第16話

実習を終え、家で冬香にお土産のたい焼きを渡したが何も言われなかった

特に期待をしていた訳では無いから何とも思わないが


―ズキッ―


ん?なぜ心が痛むんだ?まさか、これまでの生活を経てもなお親に期待しているとでもいうのだろうか?

俺はもうに家族の縁を感じなくなったはずなのに



それからどうして傷ついたのかも分からないまま一晩を過ごした


次の日、投稿すると


「あ、大ちゃんおはよー!昨日貰ったたい焼きおいしかった!」


「おはよう姫川、おいしかったのなら良かった」


昨日、実習が終わってから関と一緒に学校に報告に戻ると姫川も丁度実習が終わったらしく職員室の前にいた

丁度俺が持っていたたい焼きが多かったので図書室で話していた通りお土産をあげたのだ


「あれ大ちゃんが作ったの?」


「そうやで、まぁ店の人に見てもらいながらやけど」


「本当においしかったー!マジでありがとう!」


「どういたしまして。そんなに喜んでくれるとあげた甲斐があるわ」


本当に、自分が作ったものをおいしいと言ってくれるのは嬉しい物だと気づかされる


「そういえば、姫川はどうやった?幼稚園」


確か姫川は幼稚園に行っていたはずだ


「楽しかったよー!ちっちゃい子達といっぱい遊んだ!」


「それは良かったやん」


姫川も実習は楽しめたようだった


「いいな~皆楽しめて」


「恭輔おはよう。どうしたん?」


姫川と話していると疲れた様子で恭輔が登校してきた


「いや、俺が言ってたのって工務店なんやけど。そこの人が色々雑用任せてくるから、昨日一日ずっと物を運んでたんよ」


「あぁ~それはご愁傷様。けど、ちゃんと現場を体験できたんじゃないか?」


「まぁ、それはそうだけどよ~」


やはり人によって実習の受け取り方は違うようで、楽しいと思える人と想像していたものと違った人で体験の感想が大きく変わっている


「そういえば、もうすぐ文化祭だけど今年も2年生は職業体験の劇なんかな?」


「多分そうじゃない?俺の兄貴の時も職業体験の劇だったらしいし」


「へ~じゃあそうなるんかぁ」


姫川が疑問を持ったがあっさりと解決してしまった

やはり、1年生の時から聞いていた通り2年生が職業体験の劇をすることは決まりらしい

去年の2年生の劇を見ていたが、内容に関しては4つほどの職業体験先を劇として再現し、その実習を通して何を学べたかということを発表する形らしい

しかも、2年生の劇は全員が一役演じ、舞台の上に立たなくてはいけないというルールまである。ちなみに、3年生の劇では全員が演じる必要は無く、完全に裏方と分かれているらしい


個人的には劇をやるのは面倒で嫌で仕方がないが、どうしてもやらなければいけないという事実に嫌気がさしながらも普段通りの日常を今日も過ごしていく

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