第158話 旅懐 -放課後-
午後は、割と静かに過ごすことが出来た。
5限と6限の授業も終わり、帰りのホームルームも先程終わった所だ。
「明花は、部活?」
「うん、大会近いからね」
「そっか、じゃあ夕飯用意しておくね」
「うん、ありがとう。
えへへ、頑張ってくるね」
明花は、そう言って教室を出て行った。
じゃあ、僕は美味しい夕飯を作って彼女の帰りを待とう。
帰りにアピタで食材を買って帰ろうかな。
僕も、鞄を持って教室を出る。
新しいクラスメイト達は、挨拶をしてくれるので挨拶を返していく。
「また明日」とかって、割と久し振りに言ったかもしれない。
僕って二学期ほとんど学校に通ってなかったからな。
それ以前に一学期まではクラスメイトとほとんど話もしてないし。
まあ、瀬里もいないからやっとまともな学生生活を送れるのかもしれない。
しばらくしたら明花とのことは茶化されなくなるだろう。
いまは、辛抱だな。
階段を下りて、一階へ向かう。
昇降口は、一階中央にある。
今日は、クラスもわからなかったので職員側に置かせてもらっている。
明日からは、クラスの靴箱に入れよう。
まあ、場所は明花に聞けばいいよな。
そうして、昇降口までやってきた僕だったのだが…。
女子にとても声をかけられる。
割とうんざりするくらいに。
「かっこいい」とか「イケメン」とか周りで言われているけどあんまり嬉しくない。
僕には、明花がいるし。
他の人にどう思われようとどうでもいい。
そう考えながら、職員側で靴を履いて昇降口を出た。
駐輪場へと向かう。が、終始無視し続けていたのだが女子に囲まれ身動きが取れなくなってきた。
「えっと、邪魔なんだけど」
僕は、冷ややかな目で視線を向ける。
そこには、ブラウンヘアのギャルが立っていた。
「やっと止まった。
ねえ、アンタ。私の彼氏にしてあげる光栄に思いなさい」
「結構です。で?邪魔なんだけど」
人でも殺せそうな程の怒気を孕ませた声を出していた。
なんかこの感覚も久し振りだな。
そういえば、明花に話してない旅の話があったな。
流石に、あの話は話せないよな。
「ふざけんな、私が彼氏にしてやるって言ってんだよ」
その彼女が、僕に掴みかかろうと手を伸ばしてきた。
僕は、一度上体を逸らしてその手を躱しすり抜ける。
遅いな。
そして、僕の身体は彼女の背後にいた。
僕は、自転車を放置したまま校門を走り抜ける。
まあ、自転車が無くても何とでもできる。
距離的には、走ってもしれているし。
ちょっと本気で走るか。
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