第17話 旅愁 -名古屋-
岡崎から国道一号線をまっすぐ名古屋に向かったんだ。
おおよそ、40kmだったはずだから2時間半・・・休憩を挟んで4時間くらいだったと思う。
流石に市街地ということでテントが張れそうなところはないと思ったからビジネスホテルに泊まることにした。
久し振りに、ベッドに泊りたいと思ったから。
この日は、夜に手羽先を食べようと思っていたから昼は軽く済ませて、昼過ぎにチェックインをした。
そう、ここまでは順調だった。
夕方・・・そうだな。
確か、16時過ぎだったと思う。
けたたましい音を鳴らして電話が鳴ったのは。
なぜかこの日はマナーモードにもしてなかったし、ホテルだったから迷惑になりそうだから電話に出ることにした。
スマホの液晶には、「前嶋 瀬里」の名前が表示されていたんだ。
「なに?」
「尚弥、やっと出た。
お前、シカトしてんじゃねえよ」
「はぁ?なに言ってんの?」
「今すぐ家まで来い」
「いや、無理だから。
もう、連絡してこないで」
僕は、そう言って通話を切る。
この一週間、彼女への鬱憤が溜まっていた。
その後も、何度も電話がかかってきた。
僕は、うんざりしたので着信拒否にした。
LINEは、非通知に変えた。
これで、見なくて済むとそう思った。
◇
「新藤、そのLINEのメッセージってまだ残ってるか?」
「あ、今朝消しちゃった・・・」
「クラウドにバックアップって残ってるか?」
「あると思うよ」
「なら、復旧できる。ちょっと貸して」
男子の一人に、僕のスマホを渡す。
そして、作業をすること数分メッセージが復旧された。
「このメッセージ、テキストにしてプリントアウトしてもいいか?」
「え?う、うん。いいよ」
「やった、これで証拠が揃うぞ!」
証拠?なんのことだろう。
男子の一人が、自分のノートパソコンにテキストファイルを転送して、コンビニへプリントアウトに出かけて行った。
「ねえ、証拠って?」
「少し見させてもらったけど、新藤から金を横取りしようとしたり、例のヤバ目のやつを向かわせるとかそう言った内容があったんだよ」
「なるほど」
「新藤くん、ついでだからクラスのグループ入らない?
もちろん、前嶋さんは入ってないから」
「いいの?」
「もちろん」
誰かからこうやってIDやグループに誘ってもらうことなんて今までなかったから嬉しい。
今日は、未桜とも交換したしクラスメイトともできたから嬉しいな。
「なあ、新藤」
「なに?」
「前嶋に復讐しないか?」
「え?復讐?」
なんだか。不穏な空気になって来た。
でも、復讐か。
今の僕には、彼女への復讐心なんてあるのだろうか。
むしろ、僕としてはもう関わり合いたくないだけだし。
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