運命の悪戯に最後の最強魔法使いとして目覚め俺は、滅びを始めた世界を護る神となる 

いぬぶくろ

プロローグ

 照りつける太陽の下、焼き払われ無残にも焦土と化した大地には人間だったモノと化け物の死体が転がっていた。


 魔法使いと錬金術師の存在をかけた、熾烈を極めた戦争が残したものだ。


 この戦争の勝者である魔法使いたちは勝利に浮かれることはなく、刻一刻と命の火が消え行く少女の周りに集まっていた。


 少女は、魔法使い達の総指揮を取っていた最高位の魔法使いのエリィ・アルムクヴィストと共に、魔法使いの象徴と崇められていた存在だった。


 死に至る怪我も治すことのできる魔法だが、少女は怪我でも病でもなく錬金術師から受けた呪いによってその命を終わらせようとしていた。


 疲弊し、数多くの名だたる魔法使いが死んでいった今では、その呪いを解くことができず、手をこまねいている状態だった。


 そんな中でエリィ・アルムクヴィストの提案により、これから増え続けるだろう未来の魔法使いに呪いを解いてもらうこととなった。


 これ以上、呪いが進行しないように保持の魔法をかけるのは、発案者のエリィ・アルムクヴィスト。自らの存在を魔力へと変換して少女に保持の魔法をかけた。


 数年後か数十年後か。


魔法が、さらなる魔法へと昇華した世界で選び抜かれた魔法使いによって、この少女の呪いを解いてもらう。


少女が戦争のない世界で笑って暮らしていけるように。

 そう。戦争もいがみ合いもない世界で、魔法使いの象徴と呼ばれない、ただの少女として生きていけるように。



 エリィ・アルムクヴィストの魔法は成功し、保持がかけられた少女は魔法協会の地下室へと保管された。

 

 この戦争の話は、今日の魔法歴史書には載っていない。



 現在、魔法使いは存在しないものとされ、魔法使いは絶滅したとされている。

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