第47話 悪役令嬢、ラミィ! レアイベント『ジョニー・ロジャーに誘われて』!!


 !!! す、すごい!!!


 後ろには、白い砂浜に、青い空! 透き通るハワイアン・ブルーの海!!!


 前には、黄金の小麦が実る畑が! ダイナミックに広がり!

 

 奥には、大きな中世の待ち!

 

 さらに奥には、でっかい城! シンデレラ城みたいな、真っ白で大きな城が見える! はあああ!!!


 こ、これが! ダーリンと義兄・ジョリーさんの故郷!!!


 凄い所に来ましたわ!!! っはああああ!!!


 ど、どうしましょう! どうしましょう!


 わたくし、勢いで来てしましたが、い、いったいどうすれば!?


 これでも、3年目の個人配信者ですが! ちょっと事態が飲み込めませんことよ!?


 あわわわ(ガチテンパリ)


 ――コメント


・お嬢! 落ち着いて!


・深呼吸! 深呼吸!


・っひっひっふー! ひっひっふー!


・それは、ラマーズ法やろがーい!!


・ふざけてる場合か!!!


・同接2万人超えてんねんぞ!! ここで失敗は許されん!


・すってーはいてー! すってーはいてー


・落ち着こうねぇぇえ~


 スーハー。スーハー。


 ありがとうございます。落ち着きました。ええ。


 今、私はめちゃくちゃ貴重な機会に出会っているんです。


 そう。配信開始して、3年目。


 つい2週間前まで、3000人の登録者で、これ以上の伸びは厳しいかもしれないと思っていた時。


 私は、ファンタジア・エルドーンで、ボスと。ダーリンと合いました。


 実をいうと、ファンタジア・エルドーンは半年前からしてたんですが、チュートリアル以上の事が出来なかったので、ほとんどしてなかったんですわよね。


 でも、何か動きがあると掲示板でささやかれて、話題に乗るためにログインしました。


 それが、運命の出会いだったのです。


 キャプテン・ビリー様との出会い。そして、一目ぼれした私が行った、デート配信!


 毎回、アクション・ムービーのようなアクションをしつつ、濃厚な甘いデートもして、再生回数・登録者・メンバー。ともに、うなぎ上り!


 最初は、ガチ恋勢が離れたり、反転アンチになって炎上する危険性を心配しましたが。


 そもそも、私に対するガチ恋勢がいなかったという悲しいのかどうなのか、よくわからない事実で、炎上は0!!


 ボスとデートしても、全く問題なく! 一気に配信者として駆け上がり! 


 ボスのガチ恋勢として、愛し愛された、最高の経験が出来ましたわ!!! うへへ~~~♡♡♡


 ……そのおかげで、ボスが死んだときはマジで悲しかったですが。


 でも、そのボスも幽霊となって私と結婚。


 永遠の愛を誓い、その動画もかなり回って、スパチャもすごいことになっております。感謝!!!


 登録者もついに3万人を超えていて、この数週間前の、登録者3000人で配信者をやめるかどうか悩んでいた私が現実だったか、分からない日々もありますが。


 お金の余裕も出来て、ゲームも楽しめて、最高な日々を送らせていただいております。


 そして。


「ここが、俺らの故郷。ロジャー島だ。いい所だろ?」


「は、はい! 綺麗ですね! おほほ///」


 そんなボスのお兄様。キャプテン・ジョリー・ロジャー様に、二人の故郷であるロジャー島に招待されてきたのですが。


 私、どうしたらよいのでしょう(震え声)。


 緊張で、心臓バクバクですわ!!!


 ――コメント


・これは緊張するのも分かる。


・海綺麗!!! 畑すっげえええ!!! 


・黄金の畑だァァあ!!! ブルー・ハワイの海だァァあ!!!


・やっべえええ!!!


・《3000円》これだけで、美しい


・《2000円》放送見た価値あったわ! っはあああ!!!


・こんな美しい場所、あるんやね!


・街でけぇぇえ!!! 


・始まりの街より、デカくね? 


・すっげ!


・城! めっちゃデカい! 


・わかる! デカいよな! あれ!


・すっげえええ!!!


