第21話 ウエスターナ2日目
午前中はとても気候がいい。
朝食を共にした後、準備をして馬車に乗った。私たちは、向かい合って座った。
彼は、とても明るく色々な話をしてくださった。私の知らない祖父の話やウエスターナの精霊の森の話。
「そういえば、どうした今時期にこちらへいらっしゃったのですか?夏休みにしては早いですし。」
「それは…。一応留学です。少し帝国にいると少し不都合があるので。」
気まずそうに答えた。彼も少し困った顔をした。
「そうですか。また話したくなったらぜひ話してください。私にできることならなんでも致しますよ。」
そう笑って答えてくれた。
祖父母の家に着くと歓迎された。そして、祖父と彼は、客間に行ってしまった。
「お祖母様。彼は一体何者なのでしょうか?私の祖父母のことを知っていましたが…。」
「私の口から詳しいことは言えないけど、彼は貴族で、今は伯爵として振る舞っておられると思いますよ。」
お祖母様に案内されて私は昨日来た自分が泊まる部屋に来た。荷物の整理をしてからお祖母様とお茶をすることを約束し、部屋に入った。
イリーナがニヤニヤしながら、
「サイラス様って素敵な方ですよね。」
「そうですね。」
私はそっけなく答えた。まだ、私の心の傷は癒えきれていない。他の男性にまた裏切られるかもしれないと余計な心配をしているのだと思う。
私はこれからもきっと誰かを好きになれないだろう。
そんなことを思いながら、私は自分の部屋の荷物をイリーナと共に整理した。ほとんどは衣服類でそれでも少なく持って来た。着る服は時間帯によって変わってくるから、少ない種類でも量が増えるのだ。
思い出のあるワンピースやドレスは置いて来た。見るだけで辛くなるからだ。
ほとんどの整理が終わり、ラルクとジャスミンを連れて、お茶会の場所、東の方角にある庭に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます