怪談歌(怪短歌)

深川我無

一首【死に場所を 求めて登る 錆階段  見渡す景色は 何度目の地獄】

 カツン…カツン…カツン


 永遠とも思えるほど錆階段を上り、屋上に出た。


 見渡す景色は見慣れた街。


 誰も私を見ようともしない。


 孤独な街と決別すべく、私は儀式的に靴を揃えた。


 もう何度目かもワカラナイ。


 景色はやがて線になり、ある時を境に点に変わる。


 点に飲み込まれて目が覚めると、いつもの錆階段に私は立っている。


「ああ。まただ…」


 いつもの言葉を呟いて、私は錆た手摺を握る。



死に場所を 求めて登る 錆階段 


見渡す景色は 何度目の地獄

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