第16話 朝

今日は親戚への挨拶と妖精の森へ行く日だ。精霊の森とは、街の中心より少し南にあった場所にある、森だ。王の私有地ではあるが、一部が入れるようになっている。その森は、全てが美しい。空気は澄んでいて、水は綺麗でゆっくりと流れ、たくさんの妖精たちが過ごしている。入れる部分には妖精たちは暮らしていないが、そこに行けば妖精たちが出てくる。




まずは親戚の家に行かなければならない。行くのは、私の母方の祖父母。私の祖父母は精霊の森の近くに住んでいる。精霊の森が一番多く妖精が住んでいるだけなので、街にはちらほら妖精たちがいる。


ここから祖父母の家が近いので、午前中に出られるよう、もう準備を始めた。朝ごはんはホテルの部屋でとり、男の人の様子を見にいった。まだ目覚めていなかった。



「この方すごく整った顔をしていますよね。昨日は汚れていて傷もあったのでそうは思いませんでしたが。」



イリーナがそう言った。彼はとても綺麗な顔をしていた。透き通った肌に黒髪のその男の人は、私と少し歳が近いように感じた。



「今日もこのホテルに宿泊しましょう。本当は祖父母の家に移る予定でしたが、この方が目を覚さないと移動させるのも良くないですし…。」




「わかりました。そう伝えておきます。」



イリーナはそう言って部屋を後にした。




私は、ラルクとジャスミンと一緒に治癒魔法を少しだけかけて、顔を拭いておいた。



「彼早く目覚めるといいわね。」



「大丈夫だよ!もう十分元気になってるもん。」



ジャスミンが明るく答えた。



準備が終わったのでみんなで祖父母の家を目指した。祖父母の家は、自然豊かでとても落ち着いた雰囲気のある家だ。豪華でありつつ、そこには落ち着きもある。



「マリア、おかえり。」


「マリア、おかえり。」


「おかえりなさいませ。」


お祖父様とお祖母様と屋敷の使用人たちが出迎えてくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る