第2話 多様性の時代
どんなに多様性の時代、自由の時代、独身の時代、とやかく言われようと自分の親も適齢で結婚して出産は遅くとも子を二人産み、大学まで育て上げた。私の弟は現在院生を謳歌中なので、なんなら両親はさらに子供に学業の課金をしてくれている。
そんな両親を見ていたら自分が情けなくて申し訳なくて、多様性の時代なんて言葉は右耳から左耳に通過して帰ってこない。
独身が口では楽しいしとか子供は負担だとか話していても負け犬の遠吠えにしか聞こえないのだ。実際私は確かに今、自由で、一人で、いつどこでも何でも自由に何にも囚われることなく、例えば明日静岡で温泉に入りたいと思えば誰にも邪魔されることなく行ける。幸せだと思う。それでも私は他人の、今までの日本人の大人たちの足並みから外れている、と感じて勝手に無いものねだりをして他人の幸福を素直に喜ぶことができず、結婚式の招待状を爆弾のついた卑しい紙にしか見えない。
吐きそうだ。
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