第93話 アメリカで発表してたら、クソ野郎に喧嘩を売られた


「っというのが、味覚共有システムになります」


『『『『『「「「「「!!! うおおおお!!!」」」」』』』』』


「すごい! すごい! アメージング!!」


「その発想はなかった!!」


「素晴らしい!!」


「アンビリィバボー!!」


「すっげえええ!!!」


 はい、アメリカまで飛行機で10時間。


 羽田のビジネス・クラス・ラウンジで、旨い飯を食い、酒を飲み。


 ファーストクラスで、飯食って、映画見て、ワイン飲んで、爆睡して。


 やっとこ着いたハリウッドの空港から、MITに高級車で移動。

 

 そうして到着した、学会で! 味覚共有システムの内容を、発表した所! 


 すごい歓声をもらった!!


 イエーーー!!!


 んで!


「では、とりまーす!」


「「「「「『『『『『チーズ! イエイ!!』』』』』」」」」」


 学会の方々と、写真撮影し!


「お初にお目にかかります! わたくし、アメリカのゲーム会社! ピザ&コーラと申します! 是非! 味覚共有システムをゲームに使う契約を!」


「初めまして! ミスター坂本! 私、欧州で配信業をしております! ホーリー・ウィッチです! 欧州ではナンバーワンの実績のある本社と、是非! 味覚共有システムの契約を!」


「なんやてVRですわ~! VR業界では、ぼちぼち稼いでもろてます! んで、坂本はん! 是非打ちと契約して、システム使わせてくれまへんか!? 金ならいくらでもだしまっせ! おおきに!!」


「ミート&フードの、ジョージ三世だ! 是非、契約したい!! これで、テレビでも、VRでも、味の情報を流しまくり!! 一緒に荒稼ぎしよう!!! イエーーー!!!」


「もうかりスポーツやで~! スポーツ飲料やスポーツ食品の宣伝で、掴ませてください! 頼んます~!!」


 昼食に、チキンと、スパゲッティ! 


 豊富なパンに、丸ごとのロブスター! でっかい肉のステーキや、シチュー! 山盛りのポテトを食べながら! 


 世界中から集まった、様々な企業!


 世界初の味覚共有システムを、是非採用したいという! 数百を超える企業と契約し! 


 多額の金を得たのであった!!!


 フーーー!!! 


 ああ、料理は美味かった! 話し合いは、疲れた!!!


 でも、数時間で、数百億円入ってきたのはでかい!!


 実入りの良い話だったよ!! ええ!!


 これで、ますますゲームに投資できるぜぇ!! へへ!!


 と、やっと終わった話し合い・交渉・写真撮影にサイン会。学生への握手や、インタビューを終えて。


 MITの中にあるカフェで、休憩していると!!


「坂本さんですね。契約の御話をしたいんですが、今いいですか?」


「あん……え」


 そう、声を掛けられたのだ。


 学会や各業界が定めた、交渉時間を無視し。


 休んでいる俺に、アポなしで話を持ってくる。


 どんな失礼な奴だ? っと思って見たら、うん。納得した。


 そりゃあ、無礼な真似するわな。


 俺のシステムを盗み! 前の社長を売って、新しい社長となった男! 


 八幡信二やはたしんじさんよォォお!!!


「初めまして。私、日本のゲーム会社『ゼニゲバ』の社長をしています。八幡信二です。どうぞお見知りおきを」


 始めましてじゃないんだが、まあいいか。


 てか、こいつ。お座りください言われる前に座って、距離詰めてきたぞ。


 詐欺師の動きだね。間違いない(確信)!


「……そうですか。坂本です。しかし、すいません。契約交渉の時間は過ぎてますので、今日はお引き取りください」


「うちは僕の才能で持っている会社でしてね。大ヒットゲームがかなりあるんです! なので契約すれば、大儲け間違いなしですよ」


 話きけやーい。


 ルールを守れ。ルールを。


 教えはどうなってんだ。マジで


「あのですね。今日の交渉は、終わりなので。また明日にでも」


「 特 に !!(めっちゃ大声)有名なのが、盗作シリーズですね!! 

主人公がいろんな作品を盗作して、成り上がっていくのが爽快で! リアリティがありすぎる! 素晴らしいと、褒められまくってるんですよ!! ははは!!!」


 そうだろうな。お前も盗作してるからな。


 そりゃあ、出来がいいだろうよ。ええ。


「へぇそうなんですか。聞いたことないなァ」


「!!! っま、まァ、そうですね。売り上げは、過去の作品……特に、ゼニゲバ黄金期と言われた、『技師・シャルルの冒険』や、『ワン・ナイト・クリスマス・カーニバル』。『偽侍シリーズ』。

『ギャング・オブ・アメリカ・ロースクール』。『賢者イワンはどうして裏切ったのか』。『スペース・コロシアム・ファイトレデイ』。『殺しの掟・古老の教え』などの大人気・シリーズには、少し! ほんの少し届いてなくて、隠れてますが! 

それでも、名作中の名作です! 今世紀最高の傑作ですよ! ええ!!」


 へー、そう(興味なし)。


 少しって言ってるけど、ホントは滅茶苦茶売れてないんだろうなァ。


 ってか、全く引く気ねぇな。こいつ。


 さすがに、殺したくなってきたぞ。


 ……しゃーない。


 本当は、ちょっと泳がせた後に、嘲笑う気だったが。


 少し予定を、早めるか。うん。


「それで、是非! うちと契約して欲しいと! ここに一筆書いてもらえれば、それでいいんで! ちゃっちゃっと書いといて! ね!」


「嫌です」


「……え?」


 嫌だつってんだよ。


 帰れよ(笑)。


「……なぜ?」


「なぜって、そりゃあそうでしょ(嘲笑)。

人のゲームを盗んだ上。発売も碌にできない会社と、契約ではねぇ(呆れ)」


「!!!」


 おや、聞いてるだけでむかつく声が黙ったぞ。


 どうかしたのかな?(すっとぼけ)


「……何の話ですかな? 盗作など、していませんが」


「技師・シャルルの冒険。ワン・ナイト・クリスマス・カーニバル。偽侍シリーズ。ギャング・オブ・アメリカ・ロースクールの、銃撃システム。近接システム。格闘技システム。暗殺システム」


「賢者イワンはどうして裏切ったのか。スペース・コロシアム・ファイトレデイにおける、宇宙区間・惑星バトルシステム」


「殺しの掟・古老の教えの、農業・漁業・工業システム。クラフトシステム。戦闘システム。暗殺システム。スパイ・システム。忍者システム」


「!!!」


 まだ言ってやろうか?


 あとゲームは23本。システム45個。


 企画22本、盗まれてんだ。


 それを当時の社長に言っても、信じてもらえなくてねぇ。


 結局クビで、正当防衛。首ちょんぱさ。


 ……誰が会社を支えてるかか。


 少なくとも、お前と社長じゃないってのは確かじゃね?


「……なぜ、それを……社内でも、トップシークレットのハズ! どうして、お前が知って」


「そりゃあ、開発したの俺だし」


「!!!」


 こいつ、驚くときワンパターンすぎるだろ。


 目ぇ見開いて、!!! しかねーじゃん。


 コントかな?


「!!! お前だったのか。味覚共有システムの、開発者は!!」


「おや、気付いてなかったのか? 俺からデータをとるために、屈強な男3人雇って襲わせてきた位だからさ。きちんと覚えてるかと思ったよ」


「!!!」


 まァ、その男らは正当防衛で、金玉潰して目を抉ったがね。


「……」


「ま、そういうことだからさ。お前のかかわる会社には、絶対に使わせないから。はよ帰れ」


「!! 後悔するz」


「お前がな」


 ――ガシ!! ギチチチ!!!


「!? ぐえ!」


 どうした。さっきみたいに笑えよ。


 ただ、喉を握られただけだぞ。


 笑え。ほら(にっこり)


「……ああ、早くいかないからこうなる。俺はお前のことを忘れてない。

目をつぶるたび、眠るたび。ふとした時に、殺したくなる。

盗人の手を切り落とし、その口に入れて窒息させたくなる」


 話してる時も、ずっとそうだ。


 テーブルを蹴りあげ、顎をつぶしたい。


 頭を押さえて、テーブルをたたき割りたい。


 その目を抉り、踏みつぶしたい。


 なにより、その手を切って、焼き尽くしたい。


 そんな怒りでいっぱいだ。


 気を抜けば、溢れてしまうよ。


 この激しい憤怒が!!!


「!!!」

 

 でも、安心しろ。すぐには殺さない。


 お前を殺して、俺が捕まり、ゲーム開発が進まなくなったら。楽しんでくれているユーザー。お客様たちを裏切ってしまう。


 ゲーム開発に関わる者として、それだけはしちゃダメだ。


 だから、俺は今。お前の喉をつぶして無い。


 喉仏に親指を突き入れてないし。


 頸動脈を締めてない。


 忘れるな。ゲームのために、お前は生かされてる。


 多くのユーザーが、お客様が、お前を救ってるんだ。


「だから早くいけ。脊髄引きちぎるぞ」


「!!! く、くそ!!!」


 手を緩めたら、八幡信二は、速攻で逃げ去っていった。


 ふー。少しスカッとした。


 できれば、首を引きちぎりたかったが、まァ、言葉にするだけでいいか。うん。


 なんせ、潰すのはここからだからな。ええ。


 あいつのことだ。俺がシステムの使用許可を出しても、出さなくても。絶対に、俺らのゲーム……ファンタジア・エルドーンをつぶしに来るだろう。


 あれはそういう男だ。


 他人の作品を盗み、蹴落とし、知人の首を差し出しても。自分が一番にならないと気が済まない奴だからな。


 故に、こっちもやり返すぞ。


 お客様が楽しめる! ファンタジア・エルドーンを守るために!!


 あいつを、今度こそ! 殺すために!!!


 俺は、行動を開始した!!


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