・え、ここの出身? あの城が家ってこと? 


・え、ボスって貴族だったんか? 


・めっちゃ気になるぅ!!!


・フーーー!!!


 あの、私に対するアドバイスをしてくださいません? 


 めっちゃドキドキが止まらないんですけれども???


 ――コメント


・天気の話は?


・いいね! 晴天デッキ!


・それ、最初に合ったときにするべきでは?


・あれだけ晴天の下、青い海の上を船で一緒に過ごしてて。天気の話は今更じゃ


・しー


・それを言っちゃあ、おしまいじゃ


・草


・じゃあ、死生観デッキ!


・何歳まで逝きたい?


・いつ死ぬ?


・両方同じで草


・草


・おい、お嬢の夫であり、ジョリーの弟であるボスは死んでるんやぞ。そこでそれは、不謹慎すぎねぇか?


・それはそう


・ほんそれ


・流石にないな


・うん


・せやな


・というかさ、お嬢が招待された側なんだから、向こうが話を振ってくれる定期


・それはそう


・せやな


・キャプテン・ジョリー・ロジャーも、話があるんだろうし。任せてええやろ


・お嬢よりコミュ力ありそうだしねぇ


・草


・草


・いきなり刺すな


・事実陳列罪


・草


・ファーーーWWW


 それはそうですわね。


 では、話が来るまで待ちで。


「じゃ、こっからは馬車に乗ろう――パチン!」


「ヒヒーン!」


「!? え、馬車が出た!?」


「そういう魔法だ! さ、中へどうぞ」


「あ、はい! ありがとうございますわ。おお、クッション・フカフカ!」


 ――コメント


・魔法! 馬車だ! でけぇぇえ!!!


・うおおお!!! 


・めっちゃデカくて、奇麗な馬だなァ!!


・馬車も、シックで美しい!


・貴族って感じするわァ!! っはあああ!!!


・中もクッションフカフカ! 良し!!


・窓から見える景色もいいなァ~!! っはあああ!!!


・《5000円》感動代


・《500円》素晴らしい!


・《10000円》馬車乗れてえらい!!


・はやいってWWW


・馬車乗っただけで感動WWW えらいWWW


・馬鹿にしてんのかWWW


・草


・草ァァあWWW


 あ、馬車がスタートしましたわ!


 黄金の畑の方に向かってますわねぇ!


「とっても美しい! 黄金の波ですわ~!! っはあああ~~~♡♡♡」


「そうだろう! ここは昔から美しいんだこの黄金小麦もうまいぞ。パンやビールにすると最高だ」


「まあ、そうなんですの!?」


「ああ、城の大食堂に用意してるから、楽しみにしててくれ。今夜は、盛大な宴会をしよう!」


 !! 盛大な宴会!?


 わ、嬉しい!!!


 これって、家族として迎え入れてくれるってことで、良いですわよね?


 ――コメント

・まァ、そうやろな


・結構ストレートに物をいう人だし、そうだろ


・死んだ弟の嫁を、家族として迎え入れる。めっちゃいい人だなァ


・え、現実でもそうじゃないの?


・う(頭痛)


・う(姑嫁問題)


・がは(相手の家族との価値観・文化・考え方の問題)


・ぐえ(相手の親が毒親だった)


・……あー。うん


・世の中にはな、知らん方がええこともあるんや


・せやな


・まァ、まともな家族も多いだろうけど、有害な親とか親戚とか、結構いるよね


・それな


・そう考えると、ジョリー義兄さんは、大当たり


・今のところはな


・いや、船での言動みたろ。いい奴やん


・二人っきりになったら分からんぞ


・馬車に義兄と二人きり! 何も起きないはずがなく!


・展開される、ドロドロの展開!


・キタコレ!!!


・来てねぇわ。座ってろ


・お前らさァ


・それは、ジョリー・ロジャーに失礼


・乙女系コミック読みすぎで草WWW


・草


・だいたい、ジョリー・ロジャーには、リヴァちゃんとクーランちゃんがいるから


・それな。


・めっちゃ美人で可愛い! 


・うらやましすぎる!!


・美人悪魔娘、二人もつれやがって! 爆発しろ!!!


