35.タッグバトル
「スキル発動! 【スキル鑑定】!」
スウさんが目を見開いた。
目からは青白い光が発射された。
その目で私達を見終わると、スウさんは口を開いた。
「なるほど、厄介そうな剣聖の子、後は非戦闘要員の錬金術師の子と、特に珍しくもない平凡スキルの切れ味アップか……」
あの人! スキルを読み取ったよ!
「では、錬金術師の子にしてもらおうかな!」
「私ですかぁ!?」
私とソラちゃんでタッグを組んでの試合ってことだね。
確かに、ソラちゃんは戦闘要員じゃないけど、私が代わりに2人の相手をすれば問題ないことだね。
「ソラちゃん、大丈夫だよ! 私がいるからね!」
「な、なんだか申し訳ないです……」
そして、試合がスタートした。
「ふっふっふ……はっはっはっは!!」
試合がスタートした途端、なぜだかスウさんが笑い出した。
「黙っていて済まないね。実はキミ達を完封する装備を今、実に着けているのだ」
「完封!?」
「ああ、私達の装備は剣でのダメージが3000倍になる代わりに、それ以外のダメージが0となる装備だ!」
「な、なんだって!?」
それじゃあ、私達の攻撃が効かないってことじゃん!
でも、ハッタリかもしれない!
「マジカルチェンジ!」
私は変身すると、魔法を発動させる。
マジカル☆ファイア!!
発射された黒い火球は2人にヒットし、爆発が起きた。
砂煙が舞う。
「やりましたね!」
ソラちゃんがピョンピョンと飛び跳ねながら喜んでいる。
私も嬉しくなる。
やっぱり、ハッタリだったみたいだね。
「ハーハッハッハッハー!」
「ホーッホッホホオー!」
えっ!?
砂煙が晴れると、2人は腕を組んで立っていた。
HPゲージも満タンだ。
一体どういうこと……?
まさか、ハッタリじゃなかったってこと!?
「どうだ! これが証拠だ! いくぞ!! ッツァー!! まずは錬金術師を倒す!! 食らえ! 特大ブーメラン!!」
スウさんが巨大なブーメランを取り出し、それを投げ付けてきた。
ブーメランは空に飛んでいき帰って来る。
『ソラちゃん!?』
ブーメランはソラちゃんにヒットし、HPゲージは4分の1になっていた。
「ぐ……平気です……」
その様子を見たスウさんは笑った。
「ハーッハッハッハ!! まさか、一発でそこまで持って行けるとはね! 今度こそ潰す!! 特大ブーメラン!!」
ま、まずい!!
「さっきのことがハッタリでないとすれば……これを使ってください!!」
ソラちゃんがライムのカードをかざすと、中からライムの尻尾が出てきて、地面に刺さった!
そういえば、ライムちゃんと戦った時、尻尾を剣にしていたね!
『ありがとう! ソラちゃん!』
私はそれを両手で握り締める。
「なにぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃいいんんんん!? ズルいぞおおおおおおおおおおおおおおおお!! ふざけるなああああああああああああああああああああ!!」
「私も行くわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
スウさんと、そして今度はフウさんも私達に向けて特大ブーメランを放ってきた。
そのブーメラン2つを、ライムの尻尾ソードを使って弾き、そのまま相手に突っ込み、攻撃体勢に入った。
「ま、まずい! ガードだ! あれをやれ!」
「分かったわ!」
フウさんがスウさんを持ち上げて、スウさんのお尻を盾代わりにした。
「技発動! 【ケツガード】!」
尻尾ソードとスウさんのお尻がぶつかり合う。
「ぐぐ……ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「まだよ……まだよ!!」
けど、3000倍のダメージを耐えられずハズもなく、2人まとめて吹き飛んだ。
『よしっ!』
尻尾ソードはカードの中に戻っていく。
そして、試合用のフィールドが解除された。
「ま、まさか負けてしまうとは……だが、認めねばなるまいな」
スウさんは、クールに「ふっ!」と笑った。
「完敗だよ」
「マイダーリン!? いいの!?」
「いいんだ。確かに伝説のチョココロネは食べたかった。けど僕も男だ。かっこ悪い真似はしたくない。さぁ、あのチョココロネはキミのものだ」
スウさんは、岩の上に置かれている伝説のチョココロネを指差す。
「スウさん、フウさん、ありがとうございます! 今度量産して売るので、その時に是非食べてください!」
スウさんが嬉しそうにしていた。
悪いけど、とりあえず、ゲット!!
って……!
「ティラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
空からティラノサウルスが!!
そしてそのまま、地面にドシンと着地した!!
しかも、伝説のチョココロネを飲み込んだ!!
ちょっと! 返してよ!
「ティラアアアアアアアアアア!!」
な、なにこれ!?
ティ、ティラノサウルスの体が真っ黒に染まっていく。
そして、体の大きさも、さっきより大きくなっていった!!
「ティラアアアアアアアアア!!」
今のティラノサウルスは目は真っ赤で、体が黒い。
狂暴なモンスターって感じの見た目になっていった。
「なんだあれは!!」
「新種だ新種!」
「いけえええええ!」
「倒すのは俺だ!!」
探索者達がティラノサウルスの方へと向かっていった!
大丈夫なの!?
「ぐああああああああああ!!」
「ひっひいいいいいいいいいいいいいい!!」
ちょっと!
「た、助けてくれえええええええええええ!!」
これは逃げないと駄目なんじゃないの!?
「一旦引くぞ! 次々と探索者達が食われてる!!」
師匠がそう言った。
実際に30人くらいは食べられちゃったみたい……。
「お、俺は逃げるぞ!!」
「ど、どうして、ダンジョン外にアイテムを使っても出られないんだ!!」
そして、この後皆は逃げ回ったが、多くの人達が食べられてしまった。
ダンジョン外に出られるアイテムも使用不可能。
更には上層の出口から出ようにも、謎の黒い結界のようなもので出られなくなっていた。
私達は閉じ込められたのだ。
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