4.反撃、そして邂逅
4.反撃、そして邂逅
そして冒頭へ戻る。
「安全って意味を辞書で引いて理解してから転生させろよクソ邪神が!!!」
やばいやばいやばい!ものすごくやばい!
俺嫌だよ?産まれたてで芋虫にムシャムシャされるの!
「誰かー!黒谷さん!?居ないの!?Can anyone hear me!?!?誰でもいいから助けてー!」
先程よりは走るのに慣れたのか多少楽になったが、それでも疲労は溜まる。背後から芋虫の追いかけてくるガサガサとした音が迫る。
くそっ!逃げてるだけじゃそのうち追いつかれる!SPも切れそう!こうなったらなんか使えないのか?逃げて捕まってハイ参りましたって降参してたまるか!
影魔法はまだLv0だから恐らく使えない。……くそっ。背に腹はかえられねぇ。魔眼、いくか?怖ぇ〜!どうやって使うんだ?飛ぶ時みたいにアシストしてくれたら嬉しいが。
半ば諦めながら腹を括る。薮を抜けて少し開けた場所に出て振り返り、呼吸を整える。魔眼って言うくらいだから視界に収めないと使えないだろ。
「しゃあ!来いよ虫野郎!やってやろうじゃねえか!逃げるのは終わりだ!俺は腹が減ってんだよ!てめえが今日の昼飯だ!」
芋虫も藪から出てきて身構える。俺が疲れて走れないと思っているのだろう、ゆっくりと近づいてくる。
「シャァーッ!」
威嚇してきた。こっわ!
ステータス閲覧って他者にも使えるのか?試してみるか。よっしゃ芋虫!丸裸にしてやるぜ!
ステータスオープン!……あれ、でねぇ!?使えないのか?それともあれか?スキル名か?むむむむむ……《ステータス閲覧》!
すると、体から何かが抜ける感覚と共に芋虫のステータスが表示された。何で自分と他者だとキーワード違うんだよややこしいな!自分のステータスを素早く確認。MPが14/15に減っている。MP使うのかぁ……。
―――――――――――――――――――――――――――
種族:キャタピラー
Lv:3/8
HP:12/15
MP:3/5
SP:10/25
攻撃力:8
防御力:5
魔法力:3
抵抗力:2
素早さ:8
ランク:G
パッシブスキル
《芋虫Lv―》《火属性脆弱Lv10》
アクティブスキル
《糸生成Lv2》《噛みつくLv1》《仲間を呼ぶLv2》
称号スキル
《雑兵Lv1》
――――――――――――――――――――――――――
うわぁ……やばいやばい。全体的に俺よりステータス高いな。特に攻撃力。俺の4倍あるじゃん!ギリギリ俺の方が素早さ高いから逃げてこれたけど、そのうちSPの差で捕まってたな。
にしても《火属性脆弱Lv10》か、俺影魔法なんだよなぁ。まだ使えないけど。魔眼で何とかなるか……?
ええい、ままよ!
「先手必勝!頼むから何とかなってくれよ!《重力の魔眼》!」
飛びかかろうとしているキャタピラーをしっかりと睨み、発動する。体からごっそりと何かが抜ける感覚。
「ギギッ!?ギッ……ギッ……!」
見ると、キャタピラーは見えない何かに押さえ付けられているような感じで、地面に這いつくばっている。動こうとしているが、ピクピクと足を動かすのみで、体を起こせないようだ。
「ははっ……!凄いぜ魔眼!よっしゃ芋虫野郎、お前に恨みは……まぁあるか、お前めっちゃ追いかけてきたもんな。野生ってのは食うか食われるかだ。運が悪かったと諦めてくれ!」
動けないキャタピラーを横目に俺はパタッと羽ばたき、思いっきり足の鉤爪で蹴りつける。食らえ!これは追いかけられた俺の分!これも俺の分だ!
