10.進化(鳥)
邪神から貰ったアドバイスをリオとトーリにも伝え、引き続き練習する事二日、二人は無事に《魔力操作》を覚えて俺含め各々の魔法もLv1ながら習得した。
魔法って凄いよなぁ。まぁ、魔眼の時点で分かっていた事ではあったが、そりゃ不可視の力でベクトル操作したり見た場所を燃やす、凍らすなんて
ただ、魔眼はイメージの工程を最悪必要ないように調整されていたから大雑把な範囲と威力の操作をするだけできちんと発動するのに対し、魔法は逆に綿密なイメージが必要で、イメージ力が足りないと発動しても失敗する。地面から針山の影を出そうとして沢山の影触手が出てきた時は驚いた。
よく、詠唱なんて無駄。魔法なんて無詠唱で使えばええやん!ってキャラ、いるだろ?無理無理。俺たちに出来たのはいくつかのイメージを言葉に固定して魔法名にするくらいで、無詠唱なんて以ての外。MPを根こそぎ持っていくような難しい魔法なんてイメージを補完する為に呪文まで唱えなければいけない。
俺の《影魔法》なんて魔法名だけで使えるの少しだけだぜ……?実体化させようとするとどうしても呪文が必要になる。リオはノリノリで考え、トーリもリオと同級生であり、まだ若いからか呪文を考えるのが楽しいらしいが、俺にとっては黒歴史なんだよ……。わかるよ。わかる。楽しいけどね、ええそりゃもう、誰しもが通る道ではある。俺だって通った。だがしかしまだこのエリュシオンじゃ産まれたばかりとは言え俺はいい大人。精神的には色々とやはり恥ずかしい。
そんなこんなでこの二日、リオとトーリは魔法の練習をしながらキャタピラー狩りに出ていてようやく上限まで上がった。俺は既に上がっていたので留守番だな。穴の中だといつでも《影魔法》の練習できるし。
「という事で!全員レベル上限!お待ちかねの進化の時間だー!」
「いえぇぇぇぇぇ!!ふぅぅぅぅ!!!進化だぁぁ!!」
「ようやくですねぇ。せめて雑草からは抜け出したいところ!」
両腕を天に突き出しながら叫ぶリオ。お前そんなに楽しみだったのか。
「やっぱり、強くなるのっていいですよね!ここって言うなれば努力が目に見えて報われる世界な訳で。これまで頑張ったご褒美って感じです!」
「確かにな、努力した分だけ成長するもんな。」
「それがもう楽しくて楽しくて!《錬金魔法》も使えるようになったし!そうだ、進化する前に羽下さいよ、羽。」
お
「さぁ!さっさと進化しちまうか!いやー、どんな進化になるんだろうな!!先ずは俺から行かせてもらうぞ。」
リオの言葉をスルーし、ステータス画面を呼び起こす。
―――――――――――――――――――――――――――
名称:クロウ
種族:ベビーバード
Lv:5/5
HP:19/19
MP:23/23
SP:25/25
攻撃力:4
防御力:6
魔法力:9
抵抗力:6
素早さ:15
ランク:G
パッシブスキル
《飛行Lv2》《鷹の目Lv1》《言語理解Lv―》《闇属性耐性Lv1》《打撃耐性Lv1》
アクティブスキル
《影魔法Lv1》《重力の魔眼Lv1》《ステータス閲覧Lv1》《魔力操作Lv1》
称号スキル
《邪神の子Lv―》《転生者Lv―》《チキンランナーLv3》《無鉄砲Lv1》《邪神ちゃんお気に入りLv1》《----》
――――――――――――――――――――――――――
【進化先を表示します】
《リトルバード》:ランクF-
《マジックバード》:ランクF
《チキンランナー》:ランクF+
「三択だな。《リトルバード》に《マジックバード》、そして《チキンランナー》ねぇ……。早速称号スキルが悪さを始めたなこれ。地味に他の二つよりランク上なのなんなん?」
「チキンですかクロウさん。クロウなのにチキンなんてカラスの風上にも置けませんね!ランナー入ってるし飛べなくなりそうですし!あと私としては是非とも錬金素材が取れるような進化先だと嬉しいなーなんて!」
「喧しい喧しい俺はカラスじゃないし仲間は無限素材採取場じゃないんだよ!先ずは進化先の詳細を見てみないことには分からんだろ。とは言え《チキンランナー》は詳細を見るまでもなく没……かな。流石にな。」
余談だが、新しく生えた《邪神ちゃんお気に入り》の称号だが、属性を悪に傾けた上に進化先に影響を与えるものだった。本当にアイツは俺を亜人にさせる気があるのか?
