妖精さん
私が仕事を終えてアパートへ帰宅すると、いつも不思議な事が起きている。
揃えた覚えのない靴が整頓されていたり、お風呂で失くしたはずの指輪が玄関先の目立つ場所に転がっていたりと、それらは私のプラスになることばかり。
最初の頃は私が居ない間に誰かが侵入しているんじゃないかと考えてしまい、恐怖心が勝っていた。
でも、どれだけ調べても誰かに侵入されたような形跡は一切ない。
次第に私は、この部屋には妖精が住んでいて、私を助けてくれているのだと思うようになった。
億劫でしばらく掃除出来ていなかった換気扇がピカピカになっていたある日、私は嬉しさのあまり妖精さんへ手紙の書き置きをした。
内容は、
〈いつも助けてくれてありがとう。もしあなたにもして欲しいことがあれば、私に出来ることならお手伝いするからね〉
という簡潔に感謝を伝えるものだ。
その夜。
手紙を書いた事も忘れ仕事から帰宅すると、なんと手紙を置いた場所に別の手紙が置かれていた。
きっと、妖精さんが返事をくれたんだ。
わくわくしながら手紙を開封する。
〈右足が食べたい〉
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