ドッペルゲンガー・メトロノーム

流木

アバンタイトル

死んだ、殺した、俺が死んだ 


俺が殺した


俺が、俺を殺した


 少年は赤黒く染まったナイフを見つめる。眼前の自分はもう動いてない。俺はホッと息をついた。だがいつまでこんな地獄が続くんだ?そう考えると恐怖で腹の底から胃液が込み上げてくる。 

「誰か…助けてくれ……」

夜空の星達はその運命を嘲笑うように美しく輝いていた。もう動かない俺はやがて光の粒子となってこの世界から消えていく。ナイフからも赤黒いものが光となりキラキラと舞って消えていった。

 俺は綺麗になったナイフを握り締める。

「必ず生き残ってやる」

少年は暗い暗い夜道を歩き続けた。


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