・タダの嫉妬で草


・草


・草ァァあWWW


 そうですわね! 家族として迎え入れてくれるの、とても嬉しいですわ!


 あと、私はボス。キャプテン・ビリー様、一筋です。


 義兄のジョリーさんも素晴らしい人と思いますが、私に手を出してくるのは解釈違いです。


 なので、妄想でもおやめになってね?(マジトーン)


 ――コメント


・WWW 解釈違いWWW


・草


・すでに厄介オタクのそれなんよWWW


・おもしれぇ女


・やべぇ女だろ


・草


・草ァWWW


・否定できねぇ


・これはひどいWWW


・WWWWW


 まったく、こんなにも美しく心躍るファンタジア・エルドーンで、ドロドロの三角関数なんかいりませんわ!(ぷんすか)


 そう思いながらいい風を受け、馬車は進んでいく。


 黄金の小麦畑を超えて、街へ。


 始まりの街よりもデカいそこに入ると。


「あ、ジョリー様! お帰りなさい!」


「おお、ジョリー様! お帰りなさいませ!」


「ジョリー様! いい商品入ってるよ! あとで見てよ!」


「ジョリー様! 作った銛の調子はどうだい? 壊したら来な! すぐ直すからよ!」


「ヨーホー! キャプテン! 島は安全だぜ! また海に出ようや! へへ!!」


 っと、多くの子供、老人、店員、職人、海賊に挨拶をされる。ジョリーさん


 ジョリーさんが慕われているのが分かりましたわ。


「ひょっとしなくても、マジ貴族では???」


 ――コメント


・ありえるね。マジで


・めっちゃ慕われてるしな


・この感じだと、地元の名士ってかんじもするけど


・でも、地元住民に平然と海賊混ざってるってことは、全員海賊なんじゃない?


・じゃあ、この島は丸々海賊の島ってこと?


・それはそれで凄いWWW


・ファーーーWWW


 ああ、この島全部が海賊ってこともあるのか。


 でも、それはそれで凄い。


 皆が認めるキャプテン・ジョリー・ロジャーってことだしね。


 信頼されてるなァ~。


 っと、彼の人望に感心していると!!!


「おう! 皆! またなァ! あ、そうそう! この人! ラミィ! 俺の弟、ビリーの嫁さんだ! 覚えといてくれ!!!」


「「「「「『『『『『?!?! えええ!!! ビリーの嫁ぇぇえ!!!』』』』』」」」」」


「ははは! ビリー坊やが結婚かァ! 年月が過ぎるのは早いなァ!!」


「あとでプレゼンと持っていくよ! ケーキ焼いていく!」


「俺は酒だ! 秘蔵のラム酒を持っていくよ!」


「ちょっと狩りしてくる! デカい肉を焼こうぜ! お祝いだ!!」


「おめでとうさん! ラミィさん!」


「何かあったら言ってね! 私たちが力になるわ!」


「ビリーの嫁なら、俺ら海賊も家族だ! いつでも力になるぜ!!」


『『『『『「「「「「おめでとう! イエーーー!!!」」」」」』』』』』


「え、あ、はい! ありがとうございます! はわわわ!!!」


 なんか、すっごく祝われました!


 わー! プレゼントいっぱい! え、レアアイテムもある!? ありがとうございます! わあああ!!!


 ――コメント


・プレゼントすっげえええ!!! 


・わ、レアアイテム!? なんかすごい酒あるぞ! 


・あ、武器もある! めっちゃ評価高いぞ! 


・ケーキも回復量多いスペシャル・アイテムだ! 


・他にもいろいろあるぞ! 


・結婚のあいさつで、これだけもらえるってマジ!? 


・すっげえええ!!!


 そうやって、多くのプレゼントをもらい、祝福されながら! お城へ到着!


 そのまま馬車を降りて、中に入ると!!


『よう! 兄貴! 久しぶりだな!』


「ああ、ビリー。結婚おめでとう。できれば生身で会いたかったがな!」


「『HAHAHAHAHA!!!』」

 

 我が夫! キャプテン・ビリーの幽霊も出て、ジョリー・ロジャーさんと、拳をぶつけ!

