プロイセン改革記
@pjpj
第1話
1777年3月 プロイセン ベルリン
知らない天井である。すこしの怠さを感じながら体をベッドから起こし、周囲を見る。視界に映るのは西洋の高級家具である。
(いったいここは何処なのか。私の部屋という訳では無さそうだ。)
そのようなことを考えながら周囲を観察し続けていると部屋の扉が開き、太った中年と思わしき男が入ってきた。そして、ベッドから起こしている私を見ると、顔に驚きの後に笑みを浮かべると私に近づき話しかけてきた。
「フリードリヒ!意識が戻ったのか。私だ、お前の父のフリードリヒだ。体は大丈夫か辛くないか?」
どうやら私の名前はフリードリヒであり、父も私と同じ名前のようだ。このようなことは、欧州ではよくあることだったなと思いながらフリードリヒ(父)に返事を返す。
「少しの怠さを感じますが、熱はありません。かなり回復したように感じます。」
私がそう返すと、再び父の顔が再び驚きに染まった。何か言ってはいけないことを言ってしまったか、と考えるがあの短い会話の中に何かタブーに触れることがあったとは思えない。私がそう思考していると父が再び口を開いた。
「そうか、そうか。すばらしい。あの主語を抜いたような喋り方が治っている。そういえば、今朝雲の隙間からお前の部屋に光が差していた。きっと主がお前のことを憐れみ直してくださったのだろう。」
独り言のように一気にまくし立て上げると満足したように頷いた。そして、部屋のドアの前まで行くとドアを開け使用人を呼び出し、二三こと会話するとこちらに戻ってきた。
「今、使用人にフリーデリケを呼ばせた。母がこの部屋に来るまでゆっくりとしていなさい。私は、用があるからここでおさらばさせてもらう。」
父はそういうと部屋からそそくさと出て行ってしまった。その顔は、何処か緩んでいるようにみえた。父が出て行ったあと、私は疲れを感じていた。なかなかキャラが濃い父に振り回されたからだろう。再びベットに横たわり、体を休めて少し時間がたつとドアがコンコンとノックされた。
「フリードリヒ入りますよ。」
「どうぞ」
入ってきた女性はこれといって特徴のない普通の容姿をした人だった。しかし、何処か安心するような雰囲気を持っているように感じた。彼女は侍女を引き連れ部屋の中に入ってきた。そして、ベッドの側にある椅子に座り、私の額に手を当て熱を測った。
「本当に熱はないようですね。」
「はい。ですが、少し体がだるく感じます。」
「そのようですね。しかし、あの喋り方も治っているようですね。どうやら、あの悪しき物もあなたから離れていったようですね。」
どうやら私の両親はスピリチュアルに傾倒しているきらいがあるように感じる。主や悪しき物というように、霊や神を深く信仰しているように見える。この事や部屋の周りを見る限りここは私が生きていた時代よりも過去である様にみえる。そのような事を考えながら母から情報を聞きだすべく会話を続ける。
「母上、熱のせいか少し記憶が混乱していまして、今は何年なのでしょうか。」
「そうですね、とても高い熱を出していたのですからそういうこともあるでしょう。今は1781年の三月。ここはプロイセン王国の首都ベルリンよ。」
なるほどこの言葉を聞き私は現代から250年前に転生?してしまったようだ。この後、何気ない会話を続けたそこからは特にこれ以上の情報が得られる事は無かった。あとは、医師がやってきて私の診察をして明日には完治していると母に言って帰っていった。そのあと母も用があるということで部屋を出て行った。私はそのあと使用人が運んできた食事を食べ再び眠りについた。これからどうなるのかという不安を胸に抱えながら。
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