義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~

白妙 スイ@書籍&電子書籍発刊!

朝一番の「おはよう」を①

 じりり、と目覚ましが鳴る。起きる時間の音。


 もそりと布団の中で動いた。

 昨夜早く眠ったので、眠くて眠くて起きられない、というほどではない。

 けれどなにしろあずさは朝が苦手だ。目覚ましのベル一発で起きられることはめったにない。

 それも、その日になにか楽しみなことがあるとか、大切なことがあるとか……そういう日だけであることがほとんどなのだ。


 そのうちに今度は、ぴぴぴ、と電子音がした。二重にかけているスマホのアラームが鳴り出してしまったらしい。

 時間差でかけているので、この音が聞こえたら本当に起きなければいけない時間ということだ。


 ああ、起きないと。


 眠りの中で梓は思った。

 起きないと、と思うのに、なかなかはっきりと目は覚めてくれない。このままうとうとしていては遅刻をしてしまうのに。


 ドンドン。


 急にそこへ違う音がした。梓はびくりとし、一瞬でぱっと目が開く。

 この音は。

 しっかりと、梓を起こす意思で叩かれているこの音は。


「おい、起きろ。遅刻するだろ」

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