 

「ラミィさん。こいつは、後先考えない馬鹿だが、まっすぐだ。色々大変だと思うが、付き合ってやってくれ」


「は、はい!」


『兄貴にいわれなくても、俺はラミィを愛してるからな! 迷惑はあんまかけねぇよ!』


「そう言いながら、迷惑をかけるのがビリー坊やだ。むかついたら殴っていい。兄貴である俺が認める。二人で本音ぶつけ合って、幸せに生きてくれや」


「あ、ありがとうございます///」


『おう!! 幸せになってやるぜ! へへへ!!!』


 そう、私たちを祝い!


 更に!


「ははは! じゃあ、その幸せになれるよう願いを込めて! 俺からもプレゼントだ!」


「このロジャー島! ビーチ、畑、街、城! 俺や祖先たちが集めた宝を、自由に使って結構!!! 楽しく自由に生きてくれや!!!」


「!? ええ!?」


 なんと、結婚祝いとして! この島、畑、街、城にも出入り自由! 


 お宝も、好きなように持ち出していいと、言ってくれたのです!!


 ええええええ!?!?


 ――コメント


・すっげえええ!!! 城でけぇぇえ!!!


・いい城だ!


・《10000円》見物料


・やっべええええ!!!


・《10000円》うわ! 幽霊のキャプテン・ビリーと、キャプテン・ジョリー・ロジャーが拳を合わせるだけで、もうだめだ(泣き)


・(´;ω;`)ブワッ


・《5000円》うう! うう!!!


・《3000円》やっぱくるわァ


・《10000円》急に刺すのやめろ(泣き)


・《5000円》うわあああ


・って、え!? この島すべてを自由に使っていいって!?


・《3000円》太っ腹すぎィィい!!! 


・ふァァァあああ!!!


・《5000円》ヤバすぎィィい!!! 


・ヒューーー!!!


・すっげぇな!! 


・《5000円》これはいい人! 


・《10000円》凄い漢だ!!!


・うおおおお!!!


「では飲もう! 妹よ! 弟よ! 今夜は家族で宴だ!! 大食堂へ行こう!」


 は、はい! わ、すごく広い食堂! それに、お料理! 豪華! 凄い!!!


『美味そうな料理だなァ!』


「おう! 結婚祝い! 家族の歓迎だからな! では、ワインを持って!」


「は、はい!」


『おう!』


「我らの新しい家族と、未来を祝して!」


「「『カンパーイ!!! イエーーー!!!』」」


 盛大に、盛り上がったのです!! HHHHOOOO!!!


 ――コメント


・《5000円》おめでとう!


・《10000円》おめでとう!


・《3000円》おめでとう!


・《10000円》おめでとう!



 皆も有難う! 幸せですわァァあ~~~♡♡♡!!! えへへ~~~♡♡♡!!!


 っと、盛り上がりつつ!!!


 この後、めちゃくちゃお祝いし、お酒のみ! 料理を堪能しました!!


 ウイーーー!!!


 尚、この配信は、綺麗な島の風景に、祝ってくれる住民や、キャプテン・ビリーとキャプテン・ジョリー・ロジャーの再開と、宴! 


 酔ったうえでの、二人のバトルや、城の中の豪華さ! 料理のすばらしさ!! 


 これカリブ諸国の最高級ホテルと同じ作りで、同じ料理じゃね? 城に泊まった次の日に、キャプテン・ジョリー・ロジャーがくれたプレゼント! 宝の地図だったああああ!!! 


 っという様々な見どころがあり! 視聴回数、爆上げ!!!

 

 そのおかげで、アーカイブも回り! 『悪役令嬢・家族入り』『ロジャー島の全財産を、自由に使えるって、マ!?』『シンデレラ・ラミィ』『大家族のファミリーになった女』っと切り抜きもされ、そのおかげで、また動画も回りまくって、見られまくる!!!


 その結果、同接3万人、再生回数200万オーバー。


 登録者は、爆速で4万を駆け上がり、5万人に突入! メンバーも爆増!!!


 おめでとうのスパチャだけで300万稼いだ、とんでもない動画となるのを。


 宴会している私は、まだ知らないのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る