第80話 旅先 -米原3-
自転車を借りた僕たちは、東口から駅構内から外に出た。
東口を出るとバスロータリーがある。
風景はと言えば、かなり山が近いな。
この辺りは、湖北と呼ばれている地域らしい。
井筒屋で買ったお弁当も湖北名産の鴨ロースト、赤蕪、わかざぎが入っている物があった。
ちょっと、お昼が楽しみだ。
「新藤くん、どこにいこうか?」
「えっと、おすすめコースがあったからこれ行ってみない?」
「おすすめコースなんてあったんだ」
レンタサイクルでおすすめのコースを教えてもらえていた。
ここから、ローザンベリー多和田、山室湿原、グリーンパーク山東・三島池、伊吹薬草の里文化センター、JR醒ヶ井駅、世継、烏帽子岩、米原駅へ戻ってくるコースらしい。
名前を見るだけだと全く何の施設や名所なのかわからない。
「とりあえず、ローザンベリー多和田ってところに向かってみよう」
「うん…なんだろうね。ローザンベリー多和田って」
「うーん、なんだろうね」
僕らは、自転車を漕いで走っていく。
凡そ、7kmほど距離があるらしい。
高低差もあるからか50分くらい掛かるようだ。
ん?よくみると全部行ったら4時間くらいかかるな。
全部は無理かな。
確か、名古屋まで行ける本数は少ないんだよな。
大垣止まりはそれよりは多いはずだけど。
「秋山さん、どうしよっか」
「ん?なにが?」
「電車での行先なんだけどさ、大垣と名古屋どっちへいこうか?」
「大垣?ってどこ?」
あ、そうだった。
地理ダメダメだったな、この子。
「美濃だね、岐阜になるね。
次の終点が、大垣か名古屋になるんだよ。
名古屋の次は豊橋か浜松だけど」
「大垣って気になるね。
どんなとこなんだろう?」
「うーん、僕も寄ったことはないかな。
前回は、そのまま南下して三重に行ったから」
「じゃあ、大垣かな」
「なら、あんまりのんびりできないかもしれない…まあ、どっちにしても本数は少なくなると思うから」
僕らは、そう話をしながらローザンベリー多和田へと向かって走った。
さて、ここでローザンベリー多和田について話していこうと思う。
薔薇と宿根草の英国式庭園を中心とした複合施設である。
いろんなクラフト体験ができる。
1日で遊びきれるかわからない施設だったりする。
僕は、見かけたコンビニに一度より飲み物を買おうとした。
そして、知ることになる…今から行こうとしていたのが1日じゃ回れないくらいの複合施設だということに。
まだ、走り始めて10分少々だったので助かった。
「秋山さん、ごめん」
「え?どうしたの?新藤くん」
「いやぁさ、ローザンベリー多和田がどんなとこかわかったんだ」
「うん…でも、なんで謝ってるの?」
「なんか、複合施設らしくて1日じゃ回り切れないかも」
「あ、それはちょっと大変かも」
僕は、もう一度おすすめのコースを見る。
ローザンベリー多和田までは50分くらいかかる。
逆に、おすすめの最後から進むのはどうだろうか。
最後は、烏帽子岩と言う物だった。
距離も4.5kmと手頃で25分ほどで辿り着けるらしい。
往復しても1時間くらいだ。
それに、こっちは琵琶湖の方へ行くみたいだ。
ローザンベリー多和田は、琵琶湖とは逆方向だった。
「それでなんだけど、琵琶湖方面に向かいたいからこの烏帽子岩ってのへ行かない?」
「うん、琵琶湖見たい!賛成!」
秋山さんが、元気よく答えてくれた。
僕らの新しい目的地が決まった。
でも、烏帽子岩(結びの岩)ってなに?
僕は、前回の旅で目的地もなく走っていたからそう言った遊び心がなかった気がする。
1人旅では、僕は遊び心は持てなかったかもしれない。
そう思うと、秋山さんがいてよかったと思う。
それにしても、プランを立てて2人で出掛けるって…デートみたいだ。
いやいや、そんなこと考えるのは秋山さんに迷惑だよな。
僕らは、向きを変えて琵琶湖を目指して走り出した。
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レンタサイクルのおすすめに行ってみたかったのですが、調べれば調べるほど電車に間に合わなくなると思い軌道修正。
同じ思いで尚弥を動かしてみました。
ちなみに、この話数を書いている地点で私自体も土地勘がないため烏帽子岩(結びの岩)がどんなものか知りません。
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