深夜の事件

時計の針が重なった午前零時

それはゆっくりと闇から這い出る

音もなく 空気も振れず

それでも確かにそこにいる

そこからじいっとこちらを見つめ

なにか言葉を呟いている

なんて言ってるの?


境目の時 秒針だけが謳う

瞼を閉じて耳を澄ますと

冷蔵庫の製氷機が鳴った

足音がヒタヒタ遠のいて行く

小虫の羽音が止んだ

硝子の割れる音

耳鳴り

パトカーのサイレン


午前零時 境目の時間

朝を迎える事は無い

なぜなら ここでおしまいだから


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る