第4話 地球の重心と重力
なんだか最近、この連載は理系的に詭弁を展開する謎作品と化しつつある気がします。まぁ書いてて面白いので続けますが。なお、読者の方が読んでいて面白いかは不明。
*以下、今回の前提となる物理的なお話が続きます。結果から言うと『重力は地球の重心方向に働くのではない』ということ。
そんなの知ってるぜ、と言う方は「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」の所までスクロールしてもらって構いません。
では!
今回のお話は、地球の重心と重力についてです。
まず重心とは、その物体(系)の質量をすべて代表できる一点のこと。
は、何言ってんだコイツ?って?
例えば下敷きを指一本で支える場合、下敷きのすべての重さは指一本に掛かっていますよね? そうやって、釣り合いが取れてバランスが保たれている。つまり、指が触れているただ一点のみにおいて、指は下敷きの全質量を代わりに代表して支えられる、ということ。
まあざっくり言うと、密度が均一の物質ならば、その物体(系)のど真ん中が重心になります。
http://science.wao.ne.jp/common/file.php?no=2235
(イメージ画像)
地球のカタチは回転楕円形でして、赤道半径が6378km、極半径が6357kmらしいです。まぁ面倒くさいので球体と仮定します。
すると当然、重心は球とみなされた地球のど真ん中、球体内部の中心に当たりますね。
じゃあ今度は、もう一つの話題。重力ってどっち向きに働いているでしょう?
え? 球体の中心向きへ、真下にストレート方向じゃないかって?
考えていきましょう。
まず、重力を構成する大きな要素は万有引力です。コイツは具体的に言うと、あなたと地球とがお互いに引き合う力(ほらそこ、キモイとか言うたるな)。この力は互いの重心を結ぶ直線が作用線になります。簡単に言うと、あなたの身体の重心と、地球の重心とをダイレクトに結んだ線上で万有引力は働くんです! 何だか、すごいスケールのロマンじゃありません? 実はこの万有引力が、重力の大半を占めます。万有引力はF=G・Mm/(Rの二乗)なんていう式で求められたりします。
https://th.bing.com/th/id/R.ab869668f8dda26f3a960342f4536124?rik=KBWJ%2fn5HU%2bIbHw&riu=http%3a%2f%2fw3e.kanazawa-it.ac.jp%2fmath%2fphysics%2fhigh-school_index%2fmechanics%2fmotion%2fgravitation.gif&ehk=MDlO%2bMvu9JH%2fi6qf4krB5p5yW5a9ib0HQaRooGh1yxM%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0
重力と言うと、物理ではW=mgといった方が聞きなじみは深いかも?
簡単な問題では、今出てきた二つの文字式を等号(イコール)で結んで、何やらかんやら数値を求めます。
ん? つまり、万有引力と重力がイコールであるならば、重力は人間の身体の重心と、地球の重心とを貫く線上に働く。つまり重力っていうのは、地球の重心の向きに働く?......かのように思われます。
でもっすね、ここに邪魔な存在が介入するんですよ。
その名を、遠心力という。
*あ~、書いてて疲れるわぁ......。しかもまだコレ、前提の説明なんだよなぁ......。
遠心力っていうのは、(まぁ慣性力の一種なんですけども)みなさんご存じの通り、バケツに入った水をぶん回しても零れないっていうアレです。ざっくり言うと、回転している物体に対して、回転の外側の向きに働く力のこと。
さて、コレと地球との間に何の関係があるかと言いますとね。まぁ地球って自転してるんすよ。つまり地球上にいる我々人間には、万有引力にプラスで自転による遠心力も働いているんです。
といっても、もちろん私たちが地球上から放り出されるなんてことはありませんが(笑)。遠心力は、まぁ色々な式がありますが、緯度が北(南)緯θ度の地点では、F=mr・cosθ・(ωの二乗)てな式で表せます。複雑だね。
つまり、人間に働くのは ①地球との間の万有引力 ②遠心力 の二力となり、これらの力をガッチャンコした力が、重力として表示されます。
https://jyukenstyle.com/wp-content/uploads/2019/10/%E5%9B%B34-2.png
(図の、黒い力と青い力を合わせたら、赤い重力が表示できる)
あとは三平方の定理とか使うと、なんやかんやあって、重力はルートの掛かった気持ち悪いくらい複雑な式として求まります。はい、完成。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あ~疲れた、でもここからが本番です。
https://jyukenstyle.com/wp-content/uploads/2019/10/%E5%9B%B34-2.png
この画像を見ていただければ分かるかと思いますが、結果として重力は遠心力の影響を受け、地球の重心に向かう万有引力とは微妙にずれた方向を向きます。
つまり『重力は、地球の重心=中心方向に向かって働くのではない』! (無論、深く考えれば他の力も働いていますが、今回は無視です~)
で。この事実を前提として、私はお伝えしたい!
あなたが歩いた時、地球の重心も変わる!
私がなぜ、冒頭の重心の説明で『物体(系)』と書いたのか。それは、そもそも地球の重心位置にはあなたも関係しているから!
物体、と書けば一つの物体を指します。しかし物体系と書いた場合、複数の物体をひとまとまりとしてみなしています。今回ならば、万有引力で結ばれ、互いに接しているあなたと地球は『物体系』、つまりあなたと地球は一つの系!(おいそこキモイとか言うな)。
貴方が一歩踏み出した時、地球の重心も、ほんのちょびっとだけズレます。分かりにくいなら、地球上の全人類がある地点を目指して大移動すれば、明らかに(それでもちょっとですが)地球の重心は偏る。ならばぁ、付随して重力の向きも変わりうる!
重心とは、質量を一点で代表できる点、地球を支えられるただ一点です。でも、ちっぽけな貴方が一歩踏み出した時、その重心は確かに変わりうる。その一点が移り変わる。そして重心において支えられた地球をも、究極においてあなたは転倒させることができる。
アルキメデスは、てこの原理についてこう言った。「我に支点を与えよ、さすれば地球も動かさん」と。
でも、支点なんて本当は必要ないんです。あなた一人がいるだけで。
その一歩、踏み出すことで、この世界を変えることが出来るのです。
*物理的議論の中で何か誤りがありましたら、教えていただけると大変有り難いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます