第59話 解放

 自分の未来を変える事は出来ないと判ったので、〚確定未来〛で見た通りに〚拒絶〛を使う事にした。その前に隣で私を守ってくれてるママとマグノリアに感謝と別れの言葉を伝えておく。


「マグノリア、今までありがとう。ずっと傍に居てくれたから今の私があるんだと思う。言ってみればマグノリアはもう1人のママと同じだね。大好きだよ」

「サ、サツキ様なにを……」


 私はそう言ってマグノリアの顔に両手を添えた。突然の告白に驚いたと思うけど、頬には涙が流れてるのが判った。

 私がマグノリアに言葉を掛けた事に気付いたママが私に近寄ってきたので、ママに抱き着いて最後の言葉を伝える。


「ママの娘で良かった。ずっと一緒に居たかったけど、私の未来だけは変えられなかったみたい。これまで私の事を愛してくれてありがとう。パパとお兄ちゃんには別れを伝えられなくて『ごめん』って言っておいてね。ママ大好き愛してる」

「サツキ……なにを……言ってるの?」


「私は人である事を〚拒絶〛して全ての力を解放する!」


 私達サツキの力は余りに強大だったので、1人目のサツキは圧倒的な魔力と〚確定未来〛を、2人目のサツキは強靭な体と〚拒絶〛を、3人目の私は時が来た時に力を解放する役目を担っていたみたい。だから私達の未来だけは変える事が出来なかったの……


 そして、私が〚拒絶〛を使って全ての力を解放すると、私は人ではなく光の使徒へと姿を変えた事で、失った感覚を取り戻せたので魔王と戦うお兄ちゃん達の元へ向う。


「ママ、全てを終わらせくるね」

「あっ、待って……戻って来るのよね?」

「……」


 笑顔で返事をして私は3人が戦う場へ移動する途中で最後の魔将が居たので〚拒絶〛で倒して行く。


「お前の存在を〚拒絶〛する!」

「がっ……サーノス様ぁああー!」


 全ての力を解放した私の前に、魔将は抵抗する事も出来ずに消滅した。魔王は私が魔将を触れずに消滅させた事に驚き、形勢逆転を狙って周囲を爆散させようとした。


「爆散する事を〚拒絶〛する」

「何故だぁ〜、爆散する筈だぁ〜」

「お前には何もさせない!ここで完全に消滅させるんだから」


 気が狂いそうな魔王はデタラメな動きでお兄ちゃんへ攻撃するけど、全て視えてるので剣で捌いていく。そして、私はお兄ちゃんの元にたどり着く。パパとお兄ちゃんは容姿が変わった事に驚いてるけど、ゆっくりと説明する時間がないので、お兄ちゃんを導いて聖剣を発動させる。


「サツキ、その姿はどうしたの?」

「お兄ちゃん、余りに時間がないから説明出来ないの。今から聖剣の発動へ導くから私の手を握って欲しいの」

「判った。後で説明をしてね」

「……」


 私が笑顔で応えると、お兄ちゃんは私の手を握ってくれたので、私の持つ全ての力を放出する。


「お兄ちゃん……さようなら」

「えっ……サツキィーー!」


 私が放出した力が再集結する事で、お兄ちゃんの手元には一本の聖剣が握りしめられていた。

 私達サツキはこの瞬間の為にこの世界へと異世界転生ではなく、異世界召喚されたのだった。


やっと、3人の私達サツキは役目を果たす事が出来たの。

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