

警告音、その音で目覚めた。

小さな明かりが、眼に飛び込んでくる、ボーーットして頭が重い。


鳴り響く警告音。「 地殻変動発生、緊急避難してください! 」


ゆっくりと上半身を起こそうとして、カプセルの中にいた事に気付く。


不治の病、最終環境破壊毒素(地毒)に体を蝕まれ、治療方法が確立できるまで、冷凍冬眠カプセルに入った事を思い出す。


目覚めたのを検知したのか、目の前にモニターが浮かび上がる、そこには、お父様の顔が浮かんでいた、いつもの優しい顔ではない、緊迫したような様子。


「 レイスト、良く聞いてくれ、この地下研究所は、何者かの襲撃を受けている、私たちにも緊急退避命令が出ている、奴らの狙いは、私たちが開発した、IPS細胞ナノマシンだ、資料はすべて抹消、唯一成功し保存していたサンプルを体に注入した、理論状レイストの体はナノマシン細胞に置き換わり、病気は完治できるはずだ 」


「 博士急いで下さい! 」

「 必ず迎えに来る 」


頭の中に、寝ているカプセルの状態、部屋の様子なのがイメージとして浮かび上がり、それは、部屋だけでなく、地下研究施設全体に広がっている。


「 何! この感覚 」


地下研究所は、周りの圧力に今にも押しつぶされそうになっており、地熱発電機は今にも停止しそうになっていた、警告音の意味を理解する、生命の危険を検知し、コールドスリープから強制的に目覚めさせられた。


口を覆っている、マスクを外し、体に繋がっているチューブを引き抜き、動きを確保、だが、カプセルは閉じたまま、開きそうにない。


出られるのか、冷凍保存カプセルの周囲の様子が頭の中のイメージとして浮かびあがる、手を上に上げ、足でカプセルを蹴りつける、 ドコ。


「 嘘? 」 カプセルをぶち破ってしまった。 自称かよわい女性のはずなのだが、何回も蹴り続け、足元に体が通る穴をあけ、脱出。


ここは、コールドスリープ状態の人が眠る部屋、ハチの巣の様に壁一面に六角形の蓋が並んでいる。その金属製の蓋に人が通り抜けられるほどの穴を開けたようだ。


コールドスリープに入る前は、地毒に犯され歩く事さえできなかったのに、普通に立つ事ができている。


他の人は、モニターを確認、1000人以上の人間、私以外全員死亡していた。

非常灯だけの薄暗い部屋、衝撃の事実、鳴り響く警告音。


「 誰か、誰かいませんか 」 声を出してみたが、頭の中に浮かび上がるイメージから、生きている人は誰もいない事が感じられる。


ふと、時計を、西暦 8335年 2月18日 表示されている年号に唖然。

慌てて、もう一度、自分が寝ていたカブセルにもぐりこみ、再生、お父様の録画は、西暦 2311年8月9日、5千年も眠っていた。


頭の中に、地下研究所が、地圧により押しつぶされかけているイメージが浮かびあがる、脱出ポッドに向かって走る、非常灯だけの薄暗い廊下を走る、「 きゃ! 」 廊下に大きな亀裂が入っていた。


緊急脱出用のポッドがある部屋に、ドアは開かない、ドアをたたく、「 嘘? 」ドアに穴が。


一旦距離を取り、助走をつけて体事ドアにぶつかる、金属製のドアをぶち破り中に、「 ダメ、どれも動かない 」

脱出ポットが通る 1.2m ほどの円筒状の筒を自力で登り始めた。


「 何なのこの体 」独り言が出た。

地下1000mに作られた、研究所、地上に向かって登り続ける。


地中に生き埋めになるのもイヤだが、地上に出ても生きていられるとは思えない、わずかにある希望としては、5000年の間に、生物が生きられる環境に変わっているかもしれない。


大気汚染、CO2 増大、PM2.5 粒子の広がり、オゾン層が消え、降り注ぐ宇宙線、異常気象、温暖化、海の酸性化、酸性雨、台風、津波、地震、地殻変動により、地上から生物が消えたのは西暦2210年、人類は二つに分かれ、宇宙で生活、地球に残った。


人々は地下に潜った、それでもなお、人類がまき散らした環境破壊の最終生成物、最終環境破壊毒素(地毒)に侵され地球に残った人類は滅びに近づいていた、 人類が地下に潜ったとき、全世界の人々は手を取り合い、地上を再生するプロジェクトを発足、環境を浄化するナノマシンの開発に取り組んだ。


筒の中をひたすら上に向け登る、徐々に地表のイメージが頭の中に浮かび上がる、私は地上を知らない世代だ、地底都市で生まれ、22歳で最終環境破壊毒素(地毒)に蝕まれるまで、地下で生活していた。


豊かな自然があった地表については、映像などで十分に観ている、誰もが地上に戻る事を夢見て生きていたからだ。


どうやら、地下研究所の上には、森が広がっているようだ、頭の中にイメージが広がる。


地上への出口は直ぐそこ、扉は締まり、その上に土が積もっている、脱出ポッドが動いていたら、激突していただろう。


電源の供給が途絶えた扉は閉じたままだ。

厚さ 1m のぺグリアタイト鋼の扉、殴った所で穴は開く事は無いだろう。


手のひらを、扉に充てる、まるでプリント基板が走るように、より鮮明に状態が頭の中に浮かび上がる、地上も空気もナノマシンで満ち溢れている。


非常用の開閉機がある事に気付く、すこし筒をおり、壁にあるドアを、無理やり壊し中に入る、バッテリで起動できる、幸運にも、電源の供給が止まってそれほど時間が立っていなかったのか、バッテリに電気は残っていた。


重い音を立て、少しずつ扉が開いていく。


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初めての投稿です、気楽に読んでくださると嬉しいです。

宜しくお願いします。

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