20秒程ゲシゲシと蹴りつけ、SPが減ったのか疲れてきたので離脱。
「はぁ……結構攻撃したが……どれだけ削れた……?」
―――――――――――――――――――――――――――
種族:キャタピラー
Lv:3/8
HP:5/15
MP:3/5
SP:7/25
攻撃力:8
防御力:5
魔法力:3
抵抗力:2
素早さ:8
ランク:G
パッシブスキル
《芋虫Lv―》《火属性脆弱Lv10》
アクティブスキル
《糸生成Lv2》《噛みつくLv1》《仲間を呼ぶLv2》
称号スキル
《雑兵Lv1》
――――――――――――――――――――――――――
俺の攻撃でHPが削れ、魔眼に抵抗して動こうとSPが少し削れている。
でもぜんっぜん削れねぇ!なんだよ俺が貧弱だからか??あれだけやって7?やっぱり攻撃力2じゃダメか……。
どうする?まだ魔眼が効いているうちに逃げるか?いつ効果が切れるか分からないし、とどめを刺すのにもリスク出てきたぞ。でもあと5かぁ……いけんじゃね?こう、もう少し高くから勢い付けて突っ込むか。《仲間を呼ぶ》があるからな。呼ばれる前にケリをつけよう。
「おいおいまだ動けないのか!情けねえな芋虫!そろそろ大人しく俺の昼飯になってくれよ!知ってるか?速さ×重さは破壊力なんだよなぁ!!!」
飛び上がり、急降下。体全体を弾や矢に見立てて嘴を突き刺すようにキャタピラーに体当たりをする。
ずぶり、と嘴だけでなく頭までキャタピラーに突き刺さる。
「ギィィィ!ギィィ……ギチェッ……。」
「うぇっ!ぺっぺっ!こんなに刺さると思わなかったぞ!うわお前体液緑色なの……?なんか気持ち悪いし首痛い……洗いてぇ……。」
キャタピラーは力尽きたようだ。一応ステータスを見ようとするが見れない。死体になると閲覧できなくなるみたいだ。
「ともあれ、初戦闘にて初勝利!はっ!鳥類舐めんな!」
【経験値を獲得しました。《ベビーバード》のLvが1から3に上がりました。】
【パッシブスキル:《打撃耐性Lv1》を獲得しました。】
【称号スキル:《無鉄砲Lv1》を獲得しました。】
キャタピラーの上に立ち荒ぶる鷹のポーズで勝利を噛み締めていると、半透明の板が現れる。
【おめでとう〜♪戦闘初勝利だね!その調子でレベルを上げて、成長していこう!《邪神の子》の効果で獲得経験値が増えてるから、じゃんじゃん戦ってどんどん強くなってね!】
うわ、邪神だ。まぁ、貰った魔眼のおかげで倒せたから、今回は感謝しておこう。なむなむ。
獲得経験値が増えるのは純粋にありがたい。今回転生させられた人達は皆
「ステータスは後で落ち着いたらよく確認だな。とりあえずこいつをどうするか……火は起こせないから、そのままかぶりつくか……?でも体液緑色だしそのまま食べちゃダメな見た目してるんだが……。掴んで運ぶか?こいつ重そうだし無理っぽいなぁ。」
そうやってうんうんと頭を悩ませていると、再びガサガサと藪の中で動く音。またキャタピラーか?といつでも飛び立てるように身構える。
ステータスを確認。MPは残り8だ。MAX15だったからステータス閲覧を2回、不発分1回は消費されなかったとして7減っているから魔眼の消費は5か。
魔眼かけて逃げよう。腹は減っているが仕方ない。食えるかも分からんしな。
そして藪から出て来たところに魔眼をかけてやろうと音の方を見つめる。
そして出てきたのは――
「あ、あの!敵じゃありません!少しお話を、お、お願いします!」
「あ?え?えっと……黒谷さん?」
「すみません……人違い、いえ、骨違いです。へへ。」
両手を上げて敵じゃないアピールをした骸骨だった。えぇ?誰ぇ……?
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