第7話 大成功?文化祭
あれから全員の文化祭資料が完成し、それらをまとめた俺たちの班の発表新聞が出来上がった
「やったー!完成だー!」
姫川が喜びながら叫んでいた
俺としてもこれから作業をしなくてもいいと考えると楽な気持になるので、全面的にこの感想を支持したいところだ
「これから、文化祭まで3日くらい暇になるけどどうする?」
「他の班の出し物見てみたいかも」
片山が今後の予定を聞いてくると、小谷が答える
他の班は、模型を作ったり楽しそうなことをしているので、やはり見てみたいという所だろうか
「もし、終わってなかったら手伝おっかな?色々作るの楽しそう!」
どうやら只々作る事をやりたいだけだったらしい
それから、俺たちの班は他の班を見回りつつ手伝えるところは手伝い、遊べるところは一緒に遊びながら文化祭まで楽しんだ
文化祭当日になると、午前中は文化部や俺達一年生が作った展示を見る時間として設けられており、一年生はそれぞれが担当した部分の説明を見に来てくれた人にするという仕事があったが、それも形だけで、ほとんどが自分の親や、友達、先輩との交流に時間を費やしていた
俺もそのほとんどであり、自分の母親と会話をしながら午前を過ごしていた
勿論自分の製作した新聞も見せたが、特にこれといった誉め言葉は無かった
午後になると、先輩たちの劇を体育館で鑑賞する時間となり、全校生徒とその保護者達が体育館に集合する
俺達の田無中学校は全校生徒が300人も満たないので、全校生徒と保護者が体育館に集まっても余裕がある
2年生の劇は例年通り職業体験に関する劇らしく、それぞれが赴いた職業体験場所の中からいくつか選ばれ劇として表現しているそうだった。その中に、俺達の社会の先生をいじるような芸がしこまれており、俺達生徒達には好評だったが、保護者達は何の話か分からなかったそうだ
3年生の劇も例年と同じく沖縄での戦争を題材とした劇だった。俺たちの学校の平和学習では沖縄での地上戦について学ぶらしく、その中身も凝られたものになっており、それまでの楽しい雰囲気とは違った少し空気が重たくなるのを感じた。3年生の修学旅行も沖縄なのでもしかすると、地元の人達の体験談をもとに作られたものなのかもしれない
2,3年生の劇が終わると特別ゲストによるイベントがあった
今年は外部から落語家を招待して、実際に落語を見れるということらしい
落語というのは聴きに行く機会などあるはずも無かったので、今となってはとてもいい機会になったと思う
身体全体と持っている道具で観客に情景を魅せるその技は衝撃を受け、落語の後にその技法の説明を聞いた時には「なるほど」と思う事が多かったので、意外と自分達にも使える技術も多いと感じた
これらのイベントを終え、生徒達が先生から解散の指示を受けた後、冬香と合流し、一緒に帰宅する
「今日の文化祭あんたちゃんと楽しんだんか?」
「楽しかったよ!色んな人と話せたし、落語とかも面白かった!」
「あんたの顔見ても本当に楽しんでる風に見えへんから嫌いやわ」
「・・・」
冬香と会話をしていると、よくこの話をされる
初めてこの話をされたのは、小学生の時に京都の金閣寺の前で家族写真を撮っていた時だったと思う
「あんたの写真撮っても、作り笑いしかしないから楽しくない」
そんなことをいきなり言われた俺は、それ以降写真に写るのが苦手になり、自分が本当に楽しんでいるのか、自分の感情の事なのに理解することが出来なくなった
それからかなりの年月が経ったと思うが、まだ俺は楽しいという感情を表に出すことが苦手らしい
今日一日楽しかったという感情が、途端に薄れ、その感情が果たして本物の感情なのか、それすらも分からない迷子の状態になって文化祭は幕を落とした
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2話更新ってやばいですね・・・
結構話考えてたけど、更新速度の方が早くなりそう
けど、頑張って土日だけでも2話更新していけるように頑張ります!
ちなみに文化祭での調べもの内容は実際にやったものです
今思い返しても、なんで本四連絡橋について調べなければいけないのか分からない・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます