妙字

@kouyakiden

鎌倉


視線がぶつかる。翡翠の目が私を捕える。

 

 薄い金の髪、白く美しい肌。憂も感じさせる瞳を縁取る長い睫毛。中にはめ込まれた瞳を私はそっと、指でなぞる。

 名前は、なんだったか。確か色の名前をつけたはずであった。

 思い出せないまま、彼女を座らせた。水色のドレスのレースが擦れ、音をたてる。

 私は、髪を撫で、ほおを撫で、もう一度彼女と見つめ合った。

 

 不意に私が変わってしまった。彼女は今、押し入れの奥の箱の中にいる。

 

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