【《リトルバード》:ランクF-】
【雛の時期を卒業した小鳥。まだまだ未熟な為狩られる側からは抜け出せていないが、可能性の塊である。】
【進化はしたが未だその身は柔らかく美味であり、高級食材として数えられる。食いでが増し、羽も上質になった事により積極的に外敵から狙われ、成長するのは一握りの選ばれし個体だけである。刺身が特に美味い。】
「はいはい、また後半は食レポね。ベビーバードからの順当な進化先だろうからそんな気はしてたよ。今でさえ結構狙われるのに更にヘイト買うようになるのか。」
「ベビーバードの時より美味しいのかな。薬とかで欠損治せるなら少し食べてみたいよねトーリちゃん。」
「食べてみたいよねトーリちゃん。じゃねえよ!もし治せても食わせねえよ!?そもそもお前ら味覚無いだろもう羽やるから黙ってろ!オレ、ナカマ、エサジャナイ!」
「リオ、それはちょっと流石に、ね?やめようね?」
「やったーはねだー!」
「もう怖い……絡まれる前にさっさと選ぶ。」
【《マジックバード》:ランクF】
【幼い頃から魔法が使えるエリートな雛が成長した姿。MP、魔法力、素早さの伸びがいいがその反面攻撃力は無いに等しい。】
【羽を飛ばす遠距離攻撃の他、複数種類の魔法を低レベルながら使ってくる為冒険者からは嫌がられている。】
【《チキンランナー》ランクF+】
【地上を走り逃げることに特化した鳥。敵と認識するや否や猛スピードでその場から離脱する。生半可な速度では追いつけないであろう。】
【しかしその反面、追い詰められた際にその脚は真の力を発揮する。今まで唯ひたすらに逃げる事だけに使って磨いてきたそれは敵対者に牙を剥き穴を穿つ。チキンだって猫を噛むのだ。】
「こりゃまたなんとも……素早さはどちらも伸びるが戦闘スタイルが違うと言ったところか。」
「魔法特化か物理特化か、それとも未来の可能性に賭けるか、ですかね。《チキンランナー》なんて蹴りで穴を穿つとか言ってるから相当ですよこれ。」
「俺としては《影魔法》を伸ばしていきたいから物理よりは魔法かな。複数種類使えるようになるみたいだし。攻撃力なんて今もそれこそ雀の涙、あってないようなものだからな。だがしかし可能性の塊ってのも捨て難い。雌伏の時を過ごした分未来への投資をしていると考えれば全然アリだ。悩むな。」
「僕やリオも居るのでお互いの長所を伸ばしつつ短所をカバー出来るようになればベストですよね。まぁ何が足りないって言われたら圧倒的に素早さなんですけども。今でさえ機動力の面は最悪クロウさん頼りなので何選んでもいいと思いますよ?」
「なんか学生に戻って進学先を選んでる気分だな、久しぶりの感覚だ。ここは絶対間違えられないし、そういう面では潰しが効く《リトルバード》かな。この先進化先が沢山出そうだからその時必要な能力に偏っていけばいいしな。あんまりピーキーな性能の奴を選ぶと亜人までの道のりが伸びそうだ。」
【《ベビーバード》が《リトルバード》に進化します。】
【パッシブスキル:《飛行》のLvが2から3に上がりました。】
【パッシブスキル:《鷹の目》のLvが1から2に上がりました。】
【パッシブスキル:《闇属性耐性》のLvが1から3に上がりました。】
【アクティブスキル:《フェザーブラインドLv1》を獲得しました。】
【アクティブスキル:《魔力操作》のLvが1から2に上がりました。】
【称号スキル:《邪神ちゃんお気に入り》のLvが1から2に上がりました。】
メッセージがぽこぽこと流れ、俺の体が淡い光を放ったと思ったら一回り程大きくなり、羽は新しいものに生え変わってツヤツヤと輝いている。基本は黒に近い青系統の羽だが、アクセントのように生えている桔梗色のように紫がかっていたり天色のように明るい色の羽が素晴らしい。我が身体ながら見事。
―――――――――――――――――――――――――――
名称:クロウ
種族:リトルバード
Lv:1/15
HP:13/13
MP:20/20
SP:22/22
攻撃力:2
防御力:5
魔法力:10
抵抗力:8
素早さ:12
ランク:F-
パッシブスキル
《飛行Lv3》《鷹の目Lv2》《言語理解Lv―》《闇属性耐性Lv3》《打撃耐性Lv1》
アクティブスキル
《影魔法Lv1》《重力の魔眼Lv1》《ステータス閲覧Lv1》《魔力操作Lv2》《フェザーブラインドLv1》
称号スキル
《邪神の子Lv―》《転生者Lv―》《チキンランナーLv3》《無鉄砲Lv1》《邪神ちゃんお気に入りLv2》《----》
――――――――――――――――――――――――――
「おお!リオ、トーリ見てくれよ成長した俺を!どうだ?どこか変わった所は無いか?」
「やったー!羽だーー!!!たくさんだ!全部私のですからね!誰にもあげませんよ!!そっかぁ、進化すると全身生え変わるんだ……へへへ……いっぱい。しあわせ。」
リオは生え変わった際に抜け落ちた俺の羽の小山に突っ込んで幸せそうにしている。マッドなアルケミストの道を爆進しているようで結構。放置。
「進化するとやはりLvが1に戻るからステータスの弱化は避けられませんね。HPやMPが下がっちゃうのが痛いです。」
「そこはまぁ仕方ないが、初期ステータスだと考えると大分成長したと思うぞ。攻撃力は相も変わらずカスだが。イトナは確か俺達が襲われた時点でランクはE-だった。F-の俺と3ランク分離れているって考えると早いとこ2回目の進化をしておきたいところだな。」
「あと、クロウさん。見た目でそこそこ大きな変化が。その頭なんですけど……。見てもらった方が早いですね。氷を作るので反射で見てみて下さい。」
「頭?なんか生えたか?変な感覚は無かったんだが……。」
トーリが地面に作ってくれた氷で確認すると、頭から後方に向かって瑠璃色から赤紫にグラデーションがかかっている大きめの冠羽が新しく生えていた。
「いいねいいね。なんかオシャレだ。新しいスキルも手に入って、見た目にも変化が出るから進化って楽しいな!まぁ最終的には亜人になれなきゃ困るんだけども。さて、次はどっちが進化する?」
「ならばこの私が!方向性はもう決めてあるのでそっち系が出ればサクサクと決めちゃいます!内臓欲しいなー!」
「僕は心の準備しておくから、リオお先にどうぞ。」
リオから進化する様だが、そもそも
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