死神ちゃんの力でイージーダンジョン〜死神陰キャは配信と裏社会でなら最強だけど、絶賛友達増やし中です〜

ネリムZ

人間作品

第1話 わたしはボッチじゃありません

 「と、言う訳であの謎はただ、魔物の乱獲が原因でした! ご視聴ありがとうございました! チャンネル登録、高評価お願いします!」


 最後の挨拶を終えたわたしはカメラを切って、編集作業に入った。


 「⋯⋯ん?」


 時間を確認すると朝の七時な事に気づく。

 やばい。そろそろ学校に行く時間だ。


 「おはようパパ、ママ、学校行って来るね」


 「「行ってらっしゃい」」


 学校に向かって歩く。

 

 今日も良い朝で気分が悪くなる。暗い雲にずっと覆われてろ。


 学校に到着した。


 難関校私立と言うやつらしく、ここの勉強について行くのが辛い。学費も高い。


 「おはよう紫菜々伊しなないさん!」


 「あ、お⋯⋯」


 「おー、みんなもおはよう!」


 わたしが挨拶を返す前にどこかに行ってしまった親友。


 氷室ひむろさんと言う、毎朝挨拶をしてくれるわたしの大切な親友であり、学校で唯一の友達だ。


 確かに氷室さんは色んな人に元気よく挨拶するし、その一環かもしれない。


 だが、そうでは無い事が今日の体育で分かる。


 更衣室。


 「相変わらず良いモン持ってますね〜」


 胸を鷲掴みにされる。


 ふふふ、これがJKのスキンシップだよ。これを見ても親友じゃないと言える人は居ない。


 「ちょ、ひむひむ止めなって、紫菜々伊さん嫌がってるよ」


 その言葉にわたしは振り向いた。


 「べ、別に、い、いや、いやがぅて、ましぇん」


 「⋯⋯そ、そっか」


 笑顔で返事及び否定したはずなのに、相手の反応が良くないのは何故だろう?


 ま、いつもの事なので気にする事では無い。


 「相変わらず紫菜々伊さんは面白いね!」


 今日の体育はバレーのようだ。


 バレーは好きだ。


 端っこの方で突っ立ていれば勝手に試合が流れて、授業が終わる。


 ローテンションはクソだけどね!


 「紫菜々伊さん、そっちにボール行くよ!」


 「え⋯⋯ふげぶっ!」


 きょ、今日は珍しくわたしの方にスマッシュが放たれたようだ。


 なお、昨日も同じ光景を見たし経験した記憶がある。


 くくく、この程度のボールでは気絶しない。


 「は、鼻血が! ほ、保健室!」


 「うち保健委員やから連れてく!」


 「紫菜々伊さん、ごめん。大丈⋯⋯ばないよね。本当にごめんね」


 大丈夫。この程度数秒あれば回復するから⋯⋯あれ? 今のちゃんと言ったよね?


 よし、これでわだかまりも無くなって、これをネタに明日から話せるぞ!


 保健室にて。


 「派手にぶつけたね」


 「風音かざね先生。どうやったらボールって避けれますか?」


 「無駄な事を考えずにボールをしっかり見て、来たと思ったら全力で横に逃げる」


 「なるほど!」


 参考になる!


 さすがはわたしが唯一心を許してそこそこ話せる先生なだけはある。


 「疲れてるんじゃないの? バイトの詰め込みすぎはダメだからね」


 「大丈夫です! そこまで忙しくないので!」


 「そう。何かあったら相談しなよ? 自分は君の親代わりだと思ってるからさ」


 「はーい。⋯⋯あ、新しい花ですね」


 保健室の花が変わっている。


 「ああ。綺麗だろ? 家にも沢山、作品はあるんだけど、学校には持ってこれなくてな。色んな人に見て欲しいし、花はこうやってるんだよ」


 花を育てて保健室に飾り、見てもらう。


 なんとも乙女? なんだろう。さすがは先生だ。


 「お、もう大丈夫そうだね」


 「はい。ありがとうございました。⋯⋯でも、体育が終わるまで寝てて良いですか?」


 「仕方ないな。具合が良くないって事で」


 「先生大好き!」


 「はいはい」


 昼ごはん。


 当然、昼の時間は親友と食べるのが鉄則だと思われる。


 もちろん、その例に違わずわたしも誘われる。


 「紫菜々伊さん一緒に弁当食べよ〜」


 「あ、う⋯⋯」


 「ひむひむ行くよ〜」


 「はーい! 行こ?」


 「い、いや。だい、じょうぶ、はい」


 「そう?」


 わ、わたしは親友の友達との関係ないを壊したくないから、一歩引き下がったのだ。


 別に知らない人(クラスメイト)と食べるのが怖くて嫌だったから逃げた、そんな理由では決してない。ないったらない。


 「あ、弁当忘れた」


 財布も忘れてる。


 なんでこうなった。


 別に食べなくても良いんだけどさ、学生らしさがないよね。


 下校。


 我が親友は部活なので帰りはいつも一人だ。時には一人になりたい時だってあるため、問題は無い。


 「あ、メッセージだ」


 スマホが鳴ったので取り出す。


 『案内人仕事だ。夜八時に来い』


 そんな内容が地黒しぐろさんから届いた。


 バイトの時間である。


 帰っている途中で尾行された。わたしは何もしてないと神に誓おう。


 神と言うか宗教は嫌いだけど。


 「やい、死神女帝! 僕と戦え!」


 「しに⋯⋯」


 わたしは全力でダッシュした。


 厄介な輩からは素早く手を引くのが一番だ。


 くっくっく、わたしの全速力に追いつける存在などこの世に存在しないのだよ。


 「はぁはぁ。こ、ここまで来れば問題ないだろ」


 「え、なんで息切れしてるの? まだ、五十メートルくらいだよ?」


 「はぁ、はぁ、じぬ。水⋯⋯」


 「あわあわ、ちょ、ちょっと待ってて」


 見知らぬ女性に水を奢って貰った。


 「ごくごく」


 「飲むの早っ!」


 「キンキンに冷えてやがる」


 「さっき自販機から買ってきたからね」


 と、お金を返さないと。


 財布ないんだった。どうしよ?


 「って、そうじゃない。死神女帝、僕が最強になるために戦え!」


 面倒な。


 「え、と。じゃない、です」


 「え、何聞こえない?」


 嘘だろ?


 暗殺者なら聴力くらい鍛えとけよ。


 「その、⋯⋯です!」


 「ごめん分からない」


 なんでわたしがこんな面倒をしないといけないんだ。


 スマホで文字を打ち込み見せる。


 『わたしは死神女帝ではありません!』


 「えっ! で、でも、組織ではみんな君の名前を言うよ? 先生とも良くダンジョン行くじゃん」


 それはまた違う案件。


 わたしは人を殺めた事は⋯⋯一度しかない。多分ね。


 「誰だって言うのさ! 嘘⋯⋯でもあの体力で⋯⋯」


 え、なにバカにされた?


 『死神女帝と呼ばれた人はわたしの母親です』


 「そうなのか! 会わせてくれ! 強い人と戦い僕は最強になるんだ!」


 『武器ありませんか?』


 ハンドガンを渡された。


 こんなのを街中で持ち歩くなとか、すごく言いたい。


 でも、わたしは大人だからグッと我慢して、近くに生命反応が無い事を確認して、銃口を彼女に向ける。


 「ちょいちょい、何をする!」


 『母に会いたいんですよね?』


 「⋯⋯そうだけど、と言うか普通に話してよ面倒」


 面倒なのはお互い様だ。


 『母はあの世なので死なないと会えません。安心してください。綺麗に一撃で仕留めれると思うので、蘇生は可能です。一時的に死ぬだけです。もちろん、母と会えるように案内しますから!』


 「何一つ安心出来ないし! てか、ええ! 歴代最強って聞いたのに、なんで!」


 なんでって⋯⋯知らないの?


 まぁ、わたしと同い年くらいだから知らないのも当たり前か。


 あんな奴らと若者は関わるべきじゃないって言う、組織の方針だろう。


 『わたしが殺したから』


 「⋯⋯へ?」


 どうせ地黒さんに聞いたら分かる事なので、誤魔化す必要は無いだろう。


 わたしに今後関わってくるかも分からんし。


 警察には頼らないだろうし、問題ない。


 「え、ど、どう言う事? 色々と不思議なんだけど? もしかして、そう言う能力を持ってたりするの?」


 『ご想像におまかせします』


 わたしの言葉を信じてくれるなら、ちゃんとママに会わせる事は可能だ。


 まぁ、戦うって事だから一度殺さないといけないけど、会うだけなら殺す必要は無い。


 「人が来る! 返して!」


 ハンドガンを没収された。


 「んーそうか。そうなのか。うーん? と、とりあえず連絡先交換しよっ。組織の一員なら仲間で家族だからね」


 「⋯⋯ん」


 連絡先をくれたら彼女はどっか行った。


 「黒川って言うのか」


 連絡先交換して、口での会話も交えた⋯⋯親友とは行かずとも、友達には成れただろう。


 地黒さんに組織での友達が出来た事を報告しよっ!


 きっと驚くだろうな〜。


 「⋯⋯でもあの人、本当にわたしの事を知らないんだな。わたしが案内人だって事を」


 一部の人しか正体は知らないんだっけ?


 ま、どうでも良いや。


 今日のバイト代はいくらかな〜。



────

お読み下さりありがとうございます!

期待していただけたなら嬉しいです。

死神ちゃんの登場はもう少し先です。

★や♡をいただけると幸いです。励みになります。

12時くらいにもう一話投稿予定です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る