第92話 坂本翔平は、バルセムの処遇を決めて、アメリカへ行く。
「いい盛り上がりだな! PKもプレイヤーも、めっちゃ盛り上がってるぜ! ええ!」
ああ、あの祝勝会も、海軍での残念会も、良い感じだったな!!
あの放送の後、ウオッチングしてたが、PKはかなり活動的で、遊んでるし!
プレイヤーの方も同じく! 大海原での冒険を、楽しんでくれているようだ!!
……実は、プレイヤーの方は心配だったんだよな。
バルセムのバグから、あの終わり方だったしねぇ。ええ。
ショックを受けていないか、それが気がかりだった。
でも、残念会を幽霊のバルセムで開いて、船や島をそのまま使えることや、クエスト追加!
必殺技・習得クエストを実装し! 課金要素も増量で、バルセムのサイボーグ化、マグマ化もあるぞ!! ってことを話すと、大盛り上がり!!!
同じように、謎の鍵でも盛り上がってな!!
新シーズン楽しみにしてて、めっちゃ遊んでるぜ!! ええ!!!
この結果から見ると、今回の決戦イベントは、成功だったと言える!!
うん! バルセム・バグで、一時はマジで焦ったけど!
終わってみれば、あれはあれでよかったという雰囲気や意見が出てて、助かった!
データとしても、イベントと、祝勝会&残念会した後に! ユーザーが、爆増!!!
5万人から、7万人になったからな!
文句なしに、大成功!!!
やったぜぇぇえ!!! フーーー!!!
っと、イベント成功に、盛り上がっていると!!
――ピピピ! 電話です!
幸太郎から、電話だ!!
「すごく盛り上がったな! イベント大成功だよ!!」
「ああ、そうだな。本当に上手くいって良かった。バルセムのAIはどうだった?」
「今はいい感じだね。とりあえず、このまま幽霊でプレイさせて、何かまた不具合があれば、考えるよ」
「おや、デリートとは言わないんだな」
「できればしたくないね。デリートってAIを殺すじゃないか。それは嫌なんだ」
……ああ、そういえばこいつ『AIにも命がある派』だったな。
ゲームなどの敵役などで殺されても、またリポップするから死んでない。
しかし、デリートすればこの世から消える。これはAIの死だ。みたいな。
はっきり言って、俺にはわからん感覚だけどね。
AIが生きてる云々じゃなくて、こいつを買うのに数百万掛かってるんだから、元を取れるなら使う。
使用してたらユーザーに損を発生させるなら、デリートでいいと思うけど。
なお、こういった費用と利益・損益で、AIの使用・続行・消去を決めるのを『経済判断派』と言われ。
AIにも命はある派からは、『冷血漢』と言われることが多い。
それに対し、経済判断派は『頭お花畑』と返すのが常套句だ。
まァ、今時どんなハイテクにも、AIを使うからな。
それこそ、医療技術・金融・移動なんかの、人の命や未来に関係するのも結構ある。
その状況で、AIのミスにより。人が危険にさらされるなら、そりゃあ消すだろ。
そういうもんだ。うん。
「まァ、俺としては特に問題がなければそれでいいよ。人命に影響ないならな」
「ああ、ありがとう。監視しながら、使用していくよ。
とりあえず、攻撃思想が強いみたいだから、攻撃系のクエストを増やして、活躍の場を与えよう」
そうか。まァ任せる。
ゲームなら、そう危険なことにはならんだろしな。
大丈夫だろう。ええ。
「っで、報酬の話だよ! 報酬! 今回は、ユーザー5万人規模で、課金も大幅UP!!
それに、ユーザーたちのプレイ動画投稿の、再生回数や広告料! その数割からくるボーナスなども入れてぇ! なんとぉ!!」
「1億でぇぇえす!! イエーーー!!!」
1億!? そりゃあすげぇな!!!
「ああ、これも翔平のゲームのお陰だよ! 着実に盛り上がって、ユーザーも増えてる!! こっちにも利益が入ってるし、ホント有難う!!! 君を誘ってよかった!!!」
そうか。まァ、利益が出たならよかったな。
しかし、1億か……なんに使うかなァ。
ゴールド・ラッシュ・ホテルからも、今月の売り上げの一部ってことで、数億円来てるし。
どうしよう。
「貯金。いや、何か買うかなァ」
「そうだね! ドーンと使っちゃいなよ! ドーンとって、ああ! 思い出した!!」
「今回のイベントで、ファンタジア・エルドーンも区切りついたからさ! 学会へ行くよ!!」
「アメリカのMITで開かれる! VR学会に行くんだ! 翔平もパスポート用意しといて!!」
え、あー! そういやそんな話あったな!
結局、アメリカか。
「まァ、VR研究学会もあるし。それに、アメリカで発表した方が箔が付くしね」
まァ、そうだな。
やっぱアメリカで発表されてこそっていう、風潮あるよな。日本。
現場はともかく、世間がなァ。
「っま、そういうことで! アメリカへ行くからよろしく!
おそらく、簡単な原理の説明や、味覚共有システムを採用したいって言う、ゲーム業界、配信業界、VR業界。
あと、情報系業界とかとの契約なども行われるだろうから、スーツ着て来いよ!!!」
あいよー。
お前も、契約には立ち会ってもらうから、翻訳イヤホン忘れるなよ。
あと、自前でサインペン(VR対応)も持っとけ。
学会なら、VRで参加もOKだろうからな。対応サインペンを用意しとくのは、こっちのマナーだ。
「……あ、そうだ! VR対応・サインペン! 用意しとかないと!!」
おいおい、忘れてたんかい。
「いや、そうだよな。VRハンコが通用するの、日本だけってこと忘れてたわ! ちょっとサインペン買って来る! じゃあな!!」
応、じゃあな!
っという風に。
俺達は、アメリカへ行くことになったのであった!!!
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