暦日
字坊人造
第1話
暗色の制服の中春となる
冴返る逸らされた目の向かう先
初めての長い会話に風光る
若草を踏んで走って追う背中
困惑の頬の紅潮花吹雪
雨上がりふたり同時に虹と言う
麻の服夜の手前で立ちすくむ
受け入れて唇ひらく草いきれ
薄い胸あらわ西日の部屋の奥
前髪の汗に貼りつく照れ臭さ
馴れ合いのすきまに猫のように秋
それぞれにぽかん無月の空仰ぐ
芒野の中で指輪の抜け落ちる
とりあえず会ってみようか後の月
向かい合い黙りこむ間に銀杏散る
決めるにはふさわしくない冬麗
言い合って言うだけ言って寝る炬燵
鉛から銀色になるクリスマス
初買はふたりコーヒーLサイズ
初氷無言で並びつつく朝
暦日 字坊人造 @sakuku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます